『ナリカワリ』願望&欲望が渦巻く人間憑依サバイバル漫画のネタバレ感想
他人に成り代わることができるステッカーをめぐる人間憑依サバイバル漫画の『ナリカワリ』。
人に成り代わる能力が浮き彫りにする人間の欲望、そしてデスノートにも似た心理戦、さらに先が気になって仕方なくなる伏線が張り巡らされた展開に話題を呼んでいる作品となっています。
大人気作「奴隷区」のオオイシヒロト先生が放つ強烈新作『ナリカワリ』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
「奴隷区」のオオイシヒロト新作『ナリカワリ』のあらすじ
誰もが1度は憧れる「他人に成り代わる」ことをテーマにした人間憑依サバイバル『ナリカワリ』の設定とあらすじをご紹介していきます。
緻密な設定から繰り広げられるバトルロイヤルを是非楽しんでみてください。
作品の設定や概要
- 原作:長田トヒキ
- 漫画:オオイシヒロト
- 出版社:講談社(マガジンポケット)
- ジャンル:ミステリー・サスペンス
- 巻数:6巻(完結:2020年5月14日現在)
設定として、「憑依ステッカー」という人と入れ替わることができるステッカーが1人につき12枚配られ、そのステッカー所有者によるステッカーの奪い合いの物語となっている。
「憑依ステッカー」は人に貼って願うだけで、そのステッカーが貼られた相手にナリカワルことができる。
憑依ステッカーは12時間経過するか、剥がすことで元に戻れる。
そして、その憑依ステッカーにはナビゲーターもついていて、ステッカーに関することなどを教えてくれたりする。ナビゲーターはステッカー所持者にしか見えない。
また他の人のステッカーは奪うことができ、ステッカーの裏に書いてある相手の「コンプワード」を宣言すれば、相手の持つステッカーを自分のモノにすることができる。はじめは1人12枚のステッカーしか所持していない。
ステッカーの所持枚数が0になったら、12時間後に死んでしまう。
ステッカー所有者ははじめは全部で72人いた。
あらすじ
心優しき主人公の高校生安藤万里雄はイジメられている同級生をほっとけないながらも、学校では最底辺で、同級生すら救えない自分自身に苦しんでいた。
そんなとき「魂と引き換えに理想の貴方へ──」という手紙と一緒に謎の腕輪が万里雄に贈られてきた。
そして、その腕輪をはめてから人に成り代わることができる能力を手に入れる…。
欲望渦巻く『ナリカワリ』の主な登場人物
他人に成り代わる力を手に入れた人物が描かれているため『ナリカワリ』では多くのキャラクターの欲望が渦巻いています。
そんな欲望をむき出しにする主な登場人物をご紹介していきます。
安藤万里雄(あんどう まりお)
低カースト高校生。クラスのいじめられている子を助けてあげようとしたり、一緒に行動してあげたりする優しい子。
ステッカーを私欲ではなく、人を救うために使うことを決意するほど正義感が強い。また自分の命よりも他人の命を優先する。
ステッカー所持者であることをネットで配信されて、個人が特定されてしまっている。
アルベール
安藤万里雄の憑依ステッカーのナビゲーター。ちょび髭が生えているのが特徴的。他の憑依した人間がが近づくと「イケイケゴーゴー」とアラームで教えてくれる。
聞かれたことに対しては答えてくれるが、聞かれないと教えてくれないことが多い。
万里雄の欲望に気づいてきている。そして、時折不敵な笑みを浮かべる。
葉暮萌里唯(はぐれ もりい)
万里雄に1番初めに接近したステッカー所有者。顔の左半分はただれた痕があるため、いつも髪の毛で顔半分を隠している。
ある人物に最後の1枚のステッカー以外を奪われて、利用されていたところを万里雄に助けてもらい、万里雄にゾッコンするようになる。
しかし、万里雄を想うあまり暴走する。
ウサテン
萌里唯のナビゲーター。万里雄とはじめに遭遇した時は大きなバケモノになっていた。
普段はフワフワのかわいいナビゲーター。
北条セレナ(ほうじょう せれな)
学校の女子たちから卑劣ないじめを受けていた黒髪ロングストレートの学年一可愛いと噂の女の子。いじめられているところを万里雄に助けられて、万里雄と接触するようになる。
いじめられていたため卑屈な性格となっていたが、万里雄の優しさに触れて自分も変わろうと決意するようになる。
桜庭或人(さくらば あると)
ステッカーで世界を変えることをもくろむ「ルサンチマン」のリーダー。そして悪いことをした人を殺すためにステッカーを使う人物。
弱きを助けることをモットーにしているが、平気で人を殺す残忍な性格である。
しかし、善良な人には手を出さない正義がある。本気で苦しめられている人を救うためステッカーで世界を変えようとしている。
他の所有者と違い、自分自身も金持ちで力を持っている。
亜門有栖(あもん ありす)
ルサンチマンの優秀なステッカー所有者である女子高生。桜庭或人には心酔しているが普段はかなりツンツンな少女。
渡辺理(わたなべ おさむ)
警視庁組織犯罪対策部五課に所属する警察官。上司を陥れることにステッカーを使う鬼畜な所有者。
明日茂太郎(あけび しげたろう)
会社員のステッカー所有者。会社の後輩の赤ちゃんにナリカワリ、後輩の嫁に不純な行為をしている。
網山亜美(あみやま あみ)
ステッカー所有者のOL。同僚の女の子がイケメン上司にヤリ捨てされたため、ステッカーを使って仕返しした。
その後もセクハラをする男をステッカーを使って仕返ししている。
八王子のステッカー所有者
八王子で大量のステッカーを狩っている殺人鬼の1人。ゲーム好きで、集めたステッカーを使って人を殺していくゲームをしている鬼畜な人物。
路野部香織(ろのべ かおり)
シングルマザーでセクシーパブ勤務のステッカー所有者。八王子で大量にステッカーを狩っている殺人鬼の1人。
進藤翔(しんどう しょう)
万里雄の同じ学校のいじめっ子。下田をよくいじめていた首謀者。
奈美(なみ)
翔に好意を抱いている女子高生。下田のいじめを率先してやっていた。
安藤秀雄(あんどう ひでお)
主人公の弟。女の子を家に連れ込み、やりたい放題にしている。
父親に似て、兄とは違い勉強もできてかっこいい。そのため、兄のことを見下して、家では存在しないことにしている。
恵美里(えみり)
秀雄の彼女。憑依ステッカーを付けられて一時的に体を乗っ取られる。
面白い!『ナリカワリ』の3つの見どころ(ネタバレあり)
人々の願望を叶えるステッカーで欲望を露わにし、多くの伏線が張り巡らされ、心理戦も繰り広げられる『ナリカワリ』は見どころが溢れる作品となっています。
そんな『ナリカワリ』の見どころの中でも特に注目してほしいポイントを3つご紹介していきます。
ステッカーを手にした人間の行動
『ナリカワリ』では、他人とナリカワルことができるステッカーを手にした人の行動が見どころとなっています。
ステッカーを使って芸能人に成り代わったり、イケメンに成り代わって女の子にひどいことをしたり、国会議員に成り代わって生放送で憑依自殺したりと他人にナリカワルことで人の真の欲望が露わになっていくのです。
主人公のようにナリカワリを人のことに使う正義感の溢れる人もいますが、ほとんどの人が自分の欲望を満たすために使うため、見ていて考えさせられる内容になっています。
他人にナリカワルことで倫理観、法律、命の危険の枷から解放された人たちがどのような行動に出るのかは是非注目してください。
ナリカワリの憑依サバイバル
また『ナリカワリ』では、ステッカー所有者による憑依サバイバルが見どころとなっています。
最初のステッカーの数は1人12枚と決まっていて、人のステッカーを奪うことでしかステッカーを増やすことができない仕組みとなっていて、自然と争いが勃発するのです。
奴隷を作って人に奪わせる者や、ゲームのように殺戮を繰り返す所有者、主人公のようにすべての所有者を狩る者など、それぞれの欲望や正義が渦巻き、ナリカワリの能力を駆使して心理戦が繰り広げられていきます。
予測不能で興奮必須の、デスノートにも似ている異能系の心理サバイバルを是非楽しんでみてください。
ナリカワリで変わる周りの人間
また『ナリカワリ』では、周りの人の態度も隠れた注目ポイントといえます。
非力な主人公の万里雄がいじめを止めようとしても何も変わらなかったのに、力ある者にナリカワって言うだけでいじめがなくなったり、可愛い子に憑依すると世界が優しくなったりと、相手によって人の態度や行動が大きく変わります。
「大切なのは”何を”するかじゃない…”誰が”するかなんだ」という万里雄のセリフが印象深く、本当に”誰が”が重要であることを思い知らされる感慨深い内容です。
『ナリカワリ』では、バトルロイヤルや所有者だけでなく、所有者の周りの人間がどのように変わり、どのように序列が崩れていくのかということも是非注目してご覧になってみください。
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デスノートにも似た心理戦が勃発する『ナリカワリ』はこんな人におすすめ
『ナリカワリ』は、人間の欲望が渦巻くような心理戦漫画が好きな方に特におすすめの作品となっています。
この物語は、他人にナリカワルことのできるステッカーを巡るサバイバルが繰り広げられる内容であり、ステッカーを奪うためには「コンプワード」というものを知らなければなりません。
そんな異能力系の設定が施されていて、デスノートにも似た心理戦が繰り広げられ、さらに人の欲望をむき出しにするような話になっています。
必死に生きている人の人生を一方的に破壊できる道具であるステッカーを巡る争いは、ダークな心理戦が好きな方はハマること間違いなしの内容となっているので、是非ご覧になってみてください。
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管理人の思う『ナリカワリ』が伝えたいこと(感想)
『ナリカワリ』は本当に変わらなきゃいけないのは自分自身であるということを伝えたいように思えます。
物語では、人に成り代わって欲望を発散させても「何も変わらない」というセリフが印象的であり、また主人公の万里雄も本当に変えなきゃいけないのは自分の中身だと言っています。
ナリカワリという強力な力を持ってる人の発言から、自分の理想の人になっても、自分が変わらなきゃ何も意味がないということが強く感じられます。
誰もが思う憧れの人になりたいという願望をテーマにした作品で、考えさせられる部分も多く、ストーリーもとても面白いので、是非この機会に『ナリカワリ』をご覧になってみてください。
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