アニメ化『かつて神だった獣たちへ』神と呼ばれた兵士たちを描いた漫画のネタバレ感想
2019年7月よりアニメ化が放送された『かつて神だった獣たちへ』。
禁忌の技術により誕生し、戦乱の時に「神」と称され英雄となった兵士たち。その兵士を、戦後に「獣」として処分しなければならない主人公を描いたファンタジー漫画。
戦争が終わっても戦い続ける擬神兵が表現される『かつて神だった獣たちへ』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
7月アニメ化!『かつて神だった獣たちへ』のあらすじ
2019年7月にアニメ化され注目を浴びる『かつて神だった獣たちへ』の設定やあらすじをご紹介していきます。
アニメと一緒に漫画も是非ご覧になってみてください。
作品の設定や概要
- 著者:めいびい
- 出版社:講談社(別冊少年マガジン)
- ジャンル:SF・ファンタジー、バトル・アクション
設定として、国土を南北に分けた内戦が長く続いた時代に劣勢に追いやられていた北部が禁忌の技術を持って作り出した異形の兵士たちを「擬神兵(ぎしんへい)」と呼ぶ。
人の姿と引き替えに得た神にも喩えられるその力で「擬神兵」の部隊は戦乱を和平へと導いた。
しかし、人の身に神の力はあまりにも大きすぎ、人は力を恐れ、力は心を腐らせた。内戦から時を経た今は”神”と称えられた兵はただ”獣”と呼ばれている。
また彼ら擬神兵には「心無くした者は仲間の手で葬る」という誓いがある。
ケイン・マッドハウスという反旗を翻した擬神兵の存在により、擬神兵を受け入れる者と排除する者の戦争が起ころうとしている。
あらすじ
禁忌の技術により誕生した神にも似た異形の兵士”擬神兵”。彼らの誕生により、戦乱の国は和平へと導かれた。
そして、彼らは「神」と称され、英雄となったのだ…。
しかし内戦後、時を経て彼らは異形の姿や力を恐れられ「獣」と呼ばれることになる。そして、心を歪めた「獣」たちは、仲間の手によって殺されていく…。
神と称された『かつて神だった獣たちへ』の主なキャラクター
人々から神と称されるほど神々しい見た目や力を持った『かつて神だった獣たちへ』の登場人物をご紹介していきます。
そして、神として戦った彼らにはそれぞれドラマが隠されているのです。
ハンク・ヘンリエット(擬神兵:ウェアウルフ)
本作の主人公であり、数少ない人と獣を行き来できるウェアウルフの擬神兵。夜の間にだけ真の力を発揮する稀有な特性を持っている。
そして元擬神兵部隊の隊長で、内戦後は特技軍曹として心を壊したかつての仲間である擬神兵たちを狩る「獣狩り」をしている。しかし、常に仲間のことを考えて行動している。
夜になると髪が白くなり、膂力と敏捷性に優れたウェアウルフの姿に変身できる。
ナンシー・シャール・バンクロフト
擬神兵であった父の仇を打つために、ハンクの命を狙っていたヒロインの少女。
父から何事もゆとりが大切だということを教わっており、旅の途中でもお茶を持ち歩きティータイムの時間をとっている。
見た目は清楚な服装で華奢な服装だが、戦闘の際には父の形見である「象撃ち銃」を躊躇なく撃つ勇敢さも持っている。
父の死の真相やハンクたち擬神兵が断罪されるべき存在であるかを見極めるために、当初命を狙っていたハンクについて行くことになる。
ライザ・ルネキャッスル
軍の情報局戦後処理部の少尉であり、ハンク特技軍曹のサポートをしている強気な女性。単独行動の多いハンクを何かと気にかけている。
そして危険を承知で情報局を探ったりとハンクを「獣狩り」を助けている。
クロード・ウィザース
擬神兵討伐部隊隊長を務める若き少佐。また擬神兵となったケイン・マッドハウスの実の弟でもある。そして、レイチャード・ウィザーズ大統領の息子。
正義感がとても強く、無茶な行動をよくするが国民をことを非常によく考えている。
エレイン・ブルーレーク
擬神兵を造りだした技術者。擬神兵が何をもたらすか分かっていながら、国を救うために技術を使った。そして、いずれ心を失う擬神兵の命を奪うことを責任としていた。
ハンクとは古い仲であり、ハンクの名付け親でもある。
エレインは町を戦火で焼失した後、孤児たちをまとめ上げて生活を営んでいた。そして、その才能に目を付けられて、教会に引き取られる。
その教会では、周囲を圧倒させる才能を開花させ、首席で卒業する。その後、牧師と一緒にソムニウムの研究をして、擬神兵を生み出した。
ケイン・マッドハウス(本名:ケイン・ウィザーズ)
ハンクの友人であり、擬神兵部隊の副隊長を務めていた血と夜をつかさどる不死の王ヴァンパイアの擬神兵。
名門貴族のお坊ちゃんであったが、自ら擬神兵に志願した。ケインが世界に獣を解き放った犯人。
また擬神兵とともに祖国のパトリアから独立を宣言し、「自由国家新パトリエ」を誕生させた。
ミリエリア
ケインの傍にいる擬神兵の少女。ハンクも知らない擬神兵であり、正体はエレインが身ごもっていた子ども。
擬神兵核を持たない特別な擬神兵であり、ケインと同様に死者を操る能力がある。
エリザベス・ウィザー(擬神兵:アラクネ)
下半身が巨大な蜘蛛である女性の擬神兵。銃弾を防ぐほど丈夫な糸を生成することができる。
ケインともに行動していて、ケインに心酔している様子。
ダニエル・プライス(擬神兵:スプリガン)
肥大化する肉体を持つ擬神兵。通称は「ダニー」。
町思いの優しい男だったが、内戦後は馬車から強奪を繰り返していた。
セオドア・シャーマン(擬神兵:ミノタウロス)
器用な手先に怪力を併せ持つ築城のスペシャリストである擬神兵。戦時中は3日で砦を造ったなどの話もある。
とても臆病な男で何事にも怯え戸惑っていたが、ハンクの「備えれば落ち着ける」というアドバイスに従って砦を備えるようになった。
内戦後でも臆病な性格から、町の呑み込む勢いでひたすら築城を行っていった。
アーサー・オールストン(擬神兵:ベヒモス)
傷を負った箇所を強化再生する性質を持つベヒモスの擬神兵。
アーサーは寡黙な男であり、命令に忠実で欲も感情も見せない静かな男だった。過酷な任務でも文句も言わず、何がしたいとも何が欲しいとも言わなかった。
しかし、「海を見てみたい」と1度だけ話したことがあった。
クリストファー・ケインズ(擬神兵:ガーゴイル)
高空から敵を襲う、見えざる翼を持つガーゴイルの擬神兵。正義に燃える男であり、日々心を揺らす戦場でも正義を貫き、どんな任務でも躊躇なく挑んでいて、ハンクからも一目置かれていた。
内戦後はホワイトチャーチで歪んだ正義を行使していた。
擬神兵:カルキノス
大鋏という最強の矛と甲殻という無敵の盾を併せ持つ擬神兵。全身を覆う分厚い装甲は硬さと柔軟性を備え、切断にも衝撃に優れた耐性を発揮する。
ホワイトチャーチにて、1番最初に客に攻撃を繰り出し、真っ二つにした。
ジョン・ウィリアム・バンクロフト(擬神兵:ニーズヘッグ)
シャールの父で強力な肉体と無尽蔵な生命力を持つ大食いの不死の竜である擬神兵。
シャールたちのいる孤児院への支援金をもらうために擬神兵として戦争に行ったが、内戦後は村の牛などを食べていると村人から疑われていた。
その後、ハンクによって銃殺され、村の近くの山中に埋められるが、死に損ない腹を満たすために肉を求めた。
ベアトリス(擬神兵:セイレーン)
鳥の翼と人魚のような下半身を持った女性の擬神兵。特殊な歌声で戦場の敵を眠らせ命をも奪う力を発揮していた。しかし、生身の人間と変わらない耐久力のない体である。
戦争前は斜陽の港町ポートガルフの酒場で歌手として人気を博していた。
ロイ(擬神兵:ガルム)
ケイン側についた獣の知覚と膂力を持つ人狼の擬神兵。ウェアウルフと似た見た目だが、人型へ戻る能力と引き替えにより強い力と素早さを持っている。
内戦時はハンクとケインと戦地を駆け巡っていた。ハンクのことを戦場で輝く光として尊敬していた。
ホワイトチャーチの事件後に孤独に戦い続けているハンクの元に現れて、ケイン側につくように諭す。
内戦が終わっても過去に囚われて戦いの中でしか生きることができなかった男。
マインズ・バイロン(擬神兵:ケンタウロス)
ケイン側についた騎兵の突撃力と狙撃能力を併せ持つ半人半馬ケンタウロスの擬神兵。
傷をすぐに治してしまう不死身のような肉体を持ち、俊足で狙撃の名手でもあり、巨大な馬体で戦場で対峙する者に自覚無き畏怖を覚えさせる。
内戦前は名の知れた医者で、患者に感謝されることを支えにしていたが、治しても治してもすぐに戦争で死んでいく兵士たちを見ていて自分の意味を見失っていた。そのため、人を救うために擬神兵になった。
内戦後は歪んだ心を持つようになり、敵味方問わず人の悲鳴を聞くのを好むようになってしまった。
ロバート・アーベル(擬神兵:ドッペルゲンガー)
一夜で部隊を生み出すドッペルゲンガーの擬神兵。1度失敗作として切り捨てられたが、優れた兵力を生み出す力を見込まれて部隊員となった。
内戦後は、生み出す分身が化け物ばかりになり、自身の意思とは無関係に人を殺し自身に食わせる怪物となってしまった。
トワイライト(擬神兵:スペクター)
エコールに残された擬神兵用のカプセルで生きながらえていた擬神兵。
羽虫の群れを自在に集合と分離を繰り返し、人の姿や器物の形を空中に描くことができる。
ハンクにエコールで起きた出来事を伝え、そして死にたいという望みをハンクに叶えてもらう。
レイチャード・ウィザーズ
パトリアユニオンの大統領。ケインやクロードの父に当たるが家族までも国の未来のために利用している。
国の未来を第一に考えており、最大利益を得るために国民を犠牲にする政策を取ることも厭わない。
面白い!『かつて神だった獣たちへ』の見どころ3選(ネタバレあり)
神とあがめられた兵士の末路を描く切ない物語の『かつて神だった獣たちへ』ですが、バトルシーンや登場人物たちのドラマなど見どころがたくさん存在します。
そんな数ある見どころの中でも特に注目してほしいポイントを3つご紹介していきます。
神とあがめられ擬神兵の末路
『かつて神だった獣たちへ』では、神とあがめられた擬神兵たちの戦後の姿が見どころとなっています。
人の姿を捨て、異形の兵士「擬神兵」として戦い、戦乱の国を和平へと導いた彼らですが、内戦後は異形の姿のまま町の人々に疎まれながら生きていかねばなりません。
そして、村に自分の存在価値を見出すために強奪を続ける擬神兵になってしまったり、戦争が終わっても戦いの恐怖から逃れされない擬神兵になったり、歪んだ心になり人を襲い続ける擬神兵となってしまう悲しきかつての神の姿が度々描かれています。
人智を超える力を手に入れた人たちの悲しく、切ない末路には是非注目してもらいたいです。
人間の浅ましさ
この話では、擬神兵以外の人間たちの浅ましさも忠実に表現されています。
はじめは擬神兵が村から出ると、その村や町には多大な資金をもらうことができたりして、さらに内戦を和平に導いた擬神兵の存在に、人々は感謝します。
しかし内戦が終わってからは、人々は「神」を「獣」として扱い、恐れ、疎ましく思うのです。
強大な力を求めながら、必要がなくなれば厄介者扱いをする都合の良い、あさましい人間たちには読んでいて腹が立ちますが、どこか人間の本性を描いているようで考えさせられます。
擬神兵とハンクの戦い
また擬神兵とハンクの戦いは『かつて神だった獣たちへ』の見どころです。
生きたいと願うかつての仲間をその手にかけ続けるハンクの苦悩や政府に対して確執のあるケイン・マッドハウスの反逆、戦争が終わった後も苦悩し戦いを続けている彼らに戦争が生み出した闇や禁忌の技術の秤しえない代償の重さを感じさせられます。
擬神兵同士の戦いは神々しく見惚れてしまうほど迫力満点ですが、どこか悲しみに満ちているのです。
戦争後もそれぞれの思いを胸に戦い続ける彼らには是非注目してください。
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『かつて神だった獣たちへ』はこんな人におすすめ
『かつて神だった獣たちへ』は、バトル漫画好きな方やヒューマンドラマのある物語が好きな方には特におすすめの作品となっています。
ウェアウルフにケンタウロスにガーゴイルなど神になぞらえて造られた神のような力を持つ擬神兵たちの神々しいバトルは、迫力満点で描かれていて、思わず見入ってしまいます。
また人の姿を捨てて、戦乱の地へ赴いた彼らにはそれぞれドラマがあり、バトルもドラマ性も楽しめる興奮して、泣ける物語となっています。
バトル漫画好きでもドラマ好きな方でも、またファンタジー好きな方でも楽しめる美しい作品となっているので、是非ご覧になってみてください。
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管理人の思う『かつて神だった獣たちへ』が伝えたいこと(感想)
『かつて神だった獣たちへ』では、人間の欲望の果ての破滅を描いているように感じられます。
この物語では、戦争に勝つために力を求め、擬神兵という神にもなぞらえる強力な力を造りだします。そして、その力を使ったおかげで内戦が和平になり、ひと時の平和を手に入れることができます。
しかし、戦争が終わると人々の様子も擬神兵の様子も一変し、人々は自身が求めた力の大きさに耐えられなくなり邪魔だと叫びだしたり、擬神兵は強大な力を暴走させます。
これは、現代の核兵器や原子力のような人智を超える力を比喩しているように感じられます。強力な力でひと時の平穏が保たれますが、その力の暴走に人類のなすすべもない現代兵器を危うさを伝えたいように思えるのです。
『かつて神だった獣たちへ』は、そういった人間の欲望が生み出した強力な兵器の危険性が伝わってくるような非常に考えられる作品となっていますし、物語も迫力があり、ドラマがありの非常におもろいものとなっています。
ファンタジーの中にも考えさせられる描写が詰まっていますので、是非この機会にご覧になってみてください。
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