『オメガ・メガエラ』漫画のネタバレ感想｜時代情緒な人間ドラマを描くオメガバースBL

オメガバースの世界観の中で、大財閥の家督争いと社会的格差から生まれるドロドロの人間ドラマが描かれる『オメガ・メガエラ』。

オメガバースBLという題材なのですが、恋愛話というより、格差社会や跡目争いなどの人間模様が描かれていて、ヒューマンドラマよりの作品です。

スリリングな場面や人間の恐ろしくて醜い部分も描かれていて、ボーイズラブ設定の作品という分類では括れない、時代情緒があってすごく面白い作品だと思いました！

目が離せないストーリー展開で、様々な人間性が描かれる『オメガ・メガエラ』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。

オメガバース恋愛×家督争い『オメガ・メガエラ』のあらすじ

出典：「オメガ・メガエラ」、著者：丸木戸マキ、出版社：講談社

オメガバースの世界観の中で、社会的地位の格差や家督争いのドロドロした人間ドラマが描かれる『オメガ・メガエラ』の設定やあらすじをご紹介していきます。

オメガバース作品は出版社によって設定が所々違っている作品が多いので、こちらでも説明を書きますが、本編の冒頭で詳しい設定がありますのでそちらでご確認してみてください！

作品の設定や概要

著者：丸木戸マキ（丸木戸マキ先生のTwitterアカウントはこちらから！）
出版社：講談社（ITAN）
ジャンル：ヒューマンドラマ、BL、オメガバース
巻数：3巻（連載中：2020年5月13日現在）

まず設定として、人類の性が六つに分けられるオメガバースの世界。男女、そしてアルファ（α）、ベータ（β）、オメガ（Ω）の3種類の性に分かれている。男女、男同士、女同士のどちらでも妊娠することができる。

アルファは優秀な個体で、人口の約１割程度くらいしかいない。知能、身体能力が優れており、政治、経済、軍事、科学など様々な分野のトップにいて国を支えている。

ベータは平均的な能力をもっていて、人口の78%ほど。そして、オメガは人口の12%ほどで、能力的には期待されていないが、遺伝子の組み合わせ上、アルファの子供を産めるのはオメガだけである。

オメガの役割はアルファの子供を産むことであるが、子供を産めないオメガは『メガエラ』と呼ばれ、別の形で国家に奉仕することになる。

そして、アルファとオメガには『魂の番』と呼ばれる特別に惹かれ合う半身のような、運命の相手がいるとされている。

主人公の犀門は主人の征十郎と魂の番であると信じていたが、メガエラであったため、第三夫人の立場に落とされ、肩身の狭い思いをしていた。

そんな犀門が、征十郎の父親、義父の隠し子でオメガの馬宮と出会ったことで、馬宮をアルファと偽り、馬宮を英家の跡取りに育て、征十郎の愛を取り戻すために計略していく。

あらすじ

優れた性とされるα（アルファ）が支配する世界。
αを産む宿命を背負うΩ（オメガ）の人生は、αの子供を持てるか否かにかかっていた――。
財閥一家である婚家・英（はなぶさ）家で子を生せず疎まれていたΩ・犀門（さいもん）は、一人のΩの少年をαと偽り、英家当主の座を狙わせるのだが…!?
性別による身分社会で最下層の、Ωたちの闘いが始まる…！
引用）コミックシーモア

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殺伐とした人間関係『オメガ・メガエラ』の主な登場人物

自分のために相手を利用し、蹴落とし合うドロドロな人間関係が描かれる『オメガ・メガエラ』の登場人物たちをご紹介していきます。

立場が変われば悩みはそれぞれで、殺伐としていながらも心に穴が空いているように傷ついている登場人物たちから目が離せません！

漆間　犀門（うるしま　さいもん）

英征十郎の第三夫人。オメガ。

子供が産めないメガエラであるが、とても優秀で医師免許や博士号を持っており、オメガが通う高等学校の校長を担っている。また実家は漆間製薬会社という名家。

征十郎の父親、義父の善治郎の命を受けて、善治郎の隠し子である馬宮を探しに来る。

そして、馬宮をアルファと偽って英家に引き取り、征十郎の第一夫人に返り咲くことを目論む。征十郎が自分の『魂の番』だと信じている。

九条　馬宮（くじょう　まみや）

英家当主、善治郎の隠し子。オメガ。母親は13歳の時に馬宮を身篭るが、善治郎に捨てられたため、馬宮には戸籍がない。

九条家は元華族だが没落しており、馬宮は15歳で祖母に身売りされる。しかし半年ほどで嫁ぎ先を家出し、オメガであることや出自を隠してヤクザのシマで働いていた。

善治郎の命を受けて探しに来た犀門と結託してアルファと偽り、『真宮』と名乗って英家次期当主の座を狙う。

英　征十郎（はなぶさ　せいじゅうろう）

英家次期当主。三人の婦人を持つ。昔は犀門を『魂の番』だと信じていた。父の善治郎の言いなり。

英　善治郎（はなぶさ　ぜんじろう）

英家当主。征十郎と馬宮の父親。英財閥は、長年この国の政財界を牛耳っている4大財閥の一つで、大金持ち。一度傾きかけていた英財閥を持ち直した手腕もある。

没落した元華族家への融資と引き換えに、当時13歳だった馬宮の母親を抱き、馬宮を身篭ったことを知るとあっさり縁を絶ってしまった。

いまは体調が優れず寝たきりだが、犀門と玲鴎にも手を出したことがあり、数え切れないほど隠し子がいるとされている。また手を出させない獅乃を嫌っている。

犀門に馬宮を探し、もしアルファだったら犀門の子として育てて良いと命令する。

英　玲鴎（はなぶさ　れお）

征十郎の第二夫人。オメガの男性。征十郎のところには二番目の妻として嫁いだ。

英　鹿世（はなぶさ　かよ）

征十郎と玲鴎の長女。オメガ。犀門が校長を務める高校の生徒。成績優秀で進学を希望しているが玲鴎に反対されていて、結婚することが不安。

英　鷹尾（はなぶさ　たかお）

征十郎と玲鴎の長男。オメガ。鹿世の弟で年は離れている。

英　獅乃（はなぶさ　しの）

征十郎の第一夫人。オメガの女性。アルファの子を2人産んでいる。犀門をメガエラと罵り、自分は稽古ごとなどに遊び歩いていた。

馬宮が英家へ来てからは特に情緒不安定で、息子の伊織がアルファであるのに優秀でないことを酷く悩んでいる。

英　麗子（はなぶさ　れいこ）

征十郎と獅乃の長女。アルファ。気が強く武道にも秀でていて優秀。母親の獅乃をいつもに気にかけている。

英　伊織（はなぶさ　いおり）

征十郎と獅乃の長男。アルファ。麗子の弟。アルファであるが勉強も運動も秀でたものがなく、不良と連んでいる。馬宮とは歳が同じで仲良くなる。鹿世を慕っている。

英　由亀江（はなぶさ　ゆきえ）

善治郎の第一夫人で征十郎の実母。オメガの女性。征十郎の姉にあたるアルファも産んでいるが、娘は亡くなっている。伊織をアルファに数えず、犀門のこともメガエラであることを罵る差別的な性格。

斯波　輝彦（しば　てるひこ）

英家の第一執事。ベータの男性。馬宮がオメガと知り、犀門をゆするがその後協力してくれるようになる。元軍人。

漆間　暎子（うるしま　えいこ）

漆間製薬会社の社長。犀門の妹。アルファ。研究者としての才能はないが、経営の才能がある。犀門の研究者としての腕を認めている。

漆間　猪緒（うるしま　いお）

暎子の妻。オメガの女性。

漆間　道夫（うるしま　みちお）

暎子と猪緒の息子。アルファ。

大澤　タキ（おおさわ　たき）

漆間暎子の元で働いているメイド。

桐谷（きりたに）

馬宮のクラスメイト。学級委員長の女性。ベータ。麗子のファンで親衛隊。

湊　亘輔（みなと　こうすけ）

馬宮のクラスメイト。男性。新聞部で自称情報通。

橘　有憲（たちばな　ありのり）

生徒会現会計で、橘財閥の子息。アルファ。麗子とは幼馴染で、子供の頃は仲が良かった。自分をリリィと呼び、女装している。

馬宮に頼まれたことがきっかけで、麗子と生徒会長の座をかけて選挙で争うことになる。馬宮のことをマミィと呼ぶ。

道重　宗太（みちしげ　そうた）

リリィを慕っているベータの男子生徒。ミッチィと呼ばれている。

安東　忠司（あんどう　ただし）

リリィを慕っている男子生徒。アンディと呼ばれている。

廣瀬　嶺二（ひろせ　れいじ）

現生徒会長。アルファの男性。パッとしない見た目で、麗子に恥をかかされてから嫌っている。

葛佐　耀子（かずさ　ようこ）

ベータの女生徒。裕福な家柄だったが出来はよくなく、最下層のクラスに入れられていた。その後とある事情で命を経ってしまった。伊織と仲が良かった。

面白い！『オメガ・メガエラ』の3つの見どころ（ネタバレあり）

出典：「オメガ・メガエラ」、著者：丸木戸マキ、出版社：講談社

目的のために犠牲を払ってでも手段を選ばない、ドロドロの人間関係を描く『オメガ・メガエラ』には、たくさんの見どころ存在します。

そんな数ある見どころの中でも特に注目してほしいポイントを3つに絞ってご紹介していきます。

犀門の異常さ

征十郎の第一夫人に返り咲くため、どんな手も使う犀門の恐ろしさにご注目ください。

最初はちょっとやばい人、と言った程度なのですが、馬宮を『真宮』として当主候補させてからというもの、征十郎に優しくされ、味方を経て、どんどん壊れていきます。

実家が製薬会社で元々頭が良い人なので、オメガとして征十郎に愛されていればまともな人だったと思うのですが、愛を取り戻すためにどんどん必死になっていく姿が恐ろしいです。

同情はあるのですが、オメガでしかもメガエラなのに待遇良く生きてこれたこともあり、とてもガードが緩くて、自分で巻いた種に首絞められている感も否めません。

ちょっと応援しづらいほどの異常さで悩ましい気持ちにさせられるんですが、愛に一途ゆえの行動というところを考えるとまた悩ましい…。

人間味があって恐ろしさもある一途な犀門にご注目ください！

アルファの『真宮』の生き方

馬宮が『真宮』として必死に家督のために戦う姿にご注目していただきたいです。

馬宮という名前は序盤にしか出てこず、馬宮は懸命に『真宮』として、アルファとして生きていく決意をしていきます。

最初は犀門に乗せられたこともあり、財閥を背負って立てるようになったらいいなという気持ち程度だったと思いますが、犀門が壊れていく中で後戻りできなくなっていく姿が見ていてとても辛いです。

ほんとうにいい青年なんです！どろどろで醜い家督争いに巻き込まれて、ただただ征十郎に一途な犀門を気遣って、伊織にも同情していて、すごく健気です！

アルファと偽って生きるため、財閥の家督争いにあらがっていく『真宮』にご注目ください！

醜い家督争いと夫人格差

英家の家督争いと、征十郎の夫人格差の争いにご注目していただきたいです。

実質家督を争っているのは麗子と『真宮』の2人なのですが、それによって征十郎の第一夫人の座など、家内での格差が変わり、待遇が変わってしまうというのが話の核となっています。

征十郎は誰が1番なのか気持ちの上でもはっきりせず、善治郎の言いなりのため、夫人たちは多大なストレスを抱えています。可哀想です！

大きな財閥の跡取り争いや、性別のために政略結婚させられることになったりと、大変複雑にドロドロな人間ドラマが描かれているのでご注目ください！

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大財閥の家内戦争『オメガ・メガエラ』はこんな人におすすめ

『オメガ・メガエラ』は、昼ドラなどのドロドロとした恋愛、ヒューマンドラマが好きな方に特におすすめの作品となっています。

上流階級、大財閥の家督争いに恋愛が絡んできて、だんだんと犠牲も厭わなくなってくるところが本当に恐ろしいです。

思惑や考えは、第一夫人になりたいとか、家で肩身の狭い思いをしたくないとか、様々なのですが、夫人同士もいがみ合っているし、それに巻き込まれる形で仲が悪くなっていく子供たちが辛いです！

何より、それを操っている元凶の当主に、次期当主の征十郎が全然口出ししないところが不思議です。何かしら彼にも誰にも言えない秘密があるような気がしてきています。

そんなぐちゃぐちゃな家督争い、夫人格差がどのような形の結末を迎えるのかがすごく気になります！犀門は第一夫人になれるのか？馬宮は当主になれるのか？

複雑なヒューマンドラマ、財閥などの金持ちの家督争いや格差恋愛が好きな方はぜひこの機会に『オメガ・メガエラ』をご覧になってみてください。

管理人の思う『オメガ・メガエラ』が伝えたいこと（考察）

出典：「オメガ・メガエラ」、著者：丸木戸マキ、出版社：講談社

『オメガ・メガエラ』では、社会格差、差別の醜さを伝えたいように感じられます。

この作品の題材はオメガバースの世界観ではありますが、どちらかというと、性別はあまり関係ないように思います。

格となっているのは、それによって生まれた格差社会と恋愛の不自由さだと思いました。

生まれた性別、産んだ子の性別、子供を産めない身体であることによって、恋愛が自由にできず、社会的地位の格差が起こってしまっています。

そんな生きにくい社会、家督争いの中で、どうやって本物の愛や自由を手に入れることができるのか、まさに下克上！

いびつでも恋のために真っ直ぐな犀門と、社会的に立場は弱いけど素直な馬宮が、どうにかして自由に生きていける未来が描かれて欲しいと思うばかりで、今後の展開が恐くて楽しみです！

殺伐としていてスリリングな場面もありますが、人間味があって複雑で面白いヒューマンドラマ作品となっておりますので、是非この機会に『オメガ・メガエラ』をご覧になってみてください！

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『オメガ・メガエラ』の評価まとめと感想

最後に記事執筆者の評価と他の漫画サイトからの評価をまとめてみました。

漫画を購入するときのひとつの指標として、よかったら周りの評価も参考にしてみてください。

当サイトの評価	4.5（記事作成者の評価）
コミックシーモア	4.8（54件の評価）
まんが王国	5.0（2件の評価）
Renta!	4.5（182件の評価）
BookLive	3.9（15件の評価）
めちゃコミック	3.7（35件の評価）