電子コミック大賞2020にノミネート『送魂の少女と葬礼の旅』のネタバレ感想
荘厳な情景描写にグッと引き込まれる『送魂の少女と葬礼の旅』。
選ばれたものしかなれない葬儀師という仕事。神の力を地上へふりまく「精霊様」の最期を弔う唯一の存在。でもそれは、自分の身を呈して行う命がけの儀式でもあります。
そんな主人公の一生懸命な姿につい心打たれてしまう『送魂の少女と葬礼の旅』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
路那先生が描くSF・ファンタジー漫画『送魂の少女と葬礼の旅』のあらすじ
電子コミック大賞2020にもノミネートされた今後大注目の作品『送魂の少女と葬礼の旅』の設定やあらすじをご紹介していきます。
まだ漫画化されたばかりで、投稿人物もストーリーも謎に包まれた部分が多くあります。そんな、今後の展開が非常に楽しみな作品になっているので、是非ご覧になってみてください。
作品の設定や概要
- 著者:路那
- 出版社:ノース・スターズ・ピクチャーズ
- ジャンル:SF・ファンタジー、電子コミック大賞2020
設定として、まだ幼い一人の少女が、精霊様の御霊を神のもとへ返す「葬儀師」として、旅をするところから物語は始まります。
行く先々で出会う、人々の温かみに触れつつも、精霊様の恵みを享受する生活を送る人々の多様な価値観に困惑する主人公のアルピ。
精霊様への想いが強い一方で、人間の身勝手な行いに賛同できず葛藤するアルピの成長を見届けたくなるストーリーになっています。
あらすじ
神が地上に与えた恵みの種「精霊」。人々は彼らの恩恵を受け、彼らに感謝しながら生活をしていた。
しかし、精霊にも命があり、その灯火が尽きた時、彼らはその躯を黒くやつし、周囲に呪いを振りまきながら死に逝くのであった。
呪われた精霊に触れられるのは、精霊の葬儀を専門に行う「送儀師」のみ。旅の送儀師・少女アルピは、呪われた遺骸と対峙する…。
穢れながら、痛みながら、少女は刃を振るう。幻想葬礼紀行録。
引用)コミックシーモア
謎の多いキャラクターが揃った『送魂の少女と葬礼の旅』の主な登場人物
謎の多いキャラクターが揃った『送魂の少女と葬礼の旅』の主な登場人物をご紹介していきます。
話が進むごとにそれぞれの登場人物がに秘められた謎が、徐々に明かされるワクワク感を楽しいながら読み進めていけます。
アルピ
旅をしながら葬儀師を生業としている少女。ある日を境に音信不通になってしまった葬儀師の両親を探して各地を転々としている。
その最中で出会う精霊様のご遺体から魂を取り出し、神のもとへお返しする役目を担っている。
正義感が強く、自己犠牲でもって葬儀を行うため周りが見えなくなり無茶をする場面が多々ある。
ペレナイ
アルピにお仕えする老人。常にアルピを心配し、困ったことがあったら適切なアドバイスもくれる。実は結構な力持ち。
セルセラ
アルピと同じく旅をしながら葬儀を行う葬儀師の女性。気が強く冷静沈着な性格。
人間に対しても精霊様に対しても淡々と、論理的に仕事をこなすがゆえに、感情で動くアルピとは衝突する場面もある。アルピの両親と何やら繋がりがあるようだ。
ミド
鉄鋼の街ウルブー・リータの領主。街の人々の生活のために精霊様の加護を受けたいがために非人道的な精霊様の扱いをしている。
その背景には過去に会った精霊様の死が関係しているようである。
セキ
砦の街トムナグ・ワトの兵士軍の族長。精霊様からのお恵みが過多になり、街の人々の生活が脅かされつつあるのを見て悩んでいる。
どうにか精霊様を追い払おうと、日夜兵を率いて戦いを繰り広げている。
精霊様
各地に現れる生物の姿を模した異形の存在。神から授かった恵みの力で大地を潤し、人間の生活を豊かにしてくれる。
その精霊が亡くなると、魂は遺体に閉じ込められ、それが呪いとなって周囲に悪影響を及ぼす。
試し読みだけじゃ伝わらない面白さ『送魂の少女と葬礼の旅』の3つの見どころ(ネタバレあり)
オムニバスながらも、ゆっくりと物語が真相に近づいていく『送魂の少女と葬礼の旅』にはたくさんの見どころが存在します。
そんな数ある見どころの中でも、特に注目してほしいポイントを3つご紹介していきます。
荘厳な世界観
まず『送魂の少女と葬礼の旅』では、RPGのような世界観が見どころの一つになっています。
アルピたちは物語の中で各地を旅し、個性あふれる街並みや多種多様な人々の暮らしに触れていきます。そんな世界観がとても楽しくて、自分もRPGの世界に飛び込んで一緒に旅しているようにな気分に浸ることができます。
子供のころに読んだ童話の絵本を思い出して、楽しくてどんどんページをめくりたくなるあの感覚。次はどんな街に行くのかな、どんな人や精霊に出会うのかなとワクワクしている自分に気付くかもしれませんね。
命がけの儀式
また『送魂の少女と葬礼の旅』では、とにかく素直で一生懸命なアルピが命がけで葬儀を行う姿も見どころの一つになっています。
まだ年端もいかない幼い少女が立ち向かうには、あまりに過酷な葬儀師という仕事。命尽きた精霊の体からは「呪い」という、普通の人間が触れると最悪死に至る異物が放出されます。その呪いに唯一耐性を持つのが葬儀師です。
しかし完全に耐性があるわけではありません。少なからずダメージを受けることもあり、その痛みや苦しみは壮絶そのもの。そんな仕事に誇りを持ち、自分の信念を貫き、命がけで魂を送り出そうとする姿に心打たれる場面が数多くあります。
さまざまな精霊様
そして『送魂の少女と葬礼の旅』では、各地に現れるさまざまな精霊様も見どころの一つとなっています。
精霊様にはそれぞれ持っている能力が異なっています、火を操るものもいれば、空を飛んだり雷を落として天地を操るものもいます。
荘厳ないでたちで他を圧倒する存在感がとても印象的です。路那先生が描く精霊様のグラフィックの繊細な美しさについ魅了されて、ずっと見ていたくなってしまう魅力を放っています。
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父と母を探す旅『送魂の少女と葬礼の旅』はこんな人におすすめ
『送魂の少女と葬礼の旅』は、RPGのようなファンタジーな世界観や、冒険漫画が好きな方には特におすすめしたい作品になっています。
精霊という異形な存在、それを弔う葬儀師という特異な人たち、人間と精霊が共存する世界。そこで巻き起こる数々の不調和を調整するために奔走するアルピたちはまさに、RPGの主人公さながら。
きっとアルピたちはこれから、もっと巨大で闇のある存在と対峙するかもしれません。はたまた、世界を滅亡させようと企む組織に邪魔されるかもしれません。まだまだ展開が読めない、でも続きが気になる、そんな『送魂の少女と葬礼の旅』を一度手に取ってみてはいかがでしょうか?
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管理人が思う『送魂の少女と葬礼の旅』が伝えたいこと(感想)
『送魂の少女と葬礼の旅』では、人にも精霊様へアルピを通して、いろんな価値観を知ってほしいということを伝えたいように感じます。
精霊様の恵みを享受し、感謝しながら生活をする人々がいる中で、決してそうではない人たちがいるという場面も描かれています。恵みを与えてくれる一方で、精霊様さも決して人間にとって都合のいいことだけを与えてくれるとは限らないからです。
その結果、精霊様を殺そうとしたり、人間の都合のいいように強制的に利用しようとする利己的な考えをもつ者も現れます。
精霊様にはあるべき姿でいてほしい。そして、使命を全うし命尽きたその自然の状態の命を送り届けたいと思っているアルピにとっては、到底理解しがたい現実を目の当たりにすることになります。
身勝手とも思える人間の行いの裏に隠された想いと対峙したとき、アルピは何を思い、どう向き合っていくのか。そんな多様な価値観を前にした時の葛藤は、きっと誰しもがさいなまれるものだろうと、読んでいて思います。
アルピと一緒にいろんな価値観に触れ、理解し受け止める心を持たせてくれる様な、そんな作品になっているので、是非この機会に『送魂の少女と葬礼の旅』をご覧になってみてください。
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