三部けい新作『夢で見たあの子のために』復讐ミステリー漫画のネタバレ感想
アニメ化、映画化され大ヒットした「僕だけがいない街」の三部けい先生の新作である『夢で見たあの子のために』。
「僕街」に引き続き主人公には特殊な能力があり、テンポ感のあるストーリーと登場人物たちのドラマに感動して楽しめて、読み始めたら止まらないミステリー漫画となっています。
2019年の「次にくるマンガ大賞」にもノミネートされている『夢で見たあの子のために』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
次にくるマンガ大賞にノミネートされた『夢で見たあの子のために』のあらすじ
大人気作「僕だけがいない街」を手掛けた三部けい先生の新作であり、次にくるマンガ大賞にもノミネートされた話題沸騰の『夢で見たあの子のために』の設定やあらすじをはじめにご紹介していきます。
作品の設定や概要
- 著者:三部けい
- 出版社:KADOKAWA(角川コミックス・エース)
- ジャンル:ミステリー・サスペンス、ヒューマンドラマ
設定として、主人公の千里と双子の兄である一登はとても仲が良く、あらゆるモノを共有していた。そして不思議なことに、お互いの「痛み」や「視覚」までも共有する能力を2人は持っていた。
つまり、一方が身体に激しい痛みを感じると同時に、もう一方にも痛みが生じる。そして、その直後、痛みの当事者でない側にもその時に何が起きたのか、頭の中で当事者側が見た映像が再生される。
そんな2人は「ふたりが一緒にいる事」が全てだった。
ある事件の後は、千里が眠ると「夢」として一登の視覚情報が伝わってくるようになる。
カドコミ2019【公式】のTwitterアカウントで紹介された『夢で見たあの子ために』のツイートはこちらになります。
「夢で見たあの子のために」
『僕だけがいない街』三部けいの新作サスペンス。13年前、家族を殺され、復讐を糧に生きる青年。犯人を求め続けた先に待つものとは…!?https://t.co/MLr9fxoOIm#カドコミ #カドコミ2018 pic.twitter.com/xBa4zNNsBb— カドコミ2019【公式】 (@kadocomi) July 4, 2018
あらすじ
幼少期に両親を惨殺され、自分の全てだった双子の兄を殺された主人公の中條千里は、犯人に復讐を果たすためだけに生きていた。
生活の全て、学校の全て、復讐という目的を果たすのに必要なお金を得るために、汚れ仕事も厭わなかった。
心配する幼馴染も残された肉親の思いも振り切って、人生の全てを懸けて千里は復讐を遂げようとする…
謎と思いやりに溢れている『夢で見たあの子のために』の主なキャラクター
『夢で見たあの子のために』では、謎多き不気味な人物や、思いやりに溢れる主人公の周りの人物など、多くのキャラクターが登場します。
そんな『夢で見たあの子のために』の主な登場人物をご紹介していきます。
中條千里(なかじょう せんり)
5歳の時に両親を何者かに殺されている主人公。両親が殺されてからは、児童養護施設の「もみじ園」で暮らしていた。
千里はバイトをしてもすぐにクビになってしまうような乱暴な性格をしていて、詐欺まがいのことで稼ぎを得ている。
そして、両親も殺されて、大好きだった双子の兄の一登まで攫われたため、殺人犯である「火の男」の復讐することだけを考えて生きている。また兄を無くしたことで生きることへの渇望はあまりなくなっていた。
兄の一登とは本当に仲が良く、一緒に行動することが多かったため喜怒哀楽まであらゆるモノを共有していた。そして、不思議なことに「痛み」や「視覚」まで共有する能力があった。
また千里はとても目が良い。
中條一登(なかじょう かずと):三ツ目
いつも千里のことを庇ったり、優しい言葉をかけたりする優しい双子の兄。
父親いつも母親に暴力を振るっていたため、それを止めるためにいつも父親に殴られていた。また弟の千里は殴られないようにと思いやっていた。
ある日、両親を殺害したと思われる犯人に誘拐された。その後、死んだかに思われていたが、生きていて殺し屋として活動している。刑事や一登を追いかける人たちからは「三ツ目」と呼ばれている。
千里には何か情報を伝えようとしている様子がある。
火の男:ねずみ
警察も手を焼いていて、顔写真1枚手に入らない全てが謎に包まれている殺人鬼。
千里の両親を殺したと思われる殺人犯で、一登を誘拐しているため、千里から非情に憎まれている。
普段は日常に溶け込んで普通に働いたりするが、痕跡は見事に全く残さない。そして強盗や強盗殺人などの仕事を行うときは2人組で行動するときもある。
狙うのは詐欺グループのような反社会勢力の金だけだが、「殺し」を全くためらわない。
また、火の男は千里の両親、あるいはいずれかの顔見知りであった。
琴川恵南(ことかわ えなん)
千里の幼馴染の女の子であるヒロイン。父親は人を殺して捕まり、母親は自殺したため、もみじ園という児童養護施設で育つ。
千里のことを気にかけていて、千里が犯罪を犯すのを止めようとする正義感の強い性格をしている。また母から言い聞かされていたため「罪を犯したら報いは必ずある」をモットーにしている。
現在はもみじ園で働いている。
駒津(こまつ)
千里の両親が殺害され、一登が攫われた事件を追っていた刑事。千里に寄り添いながら、一登のことを懸命に捜している。
事件があってから何年過ぎても探し続けている。
若園正恭(わかぞの まさやす)
他の警察官とは全く違う匂いをする警察官で駒津の直属の部下。主人公の千里と同じく殺人犯を「火の男」と呼んでいる。
「火の男」に警察官だった父親を殺害されているため、自分の手で「火の男」を殺すことを人生のたった1つの目標にしている。
そして「火の男」を見つけるために千里に協力する。
千里とは入れ替わりで3ヶ月ほど、千里と恵南と同じもみじ園で暮らしていた。
金貸し
千里と同じく「火の男」を追っている謎の金貸し。「火の男」のことを「ねずみ」と呼んでいて、一登のことを「三ツ目」と呼んでいる。
スタンガンを武器にしている。
富樫(とがし)
千里と同じく「火の男」を追っている謎の金貸し。油断しがちな人物。
加東(かとう)
千里に協力的な本職のヤクザ。千里の覚悟を持った目を見て、なにかと助言をしたり、情報を提供するようになる。
事件に繋がるであろう金融屋とも繋がっている。
瀬島暁(せじま あきら)
千里と一緒に詐欺まがいのカツアゲビジネスをしている仲間の1人。千里の持っている緊張感に興味が湧き、一緒につるむようになる。
怖い見た目をしているが、なんだかんだ千里のことを思っている優しい人物。
戸塚真広(とつか まひろ)
千里と一緒に詐欺まがいのカツアゲビジネスをしている仲間の1人。モヒカン頭が特徴的。
内藤仁志(ないとう ひとし)
千里と一緒に詐欺まがいのカツアゲビジネスをしている仲間の1人。体格がよく、威勢がいい。
おじいちゃん
青果店を営んでいる千里の母方の祖父。千里が倒れた時も祖母と寝ずの番をしてくれた優しい人。
1人娘を殺害されていても犯人を恨まず、千里を幸せにすることばかり考えている。
結末が気になりすぎる『夢で見たあの子のために』の3つの見どころ(※ネタバレ注意)
『夢で見たあの子のために』は謎に溢れている物語であり、読み続けるごとにどんどん先が気になってしまうため、読み始めたら止まらない作品となっています。
そして、ミステリーやヒューマンドラマなど見どころに溢れる内容にもなっているので、ここでは見どころを3つ厳選してご紹介します。
生きていた一登
『夢で見たあの子のために』では、主人公の千里の双子の兄である一登の動向が見どころとなっています。
物語の序盤で殺人犯に誘拐され、死んだかに思えた一登ですが、ある日を境に千里と視界が共有され、生きていることがわかったのです。しかし、なぜか殺し屋として生活している模様で、殺人犯である火の男と行動を共にしているという衝撃の事実に驚かされます。
なぜ優しかった一登が殺し屋としてなっているのか、また千里に何かのメッセージを伝えようとしているのはなぜかなど、謎の包まれる一登の動向は注目必須です。
火の男の正体と謎
また『夢で見たあの子ために』では、物語のカギを握る「火の男」の正体が見どころとなっています。
反社会勢力の金だけを狙っている強盗殺人犯の「火の男」の正体は警察でもわからないほど謎に包まれています。そんな火の男がなぜか千里の両親と顔見知りであり、なぜか一登を誘拐したりと、読者の気になることがどんどん増えていくので物語の先が早く知りたくなってしまいます。
また千里の父親も「火の男」を追っていたり、母親とは関係を持っているような写真も出てくるなど謎の殺人鬼の正体には目が離せません。
火の男を追う主人公の千里によって、徐々に正体が明かされていくので、是非注目してもらいたいです。
惠南やおじいちゃんのような千里を見守る存在
そして『夢で見たあの子ために』では、惠南やおじいちゃんや不良仲間など、千里を助けたり見守ったりする存在が隠れた見どころとなっています。
主人公の千里は、自分の世界の全てだった兄を殺されてから多大な恐怖を受け、その恐怖が憎悪へと変わり、復讐に憑りつかれてしまいます。
そして、自分の命を軽んじた行動や犯罪まがいの行動を起こしがちになるのです。しかし、そんなときでも惠南やおじいちゃんが千里に温かい声をかけたり、協力したりして、千里が完全な悪に陥ってしまうことを防いでくれているのです。
千里の復讐がメインテーマとして始まった物語であるため、重い内容となっていますが、千里の周りの温かい人たちの存在が千里にも読者にも救いとなっています。
そんな千里を見守る周りの人々も是非ご覧ください。
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三部けい先生の『夢で見たあの子ために』はこんな人におすすめ
『夢で見たあの子ために』は、ミステリー漫画が好きな方には特におすすめの作品となっています。
アニメ化や映画化で大人気を誇った壮絶で感動のミステリー漫画「僕だけがいない街」を手掛けた三部けい先生が新たに紡ぎだすミステリーとなっているので、スピード感がありながらも謎に包まれるストーリー展開に圧倒されます。
前作に続き主人公には不思議な能力があり、それをもとに徐々に真相に迫るドキドキの展開に読む手を止められなくなりますし、ヒューマンドラマ要素の感動的な場面が数多く描かれていて、読んでいて胸が熱くなるのです。
不思議な能力を使ったミステリーが予測不能なストーリーを紡ぎだし、登場人物たちのドラマに感動もできる名作ですので、是非『夢で見たあの子ために』をご覧になってもらいたいです。
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管理人の思う『夢で見たあの子ために』が伝えたいこと(感想)
『夢で見たあの子ために』は未来を想う力の大切さを伝えたいように感じられます。
主人公の千里は、自分の全てであった兄の一登をなくして、復讐することだけを目的に生きるようになります。そのため、自分の未来のことを考えずに場当たり的な行動ばかりして、怪我したり、危機に陥ってしまうのです。
そんな千里を諭すように、惠南が未来と思って「生きたい」という気持ちが一生懸命考えて行動することに繋がると伝えて、千里が徐々に変わっていきます。
そのような千里の姿を見ていると、未来を想って考えて生きていくことで自分や周りが救われていくのだと思わされるのです。
『夢で見たあの子ために』はミステリー要素以外にも、登場人物の心情やドラマなども楽しめて、見どころに溢れる作品となっているので、是非多くの方に読んでもらいたいです。
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