『の、ような。』漫画のネタバレ感想|不器用独身ヒロインが突然二児の母に!?
多忙で無愛想な独り身の主人公と、両親を突然亡くし行き場のなかった少年2人が不器用に紡ぐ義家族物語『の、ような。』。
読めば読むほど心がじんわり温かくなっていく『の、ような。』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
麻生海先生が描く義家族ヒューマンドラマ『の、ような。』のあらすじ
波乱万丈なエピローグからストーリーが展開していく『の、ような。』の設定やあらすじをご紹介していきます。
2005年に発売された初版単行本『負け犬のなんでも屋』を筆頭に、『ままならないもんで』や『愛と混乱のレストラン』など、数々の人気BL漫画を手がけてきた麻生海先生が描く、BLという枠を取っ払った初のヒューマンドラマ作品です。
麻生海先生の繊細でプロならではの実力を兼ね備えたキャラクターデザインや画力が、作品の魅力をより一層引き立てています。
作品の設定や概要
- 著者:麻生海(麻生海先生のTwitterアカウントはこちら!)
- 出版社:芳文社(ラバココミックス、コミック トレイル)
- ジャンル:女性マンガ、ヒューマンドラマ、ファミリー・子育て
- 巻数:3巻(連載中:2020年9月7日現在)
設定として、独身一人暮らしのライター業に勤しむ30代のヒロイン、希夏帆。毎日納期に追われ寝不足の日々を過ごしていたある日、恋人である愁人が連れてきたのは2人の少年。
従姉妹の姉夫婦の子供で、突然の事故死で夫婦共に帰らぬ人となってしまい、引き取り手が決まらずにいたのを愁人が見かねて引き取ったのだ。
結婚は愚か、育児経験もない希夏帆たちと、両親を失ってすぐ初対面の人の家で生活することになった中学生と5歳児による奇妙な共同生活がスタートするのだが…?
あらすじ
それは人生の劇的変化…。一人暮らしの希夏帆の前に恋人・愁人が連れてきた二人の少年。二人は愁人の親戚で両親を失ったばかりの兄弟だという。希夏帆の家で生真面目な中学2年生の冬真、天真爛漫な5歳の春陽、そして愁人の4人は同居生活をすることに。戸惑う日々の中、彼らの新たな関係が始まるーー。
引用)コミックシーモア
ショタ好きにはたまらない『の、ような。』の主な登場人物
かわいい幼稚園児たちに癒されながらも、登場する全てのキャラクターにいろんなバックグラウンドや人情味があってつい情が移ってしまう『の、ような。』。
いろんな悩みを抱えながら、日々奮闘するママたちの葛藤も垣間見ることができる『の、ような。』の主な登場人物をご紹介していきます。
高山 希夏帆(たかやま きなほ)
執筆の締め切りに追われる30代のヒロイン。従姉妹の姉夫婦が事故死して、残された息子2人を恋人の愁人が勝手に引き取ってきたのを面倒みることになる。
家事全般は何とかこなせるものの、初めての子育てに悪戦苦闘しながらも、彼女なりに努力しようとする姿が印象的。
大沢 愁人(おおさわ あきと)
希夏帆の恋人。希夏帆に結婚しようと申し出ても仕事が忙しく、タイミングがあるからと断れてばかりいる。
同棲こそしていなかったものの、冬真と春陽を引き取るついでに完全に同居することになる。
優しくてお人好しな上に気の利かなさも相まって、いつも希夏帆の尻に敷かれている。
深雪 冬真(みゆき とうま)
14歳の中学2年生の男の子。
事故で両親を失い、残された弟の春陽と共に希夏帆の家に引き取られることに。
天真爛漫で素直な春陽と違い、遠慮がちで希夏帆たちに気を使いすぎて、要を足すのも我慢して便秘による腹痛で病院のお世話になったことがある。
普段は気の利くしっかり者で、家事手伝いを率先して行なってくれる。
家でも役に立つかもという理由で、転入先の学校では料理部に入部することに。
深雪 春陽(みゆき はるひ)
5歳になる男の子。好きな飲み物はミロと野菜ジュース。
素直で明るい性格で、ショタコンキラーの顔つき。冬真に似てか、好奇心からか、聞き分けもよく、家事も率先して手伝ってくれる。
大沢 信隆(おおさわ のぶたか)
愁人の弟。中学生の娘がいる。
「今井」という小料理屋の店長をしている。なぜか愁人に敵対心?を持っている。
大沢 千都(おおさわ ちづ)
信隆の娘。冬真が転入した学校の料理部の部員。
たまにお父さんのお店を手伝っている。
吉岡(よしおか)
愁人の弟である信隆の友人の男性。信隆が営む小料理屋「今井」の従業員である男性と同性ながら夫婦として一緒に暮らしている。
陸(りく)
春陽の転入先である幼稚園の同級生の男の子。自分の意見をしっかり言える芯の強い性格。
美加子(みかこ)
陸のお母さん。母子家庭で毎日仕事が忙しく、家事は週末にまとめて行なっている。
有里花(ゆりか)
春陽の転入先である幼稚園の同級生の女の子。自分が1番可愛いと思っている。ちょっとわがままで気が強い。
かず
春陽の転入先である幼稚園の同級生の男の子。少し引っ込み思案だけど見栄っ張りな性格。
野島(のじま)
かずのお母さん。
希(のぞみ)
春陽の転入先である幼稚園の同級生の女の子。とある理由でお母さんのことが嫌い。
優子(ゆうこ)
希のお母さん。
昔は女優をやっていてとても美人であったが、希を産んでから育児疲れで少し老け顔になってしまい、希からは私のお母さんはもっと綺麗だもん!優子はお母さんじゃない!と拒絶されてしまう。
莉奈(りな)
春陽の転入先である幼稚園の同級生の女の子。真冬にコートも着ず外で遊んでいたり、雑草を食べていたり、髪の毛も伸び放題だったりと少し様子がおかしい。
ことみ
莉奈のお母さん。若いシングルマザーで、夜の仕事をしながら莉奈を育てているが、莉奈に対してあまり興味関心がない様子。
栢 沼圭(かやぬま けい)
冬真の転入先である同級生の男子生徒。とある理由で両親は離婚している。旧姓は満平(みつひら)。
爽太(そうた)
冬真の転入先である同級生の男子生徒。
アニメ化もドラマ化も切望!『の、ような。』の3つの見どころ(ネタバレあり)
夫婦観、家族観、兄弟観…いろんな視点から作品を楽しむことができる『の、ような。』にはたくさんの見どころが存在します。
そんな数ある見どころの中でも、特に注目してほしいポイントを3つご紹介していきます。
育児の大変さを疑似体験
まず『の、ような。』では、作品を読みながら、育児の大変さを疑似体験できるところが見どころとなっています。
子供は無邪気で可愛いだけではない見えない苦労が、どのご家庭にもありますよね。それが、少し身近な問題としてこの作品を通して感じさせられる場面がいくつも登場します。
わがままな子供に対して甘やかしすぎて無法状態になってしまうところもあれば、自分が忙しいのを理由に子供に満足な衣食住を施してあげられないところなど、気付こうとしなければ気付けない問題などがたくさんありますよね。
その問題に対して本人が逃げてしまうこともある中で、希夏帆は間違ってると思うことは相手が誰であろうと臆することなく指摘していきます。
お母さん界のご意見番的な存在として、果敢に問題に突っ込んでいく様子がなかなかに清々しくて、読んでいるこっちまでスカッとするので、そこも楽しみに読み進めていただけたら嬉しいです。
希夏帆の育児に対する覚悟
また『の、ような。』では、慣れない育児に対する希夏帆の覚悟や前向きな考え方も見どころの一つになっています。
冬真も春陽も素直で聞き分けの良い子なので、2人に対しての物理的な気苦労こそないものの、ライター業であるがゆえに、日々の納期に追われる中での4人分の食事や掃除洗濯などの家事はなかなかにしんどいようです。
それでも2人に少しでも気遣いをさせないように気を配ったり、それでいて間違ったことをした時はきちんと正面から諭すよう努める姿に、心打たれること数知れず。
希夏帆の中で4人で過ごす生活に少しずつ慣れて、愛着が湧いてきている様子を見ているとなんだか心がほっこりして、いつまでも4人の幸せそうな顔を見ていたくなってしまうんですよね。
初めこそめんどくさそうに接していた彼女が徐々に変わっていく様子や、母親としての成長が垣間見えるところも是非注目してみてください。
冬真達の両親の死に迫る意味深な展開
そして『の、ような。』では、冒頭ではあまり触れてこなかった、冬真たちのご両親が何故突然事故にあって帰らぬ人になってしまったのか?という部分に少しずつフォーカスしていくストーリー展開も見どころの一つになっています。
2巻までは、希夏帆や冬真たちのドタバタコメディが展開されますが、3巻の最後、衝撃的な事実が明らかになりそうなんです。
この作品にシリアス展開は似つかわしくない…間違いであってくれ…と思ってしまうような気持ちにさせられてしまい、心がチクッとする感覚に襲われます。
どんな展開かは是非、作品を読んで確かめてみてくださいね。
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試し読みだけじゃ伝わりきらない面白さ『の、ような。』はこんな人におすすめ
『の、ような。』は、これから子供を授かりたい、もしくは養子をもらいたいと思っている人には特におすすめの作品になっています。
子育てって良い意味でも悪い意味でも1人ではできなくて、直接的でも間接的でも誰かに助けてもらいながらようやく出来ることだと思っています。
それを分かった上で、十何年育てる覚悟でいないと、子供への愛が覚めてしまうだけでなく、ネグレクトや虐待という深刻な問題に発展してしまうのではないでしょうか。
自分が産んだ子供だからそんなことにはならないと思っていたとしても、思った以上の大変さに、つい魔がさしてしまうことももしかしたらあるかもしれません。
そうなってしまっては遅いかもしれませんが、もしそうなる不安が少しでもあるなら、この作品を思い出して欲しいのです。
初めはただの同情だったとしても、例え血が繋がっていなくても、見ず知らずの他人同士でも相手のことを心から思い合える家族になれるんだということを感じずにはいられなくなります。
例え世間体的に家族と認められるような関係性ではなかったとしても、いろんな形の家族があって、いろんな形の愛があるということを忘れなければ、きっと自分の子供のことをもっと愛せるようになるのかもしれませんね。
いろんな価値観が育まれる素敵な作品になっていますので、まだ読んだことのない方は是非一度お手にとってみてください。
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紹介者が考える『の、ような。』の伝えたいこと(考察)
突然連れてこられた子供たちに対して、初めは乗り気じゃなかった希夏帆。自分は親代わりとしては不十分なことを自覚しながらも、それを冬真と春陽にもストレートに伝えた上で、一緒に協力して生活していこうと提案します。
育児は旦那と協力してやっと成り立つようなものかもしれない中で、1人孤独に頑張ってしまうお母さんもきっといるはず。
希夏帆なりに、命を預かるという責任感の中で、冬真と春陽が伸び伸び生活できるようにと不器用ながらも頑張る姿、仕事が忙しいからという理由で突き放すことなく上手くみんなで協力しながら暮らしていく姿から、少しずつ母の顔付きになっていくのが見て取れます。
愁人も未婚なりに、希夏帆の旦那のような、子供たち2人のお父さんのような立ち位置で、4人で奮闘する姿に父のそれを見ているような気持ちになります。
家族「の、ような。」、母「の、ような。」夫婦「の、ような。」…。いろんな「の、ような。」が詰まった作品で、血は繋がっていなくても家族のような存在になれるんだよという愛に溢れたストーリーになっていますので、是非読んでみてください。
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『の、ような。』の評価まとめと感想
最後に記事執筆者の評価と他の漫画サイトからの評価をまとめてみました。
漫画を購入するときのひとつの指標として、よかったら周りの評価も参考にしてみてください。
当サイトの評価 | 4.5(記事作成者の評価) |
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コミックシーモア | 4.7(287件の評価) |
まんが王国 | 4.6(67件の評価) |
Renta! | 4.6(456件の評価) |
BookLive | 4.7(62件の評価) |
めちゃコミック | 4.4(772件の評価) |
※それぞれ5段階評価となっています。
かわいい絵柄とほっこりした世界観に、つい癒されてしまいます。ちっちゃい子って問答無用でかわいいですよね…!
ですが、家族とは何なのかということや、育児に関わる社会問題にも鋭く切り込んでいく内容になっていて、読者を飽きさせないストーリー展開になっています。
1話1話しっかり読み込みたくなる良作ですので、この機会に是非ご覧になってみてください。
『の、ような。』が気になる人におすすめの類似作品
ここでは『の、ような。』に興味がある方におすすめの家族を題材にした漫画をご紹介していきます。
1つ目の類似作品は『たーたん』です。
童貞のまま友人の赤ん坊を引き取ることになった主人公の敦と、その娘の鈴が送るほんのり心がひりつく日常系ほんわかヒューマンドラマです。
自分の子供ではないなりに、同じ時を過ごすうちに我が子のような、もはや本当の父親以上に父親の様な存在感と責任感が生まれていく姿についウルっときてしまうかもしれません。
下の記事では『たーたん』の詳しい内容や無料で読む方法をご紹介しています。
2つ目の類似作品は『JKと捨て子の赤ちゃん』です。
生まれたばかりの自分の子供を捨てたJKとそれを拾って育てようと決めたJKが紡ぐ、ちょっとシリアスであったかいヒューマンドラマ仕立ての作品です。
本当の母親でもなければましてやまだ未成年にも関わらず、我が子のように一生懸命に子育てをしようとする主人公の桃子の姿が、育児経験もなければ仕事の忙しさから自分の生活もままならない中でも、試行錯誤しながら2人の子供を守ろうとする希夏帆の姿が重なりました。
下の記事では『JKと捨て子の赤ちゃん』の詳しい内容や無料で読む方法をご紹介しています。