『堕ちる』美人検察官が売春婦?人の裏の顔を描いた漫画のネタバレ感想
美人検察官が売春婦として殺された事件を元に人の裏の顔が語られる『堕ちる』という漫画。
真面目な女の子の裏の顔、異常な家庭事情が描かれ、性への欲望で転落していく主人公が3巻完結の短いストーリーで奥深く表現されています。
人の裏を顔を描いた『堕ちる』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
美人検察官が堕ちていく『堕ちる』のあらすじ
出典:「堕ちる」、著者:菊池直恵、出版社:小学館
ネット広告でもよく配信されており、売春婦として殺された美人検察官を描いた話題作である『堕ちる』の作品概要やあらすじをご紹介していきます。
簡潔ながらも深みのある作品となっています。
作品の設定や概要
- 著者:菊池直恵
- 出版社:小学館(eビッグコミック)
- ジャンル:ヒューマンドラマ
『堕ちる』は、検察官が売春をしていて殺される事件を元に物語が始まる。その事件の真相を学園生活から遡り解き明かしていく構成となっている。
勉強もできて、検察官としても優秀であった正美がなぜ売春婦をしていて、殺されなければならなかったのが是非注目ください。
あらすじ
その日、とある安ホテルで1人の売春婦が殺された。しかも、その売春婦は美人検察官。
なぜ、美人検察官は売春婦をやっていたのか?その謎が11年前に遡り、主人公の佐藤正美の学園時代から解き明かされていく。
真面目で勉強のできる正美。しかし家では父親を愛し禁断の関係を築いていた。その正美が欲望に溺れて堕ちていく…。
表の裏がある『堕ちる』の主なキャラクター
勉強ができて真面目なのに父親と行為に及んでいる女であったり、検察官であるにも関わらず娘に手を出す父親であったりと想像を超える裏の顔を持つキャラクターが『堕ちる』では登場します。
そんな裏の顔に驚かされる『堕ちる』の登場人物をご紹介していきます。
佐藤正美(さとう まさみ)
有名な進学校にいたが、父親の転勤で2年になって二流校に編入する。そして、はじめての定期試験でいきなり学年1位を取るほど頭が良い。また眼鏡を取ると美人。
編入して成績で学年1位を取ったことが原因でひがまれて、クラスメイトはるかからいじめを受けるようになる。しかし、はるかの彼氏を利用して仕返しをする。
正美は実の父親のことが大好きで毎週木曜日に行為に及んでいる。
父と同じ立派な検察官になるために法学部に通い、勉強を頑張り、無事に検察官になる。勉強を頑張ったり、検察官の仕事をしているときに謎の疼きに苛まされる。
はるか
美人で明るくてスタイルが良くてイケメンな彼氏を持っていて、さらに成績も学年で1番を取っている。まさに絵に描いたような皆が憧れる完璧な女子。
はるかはこのステータスを手に入れるために努力してきていて、勉強でもトップになるためにわざわざ高校のランクを落としている。
しかし、佐藤正美が勉強において学年トップを奪ったためいじめをする。
正美の父
検察官である正美の父親。仕事の都合で転勤が多い。
実の娘の正美を溺愛しており、毎週木曜日は正美と行為に及ぶために早めに帰宅する。
検察官でありながら、罪はバレなければ裁かれないをモットーにしている。
正美の母親
正美の母親。毎週木曜日はいつも家におらず、引っ越ししても同じ人とずっと不倫していた。
父親と娘の関係にも気づいていたが、喜んで父親を受け入れる娘の正美が気持ち悪く、気づかないフリをしていた。
松岡(まつおか)
正美と同じ法学部の大学に通う男子大学生。正美のことをよく見ていて、好意を抱いていた。
正美が体調悪そうなときに話しかけたところ、いきなりキスされ、そのまま行為に及ぼうとする。しかし、正美の異常さを見て軽蔑する。
小倉(おぐら)
検察官である佐藤正美の48歳の同僚。正美の仕事熱心で芯が通っていて、立派な検事になるという信念を応援しているうちに、それは好意に変わっていた。そして正美にプロポーズする。
結婚はしていたが、妻とは死別しているから現在は独身。1人暮らしが長いため家事ができて、タバコは吸わず酒癖は悪くない。
人の怖さがにじみ出る『堕ちる』の3つの見どころ(ネタバレあり)
出典:「堕ちる」、著者:菊池直恵、出版社:小学館
『堕ちる』では、美人検察官が売春婦をしていて殺される謎の事件を発端に主人公佐藤正美の物語が語られており、人の裏の顔の恐ろしさや異常な家庭環境に驚愕させられます。
短いながらも読者に衝撃を与える見どころがたくさんあるので、その中で特に注目してもらいたいポイントを3つご紹介していきます。
異常な佐藤正美とその家族
『堕ちる』では、異常な佐藤正美とその正美を作り上げた異常な家族の存在が見どころとなっています。
クラスメイトの復讐のために平気で自分の体を売る正美や、娘を溺愛して毎週娘と行為に及ぶ検察官の父親、そして不倫をする母親。みなが最低と思われる行為に及んでいるにも関わらず、それを「バレなきゃ大丈夫」と片付けていく姿は、読んでいて胸の中がモヤモヤとしてきます。
子は親の影響を大きく受けるとよく言われますが、異常な両親に影響された佐藤正美の歪んな思考に注目ください。
正美の中に蠢く正体不明のなにか
そして、佐藤正美の中に蠢く正体不明のなにかも『堕ちる』の見どころとなっています。
最愛の父親がいなくなっても、父親と同じ立派な検察官になるために勉強に励む正美ですが、日々頭の中によぎるお父さんとの思い出が、正美の性への欲望をふつふつと湧きあがらせてきます。
体の疼きを消すために正美が自我を忘れ体を売っていく姿は、勉強のできる真面目な正美からは想像もできないほどの狂気さを感じさせられるのです。
正美がその体の中の疼きによってどのように堕ちていくのかは是非ご覧になってみてください。
状況を的確に表した四字熟語
『堕ちる』の話の中では、その状況に的確に表現した四字熟語が発せられます。
佐藤正美がいじめられているときには「会者定離」「有為転変」「因果応報」「自業自得」などの言葉が並べられ、今後の展開をほのめかしていきます。また、正美に行為を抱いていた松岡に対して使用された「軽挙妄動」や狂った正美に対して発せられた「人面獣心」などの四字熟語は、登場人物たちの状況を見事に表現しています。
難しい言葉も多く登場しますが、調べながら四字熟語の意味を理解して、読んでいくと物語の深みを理解して読むことができます。
四字熟語からも登場人物たちの状況や狂気さを見てみてください。
『堕ちる』はこんな人におすすめ
『堕ちる』は、ダークでリアルな物語が好きな方にはおすすめの作品です。
この作品は、検察官が売春をして殺害される事件を軸に、その真相が学園生活から遡って語られていくのです。主人公の佐藤正美の真面目な学生の顔からは想像もできない裏の顔が描かれ、異常な家庭環境の垣間見れます。
そんな人の表と裏の顔を表現したダークで深い話が中心となっていて、それらがリアルに表現されているので、人間の隠れた狂気を楽しむことができます。
50ページほどのボリュームで3巻構成となっていて、サクッと読めてしまい、それでいて奥深さのある作品ですので、是非『堕ちる』に登場するキャラクターたちの裏の顔をご覧ください。
管理人の思う『堕ちる』が伝えたいこと(感想)
出典:「堕ちる」、著者:菊池直恵、出版社:小学館
『堕ちる』では、誰にでも表と裏の顔があること伝えたいように感じられます。
物語で登場する主人公は、表では真面目な生徒ですが、裏では父親を愛していて行為に及んでいたり、その父親も検察官でありながら「バレなけらば大丈夫」という考えのもと、娘と行為に及んでいます。また母親も裏では不倫をしているなど、とにかく歪な裏の顔が描かれているのです。
そんな描写からは、一見真面目な人も検察官と言う立派な職業の人でも、同じ人間であり、誰にでも裏の顔があることを思い出させてくれるような気がします。
『堕ちる』は物語の構成も終わりのまとめかたも非常にうまく、短いながらも奥深さを感じさせる優れた漫画でありますので、この機会に是非ご覧になってみてください。