『不死の葬儀師』不死身×魔法の弔いダークファンタジー漫画のネタバレ感想
不死身の体をもった少年と、人間でありながら特異的な力を持った少女が陰謀渦巻く事件に巻き込まれていく『不死の葬儀師』。
怪我や病気も瞬時に治ってしまう不死者、そんな不死者に葬送を施されることによって天への道を切り拓かせてもらう人間。不死者は魔法を使うことができ、人間にはそれができない。助ける側と助けを乞う側、二つの生き物は対等なようで、大きな差があることをこの物語は揶揄しています。
そんな二種類の人種が混在する世界で、主人公のレオンは一人、どっちつかずな自分の存在に苦悩します。そして人間の命と自分の存在意義の証明を天秤にかけることに…。
そんなSFヒューマンドラマファンタジーと名付けたくなるような深みのある『不死の葬儀師』の、あらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
清宮こう丞先生が描くダークファンタジー漫画『不死の葬儀師』のあらすじ
単行本が好評発売中『不死の葬儀師』の設定やあらすじをご紹介していきます。
2017年12月30日から漫画アプリGANMA!で独占配信していた『不死の葬儀師』が、2020年1月23日ついに待望の単行本化を果たしました。
アプリで読むのとコミックで読むのとでは臨場感や迫力が違ってきますよね。
作品の設定や概要
- 著者:清宮こう丞(清宮こう丞先生のTwitterアカウントはこちら!)
- 出版社:KADOKAWA、GANMA!
- ジャンル:SF・ファンタジー、ヒューマンドラマ
- 巻数:1巻(連載中:2020年2月26日現在)
設定として、人間は死ぬと魂を天に送ってもらわないといけません。でないと”死霊化”してしまい、その魂は外界の汚れで理性が失われ、周りの生命を脅かす怪物と化してしまうからです。
”葬儀師(アンダーテイカー)はそんな人間たちを弔い、その魂を天へと送る不死者”(死なず者)だけが就ける天職とも呼べる職業。誰でもなれるものではなく、葬儀師になるには不死であることかつ、資格が必要になるのです。その資格を正式に得るには、資格試験に合格しなければなりません。
第一の資格である、葬儀師とはなんたるかを学び、第二の資格である魔法の鍛錬を学びます。そして、第三の資格で魔法が使えない人間達と生活を共にし、葬儀師になるには何が必要か、自分でその答えを見つけ出すことが試験合格の条件なのです。
その試験に向かう途中の列車で、主人公のレオンたちは列車の脱線事件に巻き込まれ、その時一人の少女と出会います。その少女は、レオンの同胞であるはずの葬儀師に追われる身であることが判明。この出会いによって、物語は大きく動いていくのです。
あらすじ
死者の魂を天に還し死の安らぎを与える「葬儀師」。
不死と人間のハーフである葬儀師見習いの少年レオンは、葬儀師になるための最終試験に進む。
レオンは都を目指す列車の中で何者かに追われる少女エレナと出会う。
彼女を追っていたのは何故か同胞であるはずの葬儀師たちだった。
エレナを助けたことからレオンも追われる身となり、物語は大きく動き出す──。
清宮こう丞が描く異色のダークファンタジーの幕が開ける!
引用)コミックシーモア
人間味のあるキャラクターたちが魅力『不死の葬儀師』の主な登場人物
登場人物一人一人が物語に深く関わってくる『不死の葬儀師』。
どのキャラクターにも感情移入してしまいそうになるくらい、心に訴えてくる存在感がある『不死の葬儀師』の主な登場人物をご紹介していきます。
レオン・ディオスコリデス
主人公の15歳の少年。不死と人間のハーフで、左右で目の色が違うのが特徴。そのせいで、純血の不死の子達からいじめられることもある。不死であるがゆえに傷を負っても勝手に治ってしまうが、致命傷を負えば死は免れられない。
レオンも例外ではなく、さらに人間とのハーフなこともあり、傷を負った時の自然治癒力が弱く、治りが遅い。魔力も普通の不死と比べると格段に弱い。
第3の資格試験を受けにいく途中、列車が脱線事故を起こし崖下に落ちてしまう。事故直前、貨物列車から突然現れた少女エレナが事故の衝撃でバランスを崩し、列車から落ちそうになったのを助けようとして、レオンも一緒に転落してしまう。
目が冷めてすぐ、少女を追ってきた別の葬儀師達と交戦し、その際に普段では出せないような凄まじい魔力を発揮し難を逃れる。普段では出せないような力の原因は、エレナにあるのではないかと踏んだレオンだったが…。
エレナ・ゾエ・リヴィエール
17歳の人間の女の子。レオンが第三の資格試験を受けに向かうために乗っていた電車の貨物車両から飛び出してきた。その直後、電車が脱線事故を起こし、レオンとともに崖下に落ちてしまう。
目を覚ました二人だったが、エレナはなぜか列車に乗っていた別の葬儀師たちから追われている身であり、さらには両親を葬儀師に殺されたと告白。追っ手に迫られ、落下の衝撃で深手を負った二人は上級葬儀師に立ち向かおうとしたが、見習いのレオンがかなう相手ではなく…。
しかし絶体絶命の危機だったが、謎の力によってレオンの魔力が増大し難を逃れる。その原因は人間であるはずのエレナにあって…?
ダニー
レオンの友達。レオンが不死と人間のハーフだと言う理由でいじめられた時、唯一庇ってくれた心優しい葬儀師見習いの少年。
モイラ
列車の脱線事故とエレナの追っ手との交戦で倒れていた二人を助けてくれた、森小屋に住むおじさんの娘。父親は面布職人(死霊化を遅らせることができる布)で、跡を継がせるつもりだったが、昔に亡くなった母と兄と同じ死人を埋葬する墓守の仕事をしている。
気が強い上に口が悪く、レオン達に対して当たりがとても強い。それには過去に出会った別の葬儀師が関係していて…。
カミーユ
絶壁都市シェオルで、エレナが出会った少年。下を覗かないと見えない大きな橋のたもとに位置する”貧民窟”に暮らしている。橋の上の人々は貧民窟の人々を冷遇するようで、貧民窟に住む人々は肩身の狭い思いをしていた。
上界の領主に目をつけられた者や圧政に耐えられなくなった者は貧民窟にやってくる。カミーユの父親は慈善家で、領主の政策を批判し自国民が分け隔てなく暮らせるよう唱えていたが、それを快く思わなかった領主の手によって処刑されてしまう。
死霊と化した父親の手によって目の前で母親が殺されるのを目撃してしまい、命からがら逃げおおせたが、唯一の肉親だった妹も、病気でほどなくして亡くなってしまった。
ルカ
カミーユの妹。両親が命を奪われてすぐ貧民窟に移ったが、体が弱く幼くして疫病で帰らぬ人となってしまった。
ジェシカ
貧民窟に住む女性。ウバルトの妻。夫であるウバルトが病気にかかってしまってから、献身的に看病をしていた。
治療できるだけの蓄えもなく、このまま病気が進行したらいずれ死んでしまうことも分かっていたが、ウバルトが死んでしまった後、死霊になって周りの人たちを傷つけてしまうことを一番危惧していた。
ウバルト
貧民窟に住む男性。ジェシカの夫。耳と目が不自由のなってしまう病気にかかって以来、一人では身動きが取れなくなってしまったため、家の中でジェシカに看病して貰う日々が続いていた。
サウロ・バーンスタイン少佐
レオンたちが訪れた絶壁都市シェオルにて、葬儀師の拠り所である協会にいた憲兵団の少佐。
ニナ
シェオルの地下牢に投獄されている葬儀師。レオンが電車脱線事故の主犯の疑いをかけられ投獄された地下牢で話しかけてきて、シェオルの歴史を話してくれた。
オスヴァルト支部師長
ニナが新米葬儀師としてシェオルに配属された時の上司。
ユリウス
単独でエレナを探し回っている謎の人物。その目的は…。
アニメ化熱望!『不死の葬儀師』の3つの見どころ(ネタバレあり)
物語の設定、キャラクター、ストーリー展開どれを取っても今後に期待しかない『不死の葬儀師』にはたくさんの見どころが存在します。
そんな数ある見どころの中でも、特に注目してほしいポイントを3つご紹介していきます。
RPGのような世界観
『不死の葬儀師』は、RPGをプレイしているかのような村や街を訪ねる旅の風景も見どころとなっています。
電車脱線事故ではぐれてしまったダニー達を探しつつ、エレナを探し回っている葬儀師たちから逃れるため、2人は近くの街を目指します。最初に着いた街は、崖に沿って街が作られた有名な観光都市です。西洋の町並みを彷彿とさせる異国情緒あふれる雰囲気が、心踊りますよ。
これからレオンたちがストーリーの中で、どんな街や人々に出会っていくのかが、読んでいくと楽しみの一つになるかもしれません。そこで繰り広げられるヒューマンドラマが、物語により深みを与えていくような期待を感じさせてくれます。
レオンの過去
また『不死の葬儀師』では、二人の過去がどんなだったのか、そしてこれからのストーリーの中で二人の正体がどう明かされるのか、今後の展開が非常に楽しみになる内容なのも見どころの一つになっています。
レオンが人間と不死のハーフになったわけは、GANMA!で40話までを読んでみたところ、まだ明かされていません。人間にとって不死は崇高な存在、不死にとって人間は救うべき存在。
そんな関係性の中で生まれたレオンという異質な存在。純血の葬儀師からは混ざり者と呼ばれては蔑まれ、どちら側にもなりきれない中途半端な自分に悩むレオン。そんなレオンがストーリーを追うごとにどんな選択をしていくのか、非常に気になる展開になっています。
エレナの正体
そして『不死の葬儀師』では、謎に包まれたエレナの正体が明かされていく様子も、見どころの一つになっています。
なぜエレナの両親は葬儀師に殺されたのか?人間のエレナが葬儀師たちに追われているのはなぜなのか?エレナに秘められた謎の力とは…?読めば読むほど謎が深まるエレナの正体。レオンと行動をともにしていく中で、これから徐々に秘密が明かされるんじゃないかと思うと、ワクワクが止まりません。
是非みなさんも、真実に近づきながらストーリーが進んでいく様子を楽しみながら読み進めてみてください。
>>『不死の葬儀死』は「GANMA!」から無料で読むことができます!
(※期間によっては配信が終了している可能性もございますが、ご了承ください。)
ギャップに痺れるバトルも見どころ『不死の葬儀師』はこんな人におすすめ
『不死の葬儀師』は、ファンタジーかつシリアスな展開もあり、ハラハラドキドキのバトルアクションも楽しみたい人には特におすすめの作品になっています。
主人公のレオンは若干15歳の男の子。可愛らしい見た目とは裏腹に、感情的になると目の前が見えなくなって、スリリングなバトルを繰り広げるようになるというギャップもまた面白いところです。土壇場になると理性を失って自分の限界を振り切りながら、身を呈して戦う姿に、背筋がゾクッとするほどの威圧感すら感じるほどです。
荒削りで、感情的で危なっかしいところがたくさんありますが、誰よりも自分の存在意義を考えて、相手を思いやり、人の役に立つことを模索する真の強さに心打たれるシーンが数多くあります。
思わず感情移入してしまう、レオンの自分の存在意義探しの旅で成長していく姿を、一緒に見届けませんか?
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管理人の思う『不死の葬儀師』が伝えたいこと(考察)
『不死の葬儀師』は、人の死を下手すれば自分のエゴのために利用してしまうかもしれない愚行さを伝えたいように感じます。
レオンにとって、死者とは弔うべきものですが、彼はそれを自分の存在証明として考えていました。人間と不死のハーフであるが故に、どっちつかずだった自分を、葬儀師という仕事を通して不死としてちゃんと存在証明できるツールだと考えたんだと思います。半端者、出来損ない、役立たず…いろんな誹謗中傷を浴びてきた彼にとっては、正式な葬儀師になって認められる他ないのだと。
作品を読み進めていくと分かるのですが、当初レオンは葬儀師という仕事に本当に就きたかったわけではないんです。幼少期に出会ったとある人物が、レオンに葬儀師として生きる選択肢を施して以来、レオンはその道に進むしかないんだと悟ったのかもしれません。いや、そうせざるを得なかったとも言えるかもしれませんが。
だからこそ、人間の死=自分の存在証明としか考えられず死に対して鈍感になっていたんだと思います。しかし、それは時として、大切な人を失ったご遺族の方からしてみれば、目の前の大切な人の死に向き合っていない、ただの自分本意でエゴな仕事だと思われかねないのです。
身内や知り合い以外の他人の死というのは、言い方は悪いですが他人事としてしか捉えられないことってありますよね。何処かの誰かが亡くなるたびに感情を左右されていたら心が持たないからです。
でも、誰かの死があれば悲しむ誰かがいるんだ、ということを気付かされた作品なので、少しでも人の気持ちが分かって感受性豊かになれるきっかけになるんじゃないかと思っています。
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『不死の葬儀師』の評価まとめと感想
最後に記事執筆者の評価と他の漫画サイトからの評価をまとめてみました。
漫画を購入するときのひとつの指標として、よかったら周りの評価も参考にしてみてください。
当サイトの評価 | 4.5(記事作成者の評価) |
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コミックシーモア | ー |
まんが王国 | ー |
Renta! | 4.5(2件の評価) |
BookLive | 5.0(1件の評価) |
めちゃコミック | ー |
※それぞれ5段階評価となっています。
1巻からググッと引き込まれるグラフィックやキャラクターデザインがとても魅力的で、思わず表紙買いしたくなるほどかっこいいんです。
物語の設定も面白くて、どんどん続きが気になるストーリー展開になっているので、読み始めたら一気に読みたくなる面白さです。これからアニメ化なども期待できる、期待大の作品でしたので、今後の期待を込めて上記のような評価を付けさせていただきました。
ストーリー重視で、ちょっと刺激が欲しい方には非常にオススメしたい作品になっているので、是非ご覧になってみてください。