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『雨の日も神様と相撲を』漫画のネタバレ感想|原作・城平京による本格ファンタジーミステリ

雨の日も神様と相撲を

『雨の日も神様と相撲を』漫画のネタバレ感想|原作・城平京先生による本格ファンタジーミステリ

 

両親を失った少年が引っ越した村の、奇妙『カエル様』信仰と、相撲と、殺人事件、そして少女との出会いを描いたファンタジーミステリ『雨の日も神様と相撲を』。

ミステリー作家、漫画原作者として知られる城平京先生の小説『雨の日も神様と相撲を』のコミカライズ作品です。

城平先生のアニメ化もされたミステリーアクション漫画『虚構推理』に続く、非常に先が気になるミステリーとファンタジーが組み合わされた漫画となっております!

読み応えたっぷりの細かな設定と不思議な世界観が味わえる、『雨の日も神様と相撲を』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。

 

青春×神事×ミステリ『雨の日も神様と相撲を』のあらすじ

雨の日も神様と相撲をの文季が久々留木村の中学校に転入してきたところ出典:「雨の日も神様と相撲を」、原作:城平京、漫画:戸賀環、出版社:講談社

『絶園のテンペスト』『虚構推理』などで有名なミステリー作家、城平京先生原作の漫画『雨の日も神様と相撲を』の設定やあらすじをご紹介していきます。

城平先生の作風が存分に楽しめる伝承と機械文明、ミステリーが組み合わされたストーリーとなっております。

作品の設定や概要

  • 原作:城平京
  • 漫画:戸賀環
  • 出版社:講談社(マガポケ)
  • ジャンル:青春、ミステリー、ファンタジー
  • 話数:8話(連載中:2020年7月18日現在)

 

設定として、相撲好きの両親を交通事故で失った中学生三年生の逢沢文季は、唯一の肉親である母方の叔父を頼り、奇跡の村・久々留木(くくるぎ)村にやってくる。

久々留木村は千年以上、カエルの神様に守られてきた。カエル様の加護により、村は常に豊作で、自然災害にも見舞われたことがない。

カエル様は非常に相撲が好きで、そのため村民の男子もことあるごとに相撲をとっている。カエル様は実在し、カエル様同士もよく相撲をしている。

文季が転入してきた直後、外来種の赤いカエルが新たにカエルの神様の仲間入りした。そのカエルは相撲が強く、どのカエル様も相撲で勝てなくなった。

久々留木村の秩序に影響を及ぼすことを危惧したカエル様は、村を治める遠泉家の長女、真夏伝いに、相撲の知識が豊富な文季に相撲の教えをこう。

そして時を同じくして、久々留木村と隣村の間の林の中で、トランクケースに入った女性の死体が発見されてー…。

ファンタジーとミステリーが混在する、信心深い訳あり村の奇妙なお話となっております!

あらすじ

【ボーイ・ミーツ・ガール&カエル…!?】

これは、両親を突然の事故でなくした逢沢文季が引っ越した村で体験した不思議な不思議な話――『カエル』と、『相撲』と、『殺人事件』の奇妙な関係性、ついでに、『とある女の子』との出会いの物語だ。

引用)マガポケ



久々留木村に住まう『雨の日も神様と相撲を』の主な登場人物

信心深く奇妙な久々留木村で暮らす住民と、殺人事件に関わる謎大き『雨の日も神様と相撲を』の登場人物たちをご紹介していきます。

逢沢 文季(あいざわ ふみき)

中学三年生の男子。身長が低く、小柄。大の相撲好きの母親と、大学まで相撲をしていた父親の教育により、十年以上相撲をやってきた。相撲の歴史や伝承に詳しい。

そんな両親を、交通事故で亡くし、唯一の親類であった母方の叔父に引き取られ、訳ありの久々留木村に引っ越して来た。

最初こそ、その見た目の貧弱さでクラスメイトと対立するが、相撲の知識と技量を認められ和解し、久々留木村の守り神、カエル様にも相撲の助言を頼まれることになる。

歳の割に落ち着いていて、感情の起伏が小さく、冷静。頭もいいが自己肯定感が低い。物事をはっきり言うので、人付き合いが得意なタイプではない。乙女心がわからない。

遠泉 真夏(とおいずみ まなつ)

中学生二年生の女子。おかっぱ髪で、文季より年下だが大柄でお尻が大きく、怪力の持ち主。久々留木村を治めている遠泉家の長女で、いずれ家を継ぐことになる。

遠泉家はいわゆる「かんなぎの家」で、カエル様に仕え、カエル様の声を聞き、カエル様の声を伝える役目を担っている。実際にカエル様の言葉を理解することができる。

遠泉家の長女は60歳になるとカエル様の花嫁となるため、その身を大ガエルに変化させる。実際に祖母が姿を変えるところを見たことがある。

あまり男子と話すことはなく、文季と話しているのを不思議がられる。ほとんど仏頂面。文季に好意があるが素直になれない。

カエル様

久々留木村の守り神とされるカエル。カエルと似てカエルとは違う身体構造を持った、カエルではないもの。久々留木村の村民たちから信仰されている。

他の村民たちの間ではただ信仰されているだけだが、かんなぎの家である遠泉家の山の中か遠泉の敷地内では二足で立ち、相撲をとっている。

1匹だけでなく何種類かのカエル様がいて、その内の1匹、新入りの外来種、イチゴヤドクカエルに相撲で勝つため、遠泉家の者である真夏に通訳させ、文季に相撲の教えをこう。

イチゴヤドクカエル

たまたま久々留木村のカエルの神様の仲間入りをしたという赤いカエル様。イチゴヤドクカエルという種。

他のカエルよりも小柄だが、強力な毒を持っている。元いた久々留木村のカエル様たちより相撲が強い。



浅沼 悟(あさぬま さとる)

文季の唯一の肉親で、母方の叔父。母親の弟。婿養子として久々留木村に来たが、妻は病死している。妻の父親である元刑事の義父と文季と3人で暮らすことになった。

県警の刑事で、久々留木村と隣村の林の中に捨てられた、トランクケースに入った女性の死体の捜査を進める。捜査内容を元警部の義父に話、助言を得ている。

浅沼 登志郎(あさぬま としろう)

悟の義父。口髭をはやした厳格な見た目の老人。生粋の久々留木村の村民。カエル様を信仰している。

娘が悟と結婚する際、婿養子となり久々留木村で暮らすこと、刑事になることを条件とした。娘が病気で他界してからも、悟と2人で暮らしてきた。元警部。

見た目の厳格さとは裏腹に、両親を亡くしたばかりの文季に優しく、「としさん」とでも呼んでくれと気軽に話す。事件の進捗を文季や悟と家内捜査会議する。

河西(かさい)

文季のクラスメイトでクラス委員。メガネをかけている。家は農家で三男。本人いわく、相撲は下手。

池上(いけがみ)

文季のクラスメイト。体格がよく髪を坊主刈りにしている。相撲部。

文季の転入直後、貧弱そうで、余所者であることに不信感を持ち、相撲の勝負を持ちかける。

しかし文季の相撲の知識に感心し、和解する。



乾 理恵子(いぬい りえこ)

久々留木村と隣村の間の林の中で見つかったトランクケースの中で死んでいた女性。38歳。

久々留木村から50キロ以上離れた隣の県に住んでおり、自身で立ち上げたIT企業の代表取締役。しかし社の業績は悪く、あまりたちの良くない所からも金を借りていた。

死因は背中を鋭利な刃物で一箇所刺されての失血死。

乾(いぬい)

殺害された被害者、理恵子の夫。35歳。理恵子の会社の副社長。

外見が良く、理恵子がいなくても会社を回せるほどの手腕がある。容疑者の第一候補だが、海外渡航のアリバイがある。

ウチダアキヤ

文季が転入してきてすぐに久々留木村に現れたイチゴヤドクカエル種のカエル様の元飼い主。

他にもコバルトヤドクカエルなど、何匹もカエルを飼っていたが、何らかの理由で林にカエルを逃した。

不法放棄発見おじさん

トランクケースに入った女性の死体の第一発見者のおじさん。早朝、犬の散歩中にトランクケースを発見した。電化製品などの不法放棄の見回りをボランティアでしている民間人。

SNSで「不法放棄発見おじさん」という名前で、何年も前から不法放棄されたモノの写真を投稿している。



面白い!『雨の日も神様と相撲を』の3つの見どころ(ネタバレあり)

雨の日も神様と相撲をの久々留木村の信仰とカエル様の説明を文季が聞いているところ出典:「雨の日も神様と相撲を」、原作:城平京、漫画:戸賀環、出版社:講談社

序盤から圧倒される細かな設定と伝承、ミステリーの奥深さが楽しめる『雨の日も神様と相撲を』には、たくさんの見どころ存在します。

そんな数ある見どころの中でも特に注目してほしいポイントを3つに絞ってご紹介していきます。

実在する伝承と、奇妙な久々留木村の信仰

実在する伝承と掛け合わせて深く練り込まれた久々留木村の奇妙な信仰にご注目していただきたいです。

久々留木村では千年以上前からカエル様という守り神を信仰しており、カエル様を見かけたらお辞儀をしたり、農家の大人たちが行う相撲大会で勝ち抜いた1人がカエル様の社(やしろ)前で神事相撲をしたりします。

読者としては、カエル様が相撲をとるシーンが続き、一体なにを見せられているのだろうという不思議な気持ちになってくるのですが(笑)、相撲の起源となる伝承の話が出てきたり、決まり手など、カエルに教えるにしては詳しく説明される相撲の知識にだんだんとのめり込んでしまいます!!

信仰深い村の住民になったばかりの文季が、イヤイヤながらも思いの外冷静に受け入れて、真剣にカエル様に相撲を教えているのも面白いです。(笑)

奇妙な久々留木村の信仰と、ストーリーに深く練り込まれた伝承にご注目ください!

殺人事件の謎とカエル様の関わり

トランクケースにつめられて亡くなっていた女性の謎と、その不可解な事件の内容に関わるカエル様にご注目ください。

トランクケースにつめられて亡くなっていた女性には、奇妙な点がいくつもあります。

最後に消息が途絶えてから発見されるまでの日数が空いていたり、どうしてトランクケースに入った状態で放棄されたのかなど、たくさん不可解な点がありますが、最大の謎はカエルの存在です。

なんと、そのトランクケースの中で、最近カエル様の仲間入りをした外来種、イチゴヤドクカエルの飼い主だった、ウチダアキヤが放したと思われるコバルトヤドクカエルが死んでいたのです。

これにより捜査が難航していたのですが、カエル様から真夏を通して話を聞いていた文季には思い当たる点があったわけです。

果たしてコバルトヤドクカエルがトランクケースに入った経緯とは?犯人は誰で、なんの目的で殺人を犯したのか。読み応えあるミステリーにご注目ください。

結末はどうなる??ラストが予想できない奇妙な物語

全く先が読めないストーリーの展開にご注目いただきたいです。

ストーリーを端的に言うと、長年相撲と向き合い続けてきた少年が、両親を亡くしたことで相撲が盛んな信心深い村に越してきて、カエルと話せる少女と出会い、神であるカエル様に相撲を教えるというファンタジーな話。

そして、刑事である叔父と、元警部である外祖父と共に、その村の近くで起こった不可解な殺人事件の真相に迫るミステリーな話です。

これがちょっとずつ絡んでいるのはわかるのですが、全然結末が想像できない!すごく設定が細かいので、どんなセリフもやりとりも全てが伏線に感じてしまうのです!

続きが早く読みたいというより、結末が見たい!!という気持ちに先走ってしまいます。深くて難しいけど読み応えのあるストーリーにご注目ください。

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(※期間によっては配信が終了している可能性もございます。)



衝撃の結末に期待大!!『雨の日も神様と相撲を』はこんな人におすすめ

『雨の日も神様と相撲を』はどんでん返しが起こるようなミステリー好きな方に特におすすめの作品となっています。

城平先生の漫画はとにかくストーリーが凝っていて、説明が丁寧です。文字の多い漫画に読み慣れていないとちょっと飽きてしまうかもしれませんが、本格的なミステリーが好きな人は間違いなくハマってしまうと思います!

わたしもミステリーが好きなので、設定が細かいほどのめり込んでしまいます。複雑なのですが、ヒントを逃さないように頭で整理しながらじっくり読むのがとても楽しいです!

漫画でここまで作り込まれたミステリーはなかなか無いと思います!ミステリー漫画が好きな方はぜひこの機会に『雨の日も神様と相撲を』をご覧になってみてください。

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紹介者が考える『雨の日も神様と相撲を』の伝えたいこと(考察)

雨の日も神様と相撲をの相撲部員たちと相撲をとった後、カエル様の視線を感じるところ出典:「雨の日も神様と相撲を」、原作:城平京、漫画:戸賀環、出版社:講談社

『雨の日も神様と相撲を』では、男女の出会いと変化を伝えたいように感じられます。

この作品を読む中で1番さりげないのに引っかかるのは、文季と真夏の関係です。カエル様に相撲を教えるため、というあまりにも明確な理由で毎日会っている2人。

それが理由として普通の流れであるにもかかわらず、あらすじやリード文で、青春や恋愛、「ボーイ・ミーツ・ガール」などの言葉で表現されているのです。

それがすごく気になって、原作である小説版の内容をチラッとのぞいてしまったのですが、(笑)

奇妙な信仰と殺人事件のミステリーがちゃんと繋がるどんでん返し待っていて、そこに2人の恋愛が絡んでくるようです!!

城平先生が仕掛けるどんでん返しの結末というだけでとても興味が引かれますし、はやくラストが見たくてうずうずします!

どこかのんびりしているようでずっと不思議な感覚なのに、とても充実した読み応えのある面白いファンタジーミステリな作品となっておりますので、是非この機会に『雨の日も神様と相撲を』をご覧になってみてください。

またアプリ「マガポケ」を利用すると『雨の日も神様と相撲を』を無料で読むことができます!
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『雨の日も神様と相撲を』の評価まとめと感想

最後に記事執筆者の評価と他の漫画サイトからの評価をまとめてみました。

漫画を購入するときのひとつの指標として、よかったら周りの評価も参考にしてみてください。

当サイトの評価4.4(記事作成者の評価)
コミックシーモア
まんが王国
Renta!
BookLive
めちゃコミック

※それぞれ5段階評価となっています。

※現在(7月18日時点)は単行本が発売されておらず、マガポケ限定配信となっているので、他のサイトの評価はありません。

松帆 うら
松帆 うら

以前『虚構推理』の記事を当サイトで書かせていただいたのですが、その時はまだ城平先生の作風をあんまり理解できていなかったと反省しています。

わたしは、ファンタジーとミステリーを組み合わせるってすごく難しいと思います。ミステリーにファンタジーを持ち込むと、推理の過程が根本的に覆されますよね。

怪奇現象に殺された、というのは、通常考えうる殺害方法の道理から外れてしまっていますから。

それを覆して、その上にこの世界線での道理を作らなければならないって、とても難しいように思えました。

それを細かな設定と組み立てで見事に描かれる城平先生は本当にすごいと思います。改めて城平先生の作品をもっと読んでみたいと思いました!

漫画版がまだまだ序盤なので、これからどうなっていくのかすごく気になります!

『絶園のテンペスト』や『虚構推理』で味わった不思議な読み切った感を味わえるのが今から楽しみです!

本格ミステリーとファンタジーの融合から生まれる恋と青春の物語を『雨の日も神様と相撲を』をご覧になってみてください。

下は原作の小説「雨の日も神様と相撲を」です。

『雨の日も神様と相撲を』が気になる人におすすめの類似作品

『雨の日も神様と相撲を』に興味がある方におすすめの推理漫画をご紹介したいと思います!

1つ目の漫画は、同じく城平京先生が漫画原作をされ、アニメ化もされたミステリーアクション漫画『虚構推理』です。

怪異たちの知恵の神となった少女と、怪異を食べて人間ならざるものになった青年が繰り広げるミステリーと恋愛のお話です。

ヒロインがインターネットを駆使したミステリー対決を繰り広げる一方で、ヒーローアクション漫画のように怪異とのバトルを繰り広げていて、非常に読み応えがあります!

こちらは原作小説の全てが漫画化され、いまは続編として漫画が続いている状態なので、完結されたミステリー漫画が読みたい方はこちらから読むことをオススメします!

ぜひ城平京先生ワールドをお楽しみください!

下の記事では『虚構推理』の詳しい内容や無料で読む方法をご紹介しています。

アニメ化!『虚構推理』真実よりも美しい虚ろな推理アクション漫画のネタバレ感想アニメ化!『虚構推理』真実よりも美しい虚ろな推理アクション漫画のネタバレ感想 怪異たちの知恵の神となった少女と、怪異を食べて人...

2つ目は『ミステリと言う勿れ』です。

主人公・久能 整(くのう ととのう)が常識離れした知識量と洞察力で事件を解決へと導く漫画となっています。

過去には『このマンガがすごい!2019オンナ編』第2位、『マンガ大賞2019』第2位にも選ばれており、今話題・人気沸騰中の作品ですので、ぜひ合わせてご覧ください。

下の記事では『ミステリと言う勿れ』の詳しい内容や無料で読む方法をご紹介しています。

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松帆 うら
イラストレーターの松帆うらです* 漫画が大好きで、『漫画が酸素』書店ライターをしています。同じ漫画が好きな方みな同士だと思ってます!!漫画の内容だけでなく、作者さんのこと、メディア化情報など、漫画に関わる様々なことを含めて、漫画の面白さを伝えたいです!
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