ヒューマンドラマ

『17歳の塔』女子高生特有のドロドロカースト争奪漫画のネタバレ感想

17歳の塔

『17歳の塔』女子高生特有のドロドロカースト争奪漫画のネタバレ感想

 

中高一貫の女子高を舞台に思春期の人間関係の機微を描き出した衝撃のオムニバスである『17歳の塔』。

教室という小さな社会の中で平穏に生きるために周りに嘘をつき、裏切り、また思いやりを見せたりと葛藤を続けるリアルな学園生活が描かれ2巻完結の短いストーリーながらも「面白い」との声が殺到している作品です。

17歳の女子高生あるあるに共感必須である『17歳の塔』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。

 

女子高社会のリアルを描いた『17歳の塔』のあらすじ

17歳の塔の高瀬理亜(たかせ りあ)出典:「17歳の塔」、著者:藤沢もやし、出版社:講談社

学生時代の暗黙の了解をリアルに忠実に再現されており、読めば共感間違いなしの『17歳の塔』の設定やあらすじをはじめにお伝えしていきます。

壮絶なスクールカーストの中にあるヒューマンドラマを是非ご覧ください。

作品の設定や概要

  • 著者:藤沢もやし
  • 出版社:講談社(Kiss)
  • ジャンル:ヒューマンドラマ

舞台は中高一貫の女子高校の2年3組。そのクラスのトップに君臨する高瀬理亜の没落を皮切りに、それぞれのクラスメイトのドラマがオムニバス形式で語られている。

あらすじ

クラス替えで2年3組になった主人公の高瀬理亜。教室に入ると新しいクラスメイトたちがぎこちなく笑いながら手を取り合って、クラス内序列の駆け引きは水面下で始まっていた。

しかし、容姿端麗な理亜には関係なくみんなの憧れとなり、すぐにクラスのカーストトップに君臨した。

思いのままに生き、クラスメイトの小田嶋美優をパシリのように理亜。しかし、そんなカースト下位の小田嶋美優による下剋上が行われようとしていた…。



水面下で戦う『17歳の塔』の主な登場人物

『17歳の塔』では、女子高2年3組のクラスメイトが描かれ、彼女らは平穏な学園生活を手に入れるために水面下で戦っています。

そんな暗黙の了解で戦いを行っているキャラクターたちをご紹介します。

高瀬理亜(たかせ りあ)

2年3組で学校で1番かわいいと噂される主人公。美人でオーラがあって、髪がキレイで皆から憧れられている。プライドが高く自分が1番でないと許せない性格で、周りには高圧的な態度をとることがしばしばある。

そして、高瀬理亜は自分も自分自身のことが大好き。モデルのオーディションにも何度も応募している。しかし、オーディションにはなかなか合格しない。

自分の子分のように付いてくる小田嶋のことを気に入っていたが、ある時、喧嘩したことがきっかけでクラスのカーストトップを小田嶋に奪われてしまう。

小田嶋美優(おだじま みゆう)

中学時代から高瀬理亜に憧れていたイモっぽい女の子。

その憧れの思いが溢れて抑えられなくなり、自分が持っている一生分の勇気を振り絞って理亜に声をかけ、一緒に行動するようになった。

それからは地味で目立たなかった自身が理亜の隣にいるだけで目立つようになったが、理亜がパシリみたいに自身を扱ってくることに徐々に苦しくなっていった。

そして小田嶋はクラスに革命を起こすことを決意する。

桃原麻理(ももはら まり)

クラスの女子からも人気の高い美しくて優しい女の子。元は生徒会に入っていて、誰に対しても優しく、クラスの文化祭の出し物を準備する際は生徒会で培った指揮力を発揮した。

しかし桃原麻理は以前、男子からモテるがために女子の敵意をかったことがあり、女子同士の友情は信じていない。

また担任の先生と密かに関係を持っている。

沢田茉夏(さわだ まなつ)

クラスの女王の隣を狙い続ける2番手キャラ。はじめは理亜についていたが、理亜が没落してからは次の女王である小田嶋に近寄る。

女王の隣を確保するために努力しているが、媚を売ったり、人を裏切ったりする。

しかし、理亜の堂々としていて自身にないものをいっぱいもっているかっこよさには本気で憧れていた。



徳岡しのぶ(とくおか しのぶ)

サッカー部に所属している。クラスで同じサッカー部に所属している佳代のことは少し苦手に思っている。

そして2年3組になって、佳代となつめと一緒に過ごすようになったが、佳代となつめが仲良くなって自身が1人ポジションになること多く、鬱屈した日々を過ごしている。

代(かよ)

サッカー部に所属している毒舌で笑いを取る女の子。場を盛り上げるためではあるが、同じサッカー部のしのぶをザツに扱ったり無茶ぶりをする。

なつめ

高校から編入してきたためクラスに仲の良い友達が1人もいない女の子。サッカー観戦が結構好きで、サッカー部の2人に混ざるようになった。

ちょっと抜けているけど印象があるが、サッカー部のしのぶと佳代2人にそれぞれ陰で媚を売ったりしていて、あざとい性格をしている。

津田茜(つだ あかね)

漫画好きの女の子でクラスの津森真帆と浅井穂乃と先生も滅多に使わない教材準備室を秘密基地にしていつも遊んでいる。

クラスでは肩身の狭い思いをしているグループだが、好きなことを好きなだけ語る仲間と楽しく過ごしている。またノートには自作の漫画を描いている。

かつて、高瀬理亜からひどい言葉を言われていたが、高瀬理亜が学校中から嫌われて居場所をなくしたときに居場所を提供してあげる優しい性格をしている。



津森真帆(つもり まほ)ツモさん

津田茜と浅井穂乃と仲良い眼鏡の女の子。3人の秘密基地に高瀬理亜が訪れるのをあまりよく思っていないが、茜に免じて我慢している。

しかし、理亜が自分たちとは価値観が違う人間であることを理解しているため気は許していない。

浅井穂乃(あさい ほの):ほのちゃん

津田茜と津森真帆と仲良しの大きい女の子。昔から不器用な子どもであり、小学校ではいじめる人たちもいっぱいいて人付き合いが苦手だったが、小田嶋とは家が近くて仲良しでよく遊んでいた。

その後中高一貫の女子高に進学し、しばらく別々のクラスだったが、高校2年で小田嶋と同じクラスになれたが、小田嶋は変わっていて話すことはなくなっていた。

しかし、ありのままの小田嶋が好きで見守っている。

野田(のだ)

クラスメイトの桃原麻理にずっと憧れていた女の子。普段お昼を一緒に食べている友達が部活でお昼を一緒に食べれなくなったのを機に、桃原に声をかけて一緒にお昼を食べるようになる。

桃原と一緒にお昼を食べるようになってからメイクを始めたりと垢ぬけてくる。しかし、実は桃原と一緒にお昼を食べたいのには憧れ以外の理由があった。

松田佳織(まつだ かおり)

2年3組になって、同じバレー部の吉見なおがどんどん新しいクラスに馴染んでいったため、ものすごく焦りを感じていた短髪の女の子。

しかし、小田嶋が明るく声をかけてくれたため救われた。そんな自身を救った小田嶋のことをクラスになくてはならない存在と認識していた。

また、松田は宝塚の大ファン。

筧修司(かけい しゅうじ)

名門大学である天山寺大学の執行部部長を務める男子大学生。学生たちの相談役として時々生徒会に呼ばれている。

「FLIP」というフリーペーパーも企画していて、いろんな人の話を聞くのを趣味にしている。小田嶋に個人的に興味を持っていて、小田嶋に戦うことをアドバイスした。

女の子と話すのが上手い。



思春期特融の人間関係を描いた『17歳の塔』の3つの見どころ(ネタバレあり)

17歳の塔の沢田茉夏と小田嶋美優出典:「17歳の塔」、著者:藤沢もやし、出版社:講談社

誰もが経験したことがあるであろう思春期の人間関係の機微を的確に表現し、共感すること間違いなしの『17歳の塔』には見どころがたくさんあります。

オムニバス形式で語られる『17歳の塔』の見どころを3つに厳選してご紹介します。

女子高カーストの実情

『17歳の塔』では、誰もが胸に抱えているスクールカーストを登場人物や机で積み上げられた塔の描写を使って読者の胸に訴えるように表現されています。

何も努力もせずにカースト上位に位置していた主人公が下剋上を受けたり、3人グループのような小さな仲間の中でも裏切ったり、陰口を叩いていたりしている女子高生の姿が描かれており、学生時代を思い出し、思わず「あるある」とうなずきながら読んでしまいます。

高校生たちの壮絶なカースト争いは、人の浅ましさや醜さを写実的に表していますが、どこか懐かしく親しみ深い気持ちになります。そんな懐かしいさを感じさせるリアルで壮絶な高校生活を是非覗いてみてください。

高校生たちのクラスで生き残るための努力

また『17歳の塔』では、そんなカーストによって区分されたクラスでの生存競争が見どころとなっています。

常にトップの人間の近くに身を置いて安心の学園生活を送るために媚を売ったり、肩身の狭い学園生活を楽しむために秘密の場所を見つけたり、パシリのように扱われる地位から下剋上をしてカーストトップに立つために革命を企てたりと、高校時代に行われていた裏の学生事情が学園生活の過酷さを表しています。

クラスという閉鎖された社会で、1人でお弁当を食べることがないように、体育のときに準備運動で1人あまることがないように、楽しい学園生活を送るために陰ながら努力し苦悩する彼女たちに是非注目してもらいたいです。

苦境に耐え乗り越えていく17歳の女の子たち

クラスで高い地位を得るために企てる姿や友達を裏切る姿などが多く描かれていますが、それだけでなく、17歳の女の子たちの苦難を乗り越えていく姿も見どころとなっています。

クラスのカーストトップから引きずり降ろされ、プライドをボロボロにされた主人公の高瀬理亜は、「いっそこのまま消えてなくなってしまい」と逃げ出そうとしますが、泣きながらも自分の好きな自分でいるために1人で耐えて学校に登校し続けます。

他にも、地味な自分の変えるために勇気を出して、クラスメイトに話しかけたり、ケンカしても仲直したりととにかく女の子たちのかっこいい姿もたくさん描かれているのです。

そんな姿を見ていると自分も頑張ろうと思えますし、高校時代を耐えた自分なら大丈夫とも思えます。厳しい困難を乗り越えて成長する彼女たちを見て、あなたも是非元気をもらってみてください。

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ドロドロの学生社会の『17歳の塔』はこんな人におすすめ

『17歳の塔』は、全国の高校生、そして高校を卒業した方たちみんなにおすすめの作品となっています。

この作品では、教室という閉鎖環境で1年間平穏に暮らすために暗黙の中で行われていた戦いが見事に表現されており、学生時代を経験した方なら共感必須の物語となっています。

「私はこの女よりは上、でもこの女よりは下」のような死ぬほどどうでもよいけど、死ぬほど重要なことを常に意識し、1人にならないように画策する姿は懐かしく、「今思えば大変な環境にいたなぁ」と感慨深くなります。

それでいて女子高生たちの力強さから元気ももらえる作品となっていますので、是非『17歳の塔』をご覧になってみてください。

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管理人の思う『17歳の塔』が伝えたいこと(感想)

17歳の塔の高瀬リアと沢田茉夏出典:「17歳の塔」、著者:藤沢もやし、出版社:講談社

『17歳の塔』は、社会の中で自分の居場所を守るためにみんなが努力をしていることを伝えたいように感じられます。

主人公の理亜は初めは努力せずに思うままにトップに君臨していましたが、努力を重ねた小田嶋にトップを奪われていまします。その後は理亜も苦しみ耐えて頑張る姿が見られ、他のクラスメイトも陰ながら自分の平穏を守るために日々戦っているが描かれえています。

そんな彼らを見ていると誰も当たり前のように享受している学校の平穏は、決して楽して手に入れた物ではなく、計算され努力され手に入れ続けたものだというのが痛いほど伝わってきます。

『17歳の塔』では、そんな努力し続ける女の子たちの姿が見られ、高校時代の懐かしさやそんな時代を生きてきた力強さを感じられます。2巻完結の短いストーリーですが、リアルな高校生活が描かれ存分に楽しめる漫画だと思うので、是非彼女らの高校生活を覗いてみてください。

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ヨル
漫画紹介をしているヨルです! 毎月150冊以上漫画を読むので、その中で特におすすめの漫画を紹介していきます! 次に読む漫画を探してる方はぜひ参考にして頂けたら嬉しいです^^
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