「このマンガがすごい」1位獲得の『天国大魔境』謎に溢れるSFサバイバルアドベンチャー漫画のネタバレ感想
日本中の漫画好きが注目する「このマンガがすごい！2019」で見事、オトコ編1位を獲得した『天国大魔境』というSFサバイバルアドベンチャー漫画。
前作の「それでも町は廻っている」や「外天楼」で人気を博している「石黒正数」先生による最新作で、漫画好きなら絶対に読んでおきたい一作となっています。
今回は名実ともに大人気漫画である『天国大魔境』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
このマンガがすごい！第1位の『天国大魔境』のあらすじ
出典：「天国大魔境」、著者：石黒正数、出版社：講談社
石黒正数先生の最新作であり、「このマンガがすごい！2019」でも第1位を獲得する名実ともに大人気の『天国大魔境』の概要やあらすじをお伝えします。
漫画好きなら必ず知っておきたい作品です。
作品の設定や概要
- 原作：石黒正数（石黒正数先生のTwitterアカウントはこちら！）
- 出版社：講談社（アフタヌーン）
- ジャンル：SF、サバイバル、ミステリー
- 巻数：５巻（連載中：2020年12月23日現在）
壁に囲まれた緑豊かな施設の中の特殊な能力を持った子どもたちと「天国」という場所を目指して荒廃した外の世界で旅をするマルとキルコのSFサバイバルアドベンチャー。
時折発せられる物語のカギとなるセリフや意味深な描写の数々が伏線となり、読者の想像を掻き立てる物語構成となっている。
あらすじ
壁に囲まれた緑豊かな施設の中で暮らす子どもたち。
外の世界を何も知らないトキオのもとに「外の外に出たいですか？」というメッセージが送られ、トキオは壁の外の世界を想像する。
外の世界では、マルとキリコがサバイバル生活をしながら「天国」と呼ばれる場所を目指し旅している。
２つの世界がつながるときに何かが起きる…。
特殊な能力や過去を持った『天国大魔境』の登場人物たち
個性あふれるキャラクター満載でSFならではの特殊な能力や生い立ちのある『天国大魔境』の登場人物を一挙大公開します。
キルコ：竹早桐子：竹早春希
何でも屋を営んでいる20歳くらいの女性。数字は苦手で自分の歳も覚えていない。
ボディーガードの依頼を受けたため、マルを「天国」へ連れて行くまでの道中で身を守っている。
大人相手でもバケモノ相手でも戦略的に戦うことに長けている。また、体は女だが脳は男である。
見た目は竹早桐子という女性レーサーで、中身は桐子の弟の春希。弟の春希がヒルコの下半身を食べられているところを姉の桐子が助け、その後医者が2人を治療した。そして治療から目覚めると体は桐子だが、中身は春希になっていた。
キルコはその医者を探すために、旅をしている。
マル
自分と同じ顔の人物に薬を届けるために「天国」を目指す15歳ほどの少年。
「マルタッチ」という技を使える。それは素手で触れることで、ヒルコ（人食いのバケモノ）の体内に侵入して、「致命的な何か」を握り潰し、不死身といわれているヒルコを死に至らしめることができる。
トキオ
テスト中に「外より外に出たいですか？」という謎の問が映し出され、外の世界に興味を持った施設にいる少年。コナのことが好き。推定年齢は14歳。
ミミヒメ
予知能力を持っている施設の不思議な女の子。
自分が「外に出たいと思ったら、外からふたりの人が助けに来てくれる」と予知している。
コナ
魚に手が生えたものや人間の赤ちゃんなどを想像で幻想的な絵をたくさん描く施設の少年。
トキオやコナにはいつも絵をねだられて、描いてあげている。推定年齢17歳。
タカ
施設で暮らす運動神経は非常に高い少年。2階からでも楽々飛び降りるほどで、さらに高いところから落ちてもケガもしない頑丈な体を持っている。
クク
コナの絵が好きな施設の少女。運動神経が万能で自分の背よりも軽々とジャンプする。
また木や壁に張り付くこともできる。そして、先生しか入れないような施設内に忍び込むことがある様子。推定年齢10歳。
タラオ
ククのクラスメイト。病に体を蝕まれている。
シロ
施設の中にいる少年。ミミヒメに好意を抱いている様子で、なにやら盗撮などもしている模様。緻密な機械工作が得意。
園長
トキオたちがいる施設の長のおばあさん。学校の外に興味を持ったトキオに「外はあさましい怪物がうごめく汚れた地獄」と諭している。
稲崎露敏（いなざき ろびん）
春希と同じ船山孤児院で育った兄貴的存在の人物。現在は行方不明。
医者
キルコが探している医者。浅草で医療に従事していたが、春希の脳移植手術後、行方不明になっている人物。
ヒルコ（人食い）
人によって呼び方がまちまちである人を喰う謎のバケモノ。個体によって形状や能力が異なる。
謎に満ち溢れ興味を増幅させる面白い『天国大魔境』の見どころ3選（※ネタバレ注意）
出典：「天国大魔境」、著者：石黒正数、出版社：講談社
ストーリー展開や人物、世界描写のすべてが謎に包まれながらも、垣間見える伏線の数々に読者をくぎ付けになる『天国大魔境』にはたくさんの見どころが存在します。
その中でも特に注目してほしいポイントを３つに絞ってお伝えします。
魔境を旅するキルコとマルの出会い
『天国大魔境』では、天国を求めて旅をするキルコとマルの冒険が見どころとなっています。
荒廃した魔境のような世界を旅するキルコとマルですが、世界は無秩序となっていて、キルコやマルを襲う盗賊が現れたり、罠にかけて人を襲う人間まで登場してきます。しかし、キルコたちは機転を利かせて、倒してしまうので「ざまあみろ」と思わず笑える内容になっています。
また旅の中で出会う人たちは悪い人たちだけでなく、キルコたちを泊めてくれる人もいたり、荒廃した世界でも努力している人もいたりと様々な人たちが登場するので、不思議と心が温まる気持ちにもなれるのです。
無法になった世界を冒険するなかでキルコとマルがどんな人たちに出会い、どんな感情を抱いていくのかは考えさせられることも多いので、是非ご覧になってみてください。
ヒルコ（人食い）とのバトル
また異形の存在であるヒルコとのバトルも見どころとなっています。
作中では鳥のような見た目をしたヒルコや気持ち悪い魚のような見た目をしたヒルコなど様々な姿をしたバケモノが登場し、人々を襲っていきます。
キルコとマルはそんなバケモノを退治する仕事もしていて、キルコは戦闘中も冷静に分析してキル光線で動きを封じ、マルの必殺技であるマルタッチでバケモノを倒していくのです。
得体の知れない強力なバケモノとの戦闘はどんな結末になるのか全く予想がつかず、手に汗握る展開の連続のなっているので、ハラハラした楽しさを味わうことができます。
ヒルコとの戦闘で幾度となくピンチに陥るキルコやマルが、どのように戦っていくのかをドキドキしながら楽しんでみてください。
結末が気になる伏線だらけの物語
そして『天国大魔境』には、非常に多くの伏線が描かれているので伏線の回収も見どころとなっています。
トキオとマルの顔がそっくりだったり、トキオたちは緑豊かな施設で充実した生活をしているのに、マルたちは荒廃した世界を旅していたり。またミミヒメの奇妙な予知やキルコの夢に出てくる治療を受けている姿、コナの描いた奇妙な生物がヒルコとして現れたり、とにかく謎が多い物語です。
ストーリーが進むにつれて、解かれていく謎もありますが、さらに謎が深まることもあり、伏線だらけの物語は読者の想像を掻き立てるワクワクしたものになっています。
情報の一片一片をつなげることで世界の全体像も映し出されていくと思うので、小さな発言や出来事、すべてを見逃さないように注目してみてください。
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結末が気になって仕方ない『天国大魔境』は全ての漫画好きにおすすめ
『天国大魔境』はSF漫画好きなら絶対読んでほしいおすすめの作品です。
「このマンガがすごい！2019」のオトコ編第1位を獲得している実力もあり、謎に包まれながらも織り込まれる伏線の数々に読者も先を予想しながら楽しめる漫画となっています。
SFならではの今の時代よりも数歩先をいく技術や世界の情景に考えさせられるものもありながら、作者の「石黒正数」先生の未来像も見られるSF好きにはたまらない漫画と言えます。
またSF好きじゃなくても大賞を獲得した作品ですので、漫画好きの方なら一読しておきましょう。
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紹介者が考える『天国大魔境』の伝えたいこと（考察）
出典：「天国大魔境」、著者：石黒正数、出版社：講談社
『天国大魔境』では、楽するために文明を発展させることの危険性を伝えたいように思えます。
物語では、いつも明るくて暖かくて空を飛んで遠くの人と話ができて、何でも売っててロボットが世話をしてくれた荒廃する以前の文明について言及される場面があり、楽になってヒマになりすぎた人間同士が互いに監視をして争いあうようになったと語られています。
そんな会話を聞いて、楽をするために文明を発展させて実際に人間たちが暇になったら、人々が争うあい、物語のように荒廃した世界になってしまうのではないかと思えてくるのです。
何でも手に入る楽な生活が天国とも限らないという発言が印象的であり、そんな文明の発達の危険性についても語られている作品で、SF好きにはたまらないストーリーとなっているので、是非多くの方に『天国大魔境』をご覧になってもらいたいです。
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そして、天国大魔境は1巻発売記念の30秒のアニメPVもございますので、合わせてご覧になってみてください。世界観などが理解しやすくなると思います。
『天国大魔境』の評価まとめと感想
最後に記事執筆者の評価と他の漫画サイトからの評価をまとめてみました。
漫画を購入するときのひとつの指標として、よかったら周りの評価も参考にしてみてください。
| 当サイトの評価 | 4.5（記事作成者の評価） |
|---|---|
| コミックシーモア | 4.4（8件の評価） |
| まんが王国 | ー |
| Renta! | 4.2（12件の評価） |
| BookLive | 4.4（41件の評価） |
※それぞれ5段階評価となっています。
見どころなどでも詳しく紹介してきましたが、『天国大魔境』は多くの伏線が張り巡らされていて、読めば読むほど謎が明らかになって楽しめる上に、新たな謎が登場してずっとワクワクできる物語となっています。
また伏線だけでなく、SFの世界観やバケモノとの戦闘、荒廃した世界に生きる人々のヒューマンドラマなど楽しみどころに溢れた作品のため漫画好き必見です。
「このマンガがすごい！2019」でもオトコ編1位を獲得した話題作ですので、是非ご覧になってみください。
