『ここは今から倫理です。』悩める生徒を倫理で導く学園漫画のネタバレ感想
学ばなくても将来困ることのない学問である倫理を使って、悩める生徒たちと真摯に向き合う教師を描いた学園ヒューマンドラマ漫画の『ここは今から倫理です。』。
誰もが抱いたことのある答えのない人生の悩みに対して、哲学者たちの名言を用いながら、自分の心と向き合うことを促す新しい教師の姿に心を打たれる名作となっています。
倫理を自然と学べて、自分とも向き合える『ここは今から倫理です。』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
雨瀬シオリが描く新時代の教師物語『ここは今から倫理です。』のあらすじ
熱血教師とは違うが、独自のスタンスで生徒たちに真摯に向き合っていくクールな教師を描いた『ここは今から倫理です。』の設定やあらすじをご紹介していきます。
こんな先生から授業を受けてみたかったと思えるかっこいい先生が登場します。
作品の設定や概要
- 著者:雨瀬シオリ
- 出版社:集英社(グランドジャンプPREMIUM、ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- ジャンル:ヒューマンドラマ
倫理の教師が悩める生徒たちと向き合い、生徒は自分の心と向き合って成長していく学園ヒューマンドラマが描かれている作品。
そして倫理は、学ばなくても将来困る事はほぼ無い学問であり、地理や歴史の様に生活する上で触れる事は多くないし、数学のような汎用性も英語のような実用性もない。
しかし、死が近づいた時などや人生に迷った時に役立つ学問と語られている。
そんな倫理の知識などを用いて、先生が生徒たちを導いていく。
基本的に1話完結のストーリーとなっていて、1話ごとに悩める生徒と倫理の先生がぶつかるような内容となっている。
あらすじ
「倫理」とは人倫の道であり、道徳の規範となる原理。学ばずとも将来、困る事はない学問。
しかし、この授業には人生の真実が詰まっている。クールな倫理教師・高柳が生徒たちの抱える問題と独自のスタンスで向かい合う――。
新時代、教師物語!!
引用)コミックシーモア
人には言いにくい悩みを持った『ここは今から倫理です。』の主な登場人物
『ここは今から倫理です。』には、人には言いにくいが誰もが思ったことがあるような悩みを抱えた生徒たちがたくさん登場します。
そんな悩みを抱えた登場人物たちをご紹介していきます。
高柳先生(たかやなぎ)
主人公の倫理のイケメン教師。基本的にクールで無表情。また意外にも喫煙者。
倫理の知識を使って、悩みを抱える生徒たちに、独自のスタンスで向かい合っていく。
そして、悩んでいる人間にしか興味がない。
生徒たちからは、よく「たかやな」と呼ばれている。
逢沢いち子(あいざわ いちこ)
選択授業で倫理を取っているギャルの生徒。多くの先生の頭を痛めるような行動ばかりしていて、はじめは高柳先生にもちょっかいを出す。
貞操もゆるく学校でもしばしば行為に及んでいた。しかし、高柳先生のことを好きになってからはちょっとずつ更生していく。
そして先生の好きなタイプの女性になるために勉強も頑張るようになる。
酒井美由紀(さかい みゆき)
頭の良い女子生徒。倫理のことを良く知らないから倫理を選択して授業を受けている。
頭が良いため周りの人が馬鹿に見えるし、先生の生徒を見下したような態度に嫌悪感を抱いている。
中学時代は3年かけて図書室の本を全て読んだ経験があり、その経験から大抵のことは本を読めばわかると思うようになった。
八木まりあ(やぎ まりあ)
酒井美由紀と同じクラスのギャルのような女子生徒。選択授業で体育を取りたかったが、抽選に落ちたため倫理の授業を取っている。
男性経験が意外にも豊富であった美由紀のことを「ししょー」と呼ぶようになる。
悩みがないように見えるが、あるきっかけで自殺を決意する。
谷口恭一(たにぐち きょういち)
逢沢いち子と同じクラスの先生になろうと夢見る男子生徒。小学校低学年からいじめられた経験があり、その後も何度もいじめを経験したが、お金を武器に自力で乗り越えてきた。
高校に入ってからはいじめもなくなったが、いじめられてる頃に助けてくれる先生がいなかったため、いじめられっこに寄り添える先生になりたいと思うようになった。
それから、お手本になるような「いい先生」を探していて、倫理の高柳先生のことが「いい先生」だと思うようになる。
本田奈津子(ほんだ なつこ)
普段は大人しいけど、クラスメイトにカバンの中身を床にぶちまけられて、クラスメイトをイスで殴った女子生徒。
倫理は一番好きで、倫理の時間は熱心に先生の話を聞いていて、積極的に質問もする。
休み時間のたびにずっとカバンの中を覗き込んでいて、カバンの中に人には言えない秘密を隠している。
間幸喜(はざま こうき)
倫理の時間いつも寝ている不良の生徒。逢沢いち子を襲っている所を高柳先生に止められて、殴ったりしたこともある。
家ではいつも1人でいるため、暇を持て余しており、毎晩やんちゃな人たちとつるんでいる。それが原因で学校ではほとんど寝ていた。
しかし、高柳先生と電話してから少しずつ変わるようになる。
深川時代(ふかがわ ときよ)
ドSな女子生徒。高柳先生のようなクールぶっている男の歪んだ顔を見るのが好きで、1年生のときに高柳先生を陥れようとしたことがある。
そして、現在は別の先生をターゲットにしている。
また、お姉さんはテレビに出るようなモデルである。
松田先生(まつだ)
物理の先生。教師と生徒の恋愛について高柳先生に意見を聞く。
普段は女子生徒から凄く嫌われていたが、最近自分のところに遊びにくる女子生徒がいて、気になりだしている。
都幾川(ときがわ)
保健室通いの生徒。保健室通いだが、倫理の授業はきちんと受けていて、高柳先生を慕っている。
人との距離感を掴むのが苦手で、気に入った人にはくっつきすぎてしまう。
家は母子家庭で母親はずっと心の病気だったため、時々暴力も受けていた。
ゲームは大好き。
藤川先生(ふじかわ)
保健室の先生。都幾川の面倒をよくみていて、とても気に入られている。
山野亮太(やまの りょうた)
間幸喜らとつるんでいる不良の生徒の1人。
父親はサラリーマンで母親は専業主婦で、妹は思春期という普通の4人家族で、成績も普通で特技も夢もない普通の人間であることに満足していない。
そのため、心の中で目立ちたいと思っている。
安村(やすむら)
SNS中毒である女子生徒。あまり容姿に恵まれていないため、際どい自分をSNSに投稿して承認欲求を満たしている。
現実では地味で友達も少ないが、ネットの中ではキラキラ輝いている。
倫理の時間でもSNSを見すぎていたため、スマホをたびたび没収される。
近藤陸(こんどう りく)
間幸喜や山野亮太とつるんでいる不良の生徒。兄貴がヤクザっぽい人なため、危ない知り合いも多く、危ない遊びもしている。
兄貴がグレた事がきっかけで母親は家に寄り付かなくなり、父親はガテン系の仕事をしているため、あまり家にいない。
そのため、兄貴が自分の兄であり、父のような存在だった。
ジュダ
陸が襲われている所を助けた危ない人。そして陸の兄貴のオーナーにあたる人物。
自分を大人だと思い込んでいて、騙しやすくて自我が無くて、体がピチピチな高校生が大好き。
高柳先生とは知り合い。
曽我涼馬(そが りょうま)
全くしゃべらない頭の良い生徒。とても変わっている人。
テストではどの教科も90点以下はとらない上に、自由回答や小論文もとても上手い。さらにスポーツも得意で、喋らないけど友達もいて、チームプレーもできる。
高柳先生とは、話さないが一緒にご飯を食べることはある。
田村創(たむら はじめ)
あまり頭が良くない生徒。一番行きたかった学校には落ちたため、滑り止めの家から一番近い学校に通っている。
そんな頭の良くない自分にもお金をかけてくれる母親に感謝していて、いつも休まず勉強を頑張っている。
南(みなみ)
逢沢いち子と谷口恭一と同じクラス女子生徒。
クラスの団結力を面倒臭いと思っていて、うるさいのも群れるのも苦手。交友関係も狭く深くがいいと考えている。
高崎由梨(たかさき ゆり)
リストカットをする女子生徒。ムカつくことや泣くときや悔しいときなどにリストカットするクセがある。
倫理が唯一好きな授業。また、ゲームは大好き。
面白い!『ここは今から倫理です。』の3つの見どころ(ネタバレあり)
生徒たちの共感できる悩みや、倫理の先生の生徒への向き合い方など『ここは今から倫理です。』には、勉強にもなるし面白い見どころがたくさん存在します。
そんな数ある見どころの中でも特に注目してほしいポイントを3つに絞ってご紹介していきます。
悩みを抱える生徒たち
『ここは今から倫理です。』では、人生におけるよくある悩みを抱えた生徒たちがたくさん登場します。
頭が良くて周りが馬鹿に見える優等生や自殺をしようとする子、いい先生を目指す生徒、自由と不安に挟まれる少年などが葛藤する姿が描かれているのです。
そんな悩みたちは誰もが経験したことある答えのないものばかりであり、読者の方でも現在進行形で同じ悩みを抱えている方も多くいると思いますし、共感できて自然と感情移入できる内容になっています。
自分と同じ悩みを持った登場人物を見つけて、その人がどのように悩みに向き合っていくのかは是非注目してもらいたいです。
生徒に真摯に向き合う高柳先生
そして、そんな悩める生徒たちに倫理を用いて寄り添う高柳先生が見どころとなっています。
高柳先生はありきたりな生徒が欲している言葉を伝えるのではなく、フランシス・ベーコンやソクラテスやニーチェなどの言葉を引用して、哲学者たちの考えや自分の考えを通して生徒を導いていくのです。
中には難しい内容もありますが、「悩まぬ豚より悩めるソクラテスであれ」というJ.S.ミルなどの名言を使って、悩めむことまでも肯定する先生には読者の方々も救われると思います。他にもいろいろな名言が語られて、どの言葉も胸に響いてくるのです。
そして私自身、こんな先生にめぐり逢いたかったと思いました。
また先生は普段は無表情でクールだけど、生徒たちの悩みにぶつかるときは、よくたじろいだりもします。そんな人間味があって、生徒に真摯に向き合っていく高柳先生の言葉には、是非耳を傾けてみてください。
倫理の知識
そして『ここは今から倫理です。』は、倫理の勉強にもなる作品です。
老子の説く性善説の話やソクラテスの「無知の知」の話など、有名な倫理の話をとても丁寧に解説されていて、読者も登場人物たちと一緒に授業を受けているような気分を味わえます。
さらに生徒たちの実際の問題に対して、倫理を絡めたドラマが繰り広げられるため、実際にどのように倫理が使われるのかが分かり、内容がとても理解しやすいのです。
作品冒頭でも語られている通り、倫理は学ばなくても困ることはない学問ですが、悩んだときには力になるようなものばかりですので、この機会に『ここは今から倫理です。』で倫理を学んでみてはいかがでしょうか。
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『ここは今から倫理です。』はこんな人におすすめ
『ここは今から倫理です。』は、答えのない悩みを持っている方には特におすすめの作品となっています。
物語は、生徒たちの人間関係の悩みや生き方についての悩みなどの答えのない問題に対して、倫理の先生が哲学者たちの考えを通して向き合っていく話になっています。
そのため、読んでいると自分の悩みは、昔から多くの人が同じように悩んでいたことであることに気付けますし、悩みに向き合い、自分に向き合う気持ちまで持てるようになってくるのです。
答えのない悩みで行き場をなくしている方は、この作品の言葉を聞いて救われることが大いにあると思うので、是非『ここは今から倫理です。』をご覧になってもらいたいです。
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管理人の思う『ここは今から倫理です。』が伝えたいこと(考察)
『ここは今から倫理です。』では、倫理という大切な学びを伝えたいように感じられます。
物語の冒頭では、倫理を学んで役に立つ仕事がないことが言いながらも、死が近づいた時やジェンダーについて悩んだ時、幸せとは何か考えた時などに役立つものであることが語られています。
そして、生徒たちの悩みは哲学者たちが人生をかけて研究してきた倫理を使って、良い方向に導かれることが多いのです。
実際に倫理の言葉などで悩みが解消に向かう姿を見ていると、納得できることが多いですし、悩みに向き合うことの大切さを感じられます。そして、悩むこと自体悪いことはないということを思えてくるのです。
倫理は人の心に触れ、自分の心に触れる時間になるので、現代人にこそ必要なものだと強く思いました。
『ここは今から倫理です。』では、人生に迷ったときに助けになる内容がたくさん描かれているので、是非悩んだ時はご覧になってみてください。
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『ここは今から倫理です。』の評価まとめと感想
最後に記事執筆者の評価と他の漫画サイトからの評価をまとめてみました。
漫画を購入するときのひとつの指標として、よかったら周りの評価も参考にしてみてください。
当サイトの評価 | 3.7(記事作成者の評価) |
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コミックシーモア | 4.8(58件の評価) |
まんが王国 | 4.8(24件の評価) |
Renta! | 4.7(31件の評価) |
BookLive | 4.8(76件の評価) |
めちゃコミック | 4.4(464件の評価) |
※それぞれ5段階評価となっています。
見どころなどでも詳しくお伝えしてきましたが、登場人物と同じような悩みを持っている方が見れば、本当に感動して救われる話であると感じましたし、倫理の勉強にもなる名作だと思いました。
しかし、私はあまり悩みがないときに読んで、文字が多くて読むのに疲れてしまったため上記のような評価にさせて頂きました。
読む時期によっては他のサイト同様の高評価をつけたと思いますし、学生時代に読んでおきたい作品だと強く感じました。
どのサイトでも高評価ばかりが並ぶ名作ですので、気になる方は是非とも読んでみてください。