名作すぎる『彼方のアストラ』SFサバイバルアドベンチャー漫画のネタバレ感想
マンガ大賞2019で大賞を獲得し、2019年7月にアニメ化もされた今人気絶頂のSFサバイバルストーリーの『彼方のアストラ』。
近未来のSFの世界を舞台に、ギャグもあり、感動もあり、ミステリーもある誰もが楽しんで読める作品となっています。
宇宙冒険SFというあまり人気のないジャンルながらも大賞を受賞し大人気を博している『彼方のアストラ』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
マンガ大賞×アニメ化『彼方のアストラ』のあらすじ
「SKET DANCE」を手掛けた篠原健太先生が、これまでと全く色の違う漫画を描こうと心に決め、様々な困難を乗り越え完成された『彼方のアストラ』という宇宙冒険SF漫画。
篠原先生のギャグが冴えわたっていて、SFの構想も素晴らしい『彼方のアストラ』の設定やあらすじをお伝えしていきます。
作品の設定や概要
- 著者:篠原健太
- 出版社:集英社(ジャンプコミックスDIDITAL)
- ジャンル:SF・ファンタジー、ギャグ・コメディ、ヒューマンドラマ、ミステリー
設定は西暦2063年の宇宙への往来が当たり前になった近未来。ケアード高校の生徒が主役たち。
ケアード高校は惑星キャンプとして惑星マクパで、大自然の中生徒だけで5日間過ごすイベントを行っている。
そして、そのメンバーの選出は無作為に行われる。また惑星キャンプでは特別課題が出される。主人公カナタたちの課題は10歳の少女を同行させるというものだった。
あらすじ
高校生のカナタ、アリエスら9名は学校の催し物で惑星マクパへキャンプに出掛けることになった。そしてそれは楽しいキャンプになるはずが…。
惑星キャンプが始まろうというときに謎の光に飲み込まれて、カナタらは宇宙に放り出されてしまった。そこは5千12光年も離れた宇宙だった。
しかし惑星を5つ経由して、食料や飲料を採取しながら進めば、故郷に帰れることがわかり、彼らの惑星サバイバルアドベンチャーが始まる。
声優も豪華!『彼方のアストラ』アニメ化情報
マンガ大賞で大賞を受賞した大人気漫画『彼方のアストラ』は、2019年7月3日からアニメが放送されました。
漫画で見ていたキャラクターたちが動いているのは、やはり感動できますし、美しい映像で送られるストーリーに楽しめること間違いなしなので、是非アニメもチェックしてみてください。
まずはPVからご覧になってみてください。
そして、アニメ制作関係者は以下の通りとなっています。
- 原作:篠原健太
- 監督:安藤正臣
- シリーズ構成:海法紀光
- キャラクターデザイン/メイン総作画監督:黒澤桂子
- サブ総作画監督:山本由美子
- 製作:彼方のアストラ製作委員会
また声優陣は以下の通りとなっています。
- カナタ・ホシジマ:細谷佳正
- アリエス・スプリング:水瀬いのり
- ザック・ウォーカー:武内駿輔
- キトリー・ラファエリ:黒沢ともよ
- フニシア・ラファエリ:木野日菜
- ルカ・エスポジト:松田利冴
- ウルガー・ツヴァイケ:内山昂輝
- ユンファ・ルー:早見沙織
- シャルス・ラクロワ:島崎信長
- ポリーナ・リヴィンスカヤ:生天目仁美
さらに詳しくアニメ関係者を知りたい方や、声優の方々のコメントなどを見たい方は、TVアニメ「彼方のアストラ」公式サイトをご覧になってみてください。
謎の共通点を持つ『彼方のアストラ』の主な登場人物
『彼方のアストラ』では、個性が強すぎるキャラクターたちが登場します。しかし、その登場キャラクターは何者かの陰謀により選ばれた者たちなのです。
登場キャラクターたちに隠された共通点にも注目しながらキャラクターを見てみていきましょう。
カナタ・ホシジマ
- 年齢:17歳
- 誕生日:5月5日
- 身長:181㎝
- 体重:71㎏
- 血液型:AB型
- 目の色:ブラウン
- 出身地:ムーサニッシュ地区
父が十種競技の偉大な選手。父のコーチの元、十種競技に励んでいたため、驚異的な身体能力を持っている。十種競技では20歳未満のジュニア選手権で高校生ながら3位に入賞した経験もある。
キャプテンにはじめから志望していて、実際にキャプテンの地位を獲得した。はじめは他のメンバーよりも頭の回転が速いわけでもなく指示が的確なわけでもなく頼りないキャプテンであったが、誰よりも仲間思いであり、徐々にキャプテンとしての風格を出していく。
夢は宇宙の探検家で、自分の船を持って隊員を引き連れて誰も行ったことない惑星に行くことである。そのため、キャプテンの仕事をその一歩になると考えていた。
それは元は恩人の夢であり、恩人を事故で亡くしてしまい、それをきっかけに目指すようになった。中1のときに山に登って、生徒5人だけで遭難したことがあり、引率の先生が命を落としてしまったが、生徒は全員助かった。
仲間のためには自分の命を惜しまない行動をする本当に仲間思いのキャラクターで、絶望的な状況でも自身が考えた「サバイバルの心得」で和まそうとしている。
アリエス・スプリング
- 年齢:17歳
- 誕生日:4月20日
- 身長:162cm
- 体重:52kg
- 血液型:O型
- 目の色:右目ヘーゼル 左目グリーン
- 出身地:ローザポップ地区
2年B組。趣味はポエム。特技は一度会った人を忘れないこと。空気が読めないって人から言われるが、自分ではよくわからないらしい。
アホっぽいけど元気ハツラツな女の子で困難の時には機転の利いた発言をすることもしばしばある。映像記憶能力があるため景色や人の顔を一度見たら忘れない。旅では日誌の書記係をしている。
食べること、笑うこと、寝ることが大好き。
みんなが不安に陥っている状況でも、おちゃめな性格でみんなを笑顔にする力がある。キャンプの目標は全員とお友達になること。
ザック・ウォーカー
- 年齢:17歳
- 誕生日:6月9日
- 身長:185㎝
- 体重:76㎏
- 目の色:ブルー
- 出身地:ムーサニッシュ地区
父が科学者で、記憶移植の研究をしている有名な人物。ザックも父とは違うテーマだが、研究者になるつもりである。宇宙船の操縦免許を持っていて、宇宙船を運転したり、故障した際は直したりすることができる。
IQ200の超天才でキトリーとは幼馴染。船の操縦はもちろん、可食判定機を作るなど機械面に強い。
父親には愛されず育ってきたため、父のことを好きでも嫌いでもないが、同じような人間にはなりたくないと思っている。
キトリー・ラファエリ
- 年齢:17歳
- 誕生日:6月1日
- 身長:157㎝
- 体重:43㎏
- 目の色:バイオレット
- 出身地:ムーサニッシュ地区
父親はいないが、母は医者のため、跡を継ぐために医学を学んでいる。
しかし、親に愛されることなくほとんど使用人に育てられてきた。また友達も以前はザック以外にいなかったため、人との接し方が下手である。
そのため、高飛車な発言をしばしばして喧嘩することが多い。旅では船医として活躍している。
医者は母親の希望のため、キトリーは医者以外に本当の夢を持っている。
フニシア・ラファエリ
- 年齢:10歳
- 誕生日:10月19日
- 身長:136㎝
- 体重:31㎏
- 血液型:A型
- 目の色:ヴァイオレット
- 出身地:サンハリオン地区
キトリーの戸籍上の妹にあたる10歳の少女。児童養護施設にいたが、キトリーの家で養子として引き取られる。
惑星キャンプの特別課題として、今回同行することになった。ビーゴという思ったことをアニメキャラの喋りで再現する人形をいつもつけている。
姉のキトリーのことが大好き。
ルカ・エスポジト
- 年齢:17歳
- 誕生日:8月19日
- 身長:162㎝
- 体重:47㎏
- 血液型:O型
- 目の色:グレー
- 出身地:ムーサニッシュ地区
政治家マルコ・エスポジト上院議員の養子。モノを作ったりするのが得意で、美術系の大学を目指している。手先が器用で船が急に壊れたときも修理したりといろいろと活躍している。
IS(インターセクシャル)という完全な男でもなく女でもない医学的に男女の判別ができない人物。子どものころは男と育ってきたが、中学に入ったころから女の子らしい身体的な特徴も出てきた。
そんな特殊体質のため父親の興味は失われ、愛されずに育ってきた。
しかし、誰の懐にもすぐに入り込んでしまう接しやすい性格で、自分の体質も使ってウルガーをからかったりするなどユーモアに溢れている。
ウルガー・ツヴァイク
- 年齢:17歳
- 誕生日:8月23日
- 身長:165㎝
- 体重:56㎏
- 血液型:B型
- 目の色:アンバー
- 出身地:ムーサニッシュ地区
父親は高校の教頭をしている。ジャーナリストの兄がいるが、親は兄にだけ目をかけ、自身は愛情をもらわずに育てられてきた。しかし、兄だけはウルガーに優しかった。その兄を慕っていて、ウルガーもジャーナリストを目指す。
そんな兄が政治家に消されたことがきっかけで、これまで復讐に燃える人生を送ってきた。復讐こそが唯一の生きがいと感じるほどだった。
独学で射撃を学んでいて、重力制御装置を再起動する際に大いに役に立ったり、食料を調達するときに役立つ。
ユンファ・ルー
- 年齢:17歳
- 誕生日:8月25日
- 身長:179㎝
- 体重:67㎏
- 血液型:B型
- 目の色:ブラウン
- 出身地:ムーサニッシュ地区
冒険のはじめは引っ込み思案な性格で自分を出さなかった。自分に自信がなく、髪の毛も顔が隠れるほど長い。母親からは目立たないようにと厳しく育てられてきたため自己表現を抑える性格になった。
B5班にはそれぞれ特技を持った優秀な人が多い中で、自分は何も特技がないことを気に病んでいた。
得意なことはないと思い込んでいたが、歌手になりたいという夢がある。そして、母親はユーシー・ラムという偉大な歌手。
シャルス・ラクロワ
- 年齢:17歳
- 誕生日:4月28日
- 身長:176㎝
- 体重:58㎏
- 血液型:O型
- 目の色:グリーン
- 出身地:ヴィクシア王政地区
生物が大好きで好奇心旺盛なイケメン。誰でも優しく、話すたびにキラキラと高貴なイメージを与えるのが特徴的。生物に関する知識もかなり詳しい。
しかし、生物に対する好奇心が強すぎて、気持ち悪く、周りからはちょっと気味悪がられている。そして新しい生物を見るたびに興奮している。
未知の動物の背中に乗って未開の荒野を走ることなどが夢だった。
故郷とは違う未知の食材しか手に入らないにもかかわらず、料理もうまい。さらに頭もよく機転の利いた発想で、食糧問題などを解決に導いている。
ポイーナ・リヴィンスカヤ
- 年齢:28歳
- 誕生日:12月13日
- 身長:164㎝
- 体重:46㎏
- 血液型:A型
- 目の色:グレー
- 出身地:ロシア
アーク6号の乗組員。他の乗組員と惑星調査の任務をしていたが、その途中で船の不調に見舞われ、予定外の惑星に降りた。
そこで、他の乗組員たちは惑星生物に襲われ帰ってこなくなり、1人残されたポリーナは人口冬眠装置に入って、長い間救助を待っていた。そして、B5班メンバーに見つけてもらう。
全てが面白い『彼方のアストラ』の見どころ3選(ネタバレあり)
『彼方のアストラ』はSF要素もギャグ要素もドラマ性もあり、全てが面白く見どころに溢れている作品です。
その中でも特に注目してほしい見どころを3つお伝えしていきます。
ギャグ&SFが絶妙に絡み合った新感覚
『彼方のアストラ』は、機密に構成されたSFの設定だけでなく、ギャグ要素も存分に楽しめることが大きな魅力となっています。
はじめからアイリスとカナタを筆頭にギャグで加速していき、そして惑星スーツや惑星の生態系などのSF設定も科学初心者にもわかりやすく施されています。
シリアスなシーンも多いながらも、読者の期待を裏切らない頻度で絶妙に織り込まれたギャグには、不安な感情や感動の感情を味わいながらも笑ってしまう不思議な気持ちにされられるのです。
現在よりも発達した未来の世界の中でも光るギャグを是非楽しんでください。
キャラクターたちが抱える家庭事情
『彼方のアストラ』では、登場するキャラクターそれぞれが家庭環境に問題があり、一癖も二癖もある性格の持ち主で溢れています。
家族に愛されず人とあまり接することなく育てられ人との付き合い方がわからないキトリー。自己表現を全否定されて育てられてきた引っ込み思案のユンファー。
そして親に誰にも愛されず唯一愛してくれた兄を亡くしたウルガーなど過去に辛い思いをして自分の気持ちを素直に表現できない人たちが描かれています。
そんな彼らが仲間との旅の中で徐々に自分を見つけ、自分を表現していく姿には本当に感動するので、涙なしでは読めない作品です。
登場キャラクター全員にそれぞれドラマがあり、涙なしでは読めない物語となっています。
B5班が宇宙に飛ばされた伏線まみれの事件の真相
楽しい宇宙キャンプになるはずが、突如5千12光年も離れた宇宙に飛ばされ、命の危険にさらされるB5班の事件の真相も『彼方のアストラ』では見どころとなっています。
謎のワープホールの球体に宇宙に飛ばされ、ヘルメットを着けなければ即全員が死んでいた状況。アストラ号がなかったら、帰還ルートを見つけられなかったら、死んでいた状況。
その状況は意図的に作られ、さらにアストラ号の通信機もメンバーの誰かに破壊されているという仕組まれた展開には、読んでいて楽しく感動的な場面でも読者にずっと不安を与えてきます。
そして、1巻から緻密に仕込まれていた伏線が次々に回収され、メンバーたちの意外な共通点や犯人の狙いが明らかになったときは、ただただ衝撃を受けます。
すべてが計算されつくされて、終盤に一気に伏線を回収する衝撃の展開を是非実際に読んで楽しんでもらいたいです。
新感覚のSF冒険ストーリーの『彼方のアストラ』はこんな人におすすめ
『彼方のアストラ』は万人におすすめできる作品であると感じます。
漫画ではあまり人気のない宇宙冒険SFというテーマでありながらも、わかりやすいながらも緻密に構成されたSF要素。スケットダンスの篠原健太さんの光るギャグに、キャラクターたちのヒューマンドラマ。さらには殺人計画というミステリー要素も入った贅沢な作品です。
SFの未知の世界に興奮し、ギャグに笑い、ヒューマンドラマに感動し、そしてミステリーに驚くといった、人が感じる感情を『彼方のアストラ』ではいっぺんに味わうことができるのです。
本当に大満足でお腹いっぱいになる漫画で、漫画大賞に選ばれるのもうなずける名作ですので、漫画好きな方は必ず読んでみてください。
管理人の思う『彼方のアストラ』が伝えたいこと(感想)
『彼方のアストラ』では、自分の個性に自信を持つこと、自分の人生は自分で決めることの大切さを伝えたいように感じます。
『彼方のアストラ』に登場するキャラクターたちは特別な事情があり、それぞれ親から愛されなかったり、親の夢を押し付けられたり、自己表現を押さえつけられて育てられてきます。そんな彼らも仲間との冒険で、個性に自信を持ち、自分の夢を持つようになり、その姿が開放的でとても美しく描かれているのです。
近年は多様性や個性を尊重することが叫ばれるようになってきていますが、未だ親の敷いたレールの上を走る人生を送ったり、人の違うことを恥ずかしく思う人が多くいます。
そんな現代の人たちでも自分の個性に自信を持って、自分の人生を生きてほしいとのメッセージが込められているように思えます。
この作品では、物語自体もとても楽しめて、さらには読者に向けられた大切なメッセージも織り込まれているので、是非多くの方に読んでもらいたいです。