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『血海のノア』漫画のネタバレ感想|夢の豪華客船国内ツアーは吸血鬼だらけ!?

血海のノア

『血海のノア』漫画のネタバレ感想|夢の豪華客船国内ツアーは吸血鬼だらけ!?

 

何やら不穏な空気が立ち込める豪華客船が舞台の『血海のノア』。

冒頭から正体不明の人物たちが1人の人間を取り囲み、何をするのかと思いきや、いきなり耳をナイフでこそげ落とし、挙句血を抜き愉しみだすという正気の沙汰ではないシーンから始まるこの作品。

一体彼らの目的は何なのか…。

謎が謎を呼ぶ『血海のノア』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。

 

里見有先生が描くクローズドサスペンス漫画『血海のノア』のあらすじ

血海のノアの豪華客船国内ツアーに参加したあかりたち出典:「血海のノア」、著者:里見有、出版社:竹書房

誰もが一度は憧れる豪華客船に乗船したが最後、一夜にしてどこにも逃げ場のない血の海と化すミステリーサスペンスの真骨頂『血海のノア』の設定やあらすじをご紹介していきます。

里見有先生は『蟲姫』『火傷少女』などパニックホラー・サスペンス作品を数多く手掛けている新進気鋭の個性派漫画家です。

作品の設定や概要

 

設定として、ひょんなことから集められた一般庶民の人間たち。その目的は、豪華客船で巡る国内ツアー。

集められた人たちは、いつもと違うラグジュアリーな空間で、セレブ気分を味わい、豪華ディナーやマジックショーで優雅なひと時を満喫していました。

しかし、ショーとは言え目の前で演者が首が断頭させられたり、体が干からびるまで血を抜き取られたりと残忍すぎる内容。そして、何事もなかったかの様に復活したように客席の前に元気な姿をあらわす演者。そんなマジックショーに、嫌な違和感を覚えた人物が1人…。

それに気付いたがすでに遅し、楽しかったはずの遊覧船は突如として、悲劇のホラー船へと姿を変えてしまうのです。

そう、この遊覧船は、吸血鬼たちが人間を誘き寄せる為に仕組んだ罠だったのです。

人間を一か所に集めた吸血鬼たちは、事もあろうに人間を次々と惨殺。吸血鬼になる人間と、そうでない人間の選別をしようというのです。

食う者と食われる者。そして、相容れない2つの種族の中に潜む異能の存在が、更に大きな影を落とします。

果たして、この物語はどんな結末を迎えるのでしょうか…。

あらすじ

豪華客船に乗り込んだ、あかり達一家三人。

「楽しい国内ツアー」という触れ込みだったこの旅行は、実は吸血鬼たちが支配する、地獄への片道切符だった――。

何処にも逃げ場のない孤立した海上で、一人、また一人と乗客が殺されていく――。

引用)コミックシーモア



キーパーソンが多すぎる『血海のノア』の主な登場人物

人間と吸血鬼、相容れない2つの種族が混在する惨劇の舞台を描く『血海のノア』。

どのキャラクターも一挙手一投足が見逃せない『血海のノア』の主な登場人物をご紹介していきます。

ノア

特殊な力を持つ吸血鬼の少女。詳細不明。

昔、友人だった人を亡くした過去があり、カケルがその人に似ていることからよく懐いている。

あかり

父親が見知らぬ人からもらった遊覧チケットを使って豪華客船に搭乗。

ゆずるが船内で迷子になり探していたところ、関係者以外立ち入り禁止の怪しい空間に迷い込んでしまう。

ゆずるは見つかったものの、何者かに操られている様子で、そのままあかりは高台から突き落とされ意識を失う。

ゆずる

あかりの弟。

あかりとゆずるの父

居酒屋で見知らぬ人物に豪華客船の国内ツアー行きチケットを譲り受け、あかりとゆずるを連れてバカンスを楽しみにやってきた。

妻とは死別している。

カケル

大学の友達と弟の優と一緒に豪華客船に招待された。

少しチャラめな性格で船内の女性を片っ端からナンパしているところにあかりと出会う。



コイケ

カケルの大学の友人の男性。

トマ

カケルの大学の友人の女性。

ウシロ

カケルの弟。

引っ込み思案でいつもカケルの後ろに隠れていたことからあだ名がウシロになった。本名は優。

カイザー

ノアの父親で吸血鬼たちの首領。見た目は60代のお爺ちゃん。

ノアに対しては子煩悩。

幸一郎

日本人の船医の男性。裏の顔は吸血鬼たちの医者でもある。



シェーン

人間を蝋人形にして飾っておくのが趣味の美術肌の吸血鬼。

パオラ

吸血鬼の女性。若い、特に子供の血を好む。

メリア

カイザーに使える吸血鬼の内の1人。

素性は分からず、いつも頭にウサギの被り物をしている。

ピエロ

メリアとよく行動を共にしている吸血鬼。

ピエロの格好をしていておちゃらけたキャラクター。

老夫婦

豪華客船のチケットを手に入れ、人生最後の旅と称してツアーに参加した。



面白い!『血海のノア』の3つの見どころ(ネタバレあり)

血海のノアの人間を裏から品定めする吸血鬼たち出典:「血海のノア」、著者:里見有、出版社:竹書房

読めば読むほど謎が深まっていく『血海のノア』には、面白い見どころがたくさん存在します。

そんな数ある見どころの中でも、特に注目してほしいポイントを3つご紹介していきます。

カケルの正体

まず『血海のノア』では、カケルの不可解な力から紐解かれる正体が見どころとなっています。

そもそも吸血鬼は元は人間だったことが多く、更に選ばれた者しか吸血鬼の一族に加わることはできません。

吸血鬼になると階級社会が確立され、目上の者や吸血鬼歴が長い者から睨まれると、体が支配され逆らえなくなってしまうのです。それは人間も例外ではありません。

しかし、カケルは人間であるはずなのに、吸血鬼に睨まれても、その支配を受けないという謎の性質を持っています。

それが何を意味するのか、まだ明らかになっていないことから、その正体が明らかになった時、物語は思わぬ方向へと転換してしまう様な気がしてなりません。そしてやけにカケルに懐いているノアも何だか気になる存在でもあります。

一体彼は何者なのか…気になってしまった方はぜひ一度作品を手に取って読んでみてください。

あかりたちの運命

また『血海のノア』では、豪華客船に招かれたあかりたちがたどり着く結末も見どころの一つになっています。

迷子になったゆずるを探していたら、いつの間にか見知らぬ檻の中に倒れていたあかり。その側には探していたらゆずるの姿。何とか檻から抜け出し、部屋の扉を開けると、そこは血の海でした。

一方、かけるの友人達も命からがら吸血鬼たちの魔の手から逃げ仰せたはいいものの、犠牲になった者が…。どうにか船から脱出しようと試みるものの、新手の吸血鬼によって再び絶体絶命のピンチに…。

そこに現れたのは、少し様子の変わったカケルの姿でした。

果たして、カケルはどうなってしまったのか。これはぜひ、単行本で確かめてみてください。

様々な吸血鬼たち

そして『血海のノア』では、個性豊かな吸血鬼たちも見どころのひとつになっています。

吸血鬼と言っても、それぞれ趣味嗜好が違うようです。

人間だった頃の血液型と同じ型の血以外を飲んでしまうとアレルギー反応が出て最悪死に至ってしまったり、子供の血のみを好む者や、人間を蝋人形にして飾るのが趣味の者もいたり…。

人間が魚や野菜やお肉をいろんな料理で楽しむように、吸血鬼も人間をいろんな食べ方で楽しむのだそうです。そうやって、それぞれ趣味嗜好が違うところを見ると、まるで人間みたいですよね。

ストーリーが進むごとにいろんな吸血鬼が登場するのかなと思うと、少しワクワクしている自分に気付くかもしれません。

そんなところも是非、楽しみに読み進めてみてください。



試し読みから引き込まれる『血海のノア』はこんな人におすすめ

『血海のノア』は、SF感満載のダークホラーが好きな人には特におすすめの作品になっています。

絶海の豪華客船×吸血鬼というクローズドサスペンスにはうってつけのシチュエーションと登場人物は、ちょっとグロテスクでホラー感のあるミステリー作品の好きな人ならまず一度は読んでみたくなる組み合わせではないでしょうか?

何も知らずに優雅なひと時を過ごす人間を品定めするかのように影から様子を伺う吸血鬼たち。

人間の血を思う存分味わえるその時を今か今かとその時を待つ彼らは、そのお預け時間すら余興の楽しみとして捉えている様子。

そんなこととは梅雨知らず、これから待ち受ける惨劇なんて全く想像もしていない人間たちとの温度差が広がれば広がるほど、作品の不気味さが増していく感じがします。

隔離された環境で圧倒的強者が弱者を食い物にする様子を怖いと捉えるか、嬉々として捉えるか、それとも中立の立場で読み進めるのか。

そんな読者の色々な人間性が垣間見える作品になっています。



紹介者が考える『血海のノア』の伝えたいこと(考察)

血海のノアのカケルたちの対峙したカイザー出典:「血海のノア」、著者:里見有、出版社:竹書房

『血海のノア』は、相容れない別種族同士の争い合いの醜さを伝えたいように感じます。

人間と吸血鬼。需要と供給の関係にある中で、お互いを殺し合うことでしか存続できない種族同士。

しかし、何かを食べて生きながらえたいと思うのはどちらも同じ。

その対象が人間か、そうでないかという違い。

吸血鬼の世界にも秩序があると、カイザーは言います。食事として人間をいただく代わりに、殺す直前まで礼節をもって接するのだと。

しかし、最近ではその礼節や厳かな伝統は軽んじられ、人間を殺すこと自体に快楽を覚えてしまった吸血鬼たちのせいで、自分たちの品位は落ちてしまった。

そして、今まで敵意を向けられない様に、格式高く厳正に行われてきた食事が出来なくなってしまい、人間たちを敵に回し始めていることを危惧していると話すカイザーからは、人間に対しての敬意すら感じるほどです。

一方的に殺され血を吸われるものだと思っていた人間からすると、もし吸血鬼側の本当の気持ちを知り、理解しようと努めることができたなら、お互い憎悪と快楽のためだけに殺し合うなんてことにはならないのではないかと思うのです。

人間と吸血鬼に限ったことではありません。結果論ばかりに目をむけて、相手の真意を確かめず感情論で相手を淘汰する。それがケンカだったり、略奪だったり、挙げ句の果てに殺人や戦争になったりするんじゃないかなとも思うわけです。

受け入れることは難しくても、理解することをお互いができるようになればと、綺麗事を言いたくなる、そんな作品になっていますので、どちらの味方でもそうでなくても、この作品の結末を第三者視点で一緒に見届けてみませんか?

『血海のノア』は、アプリ「ピッコマ」から無料で読むことができます。
(※期間によっては配信が終了している可能性もございます。)

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『血海のノア』の評価まとめと感想

最後に記事執筆者の評価と他の漫画サイトからの評価をまとめてみました。

漫画を購入するときのひとつの指標として、よかったら周りの評価も参考にしてみてください。

当サイトの評価4.0(記事作成者の評価)
コミックシーモア4.5(8件の評価)
まんが王国4.3(10件の評価)
Renta!4.0(22件の評価)
BookLive5.0(2件の評価)
めちゃコミック3.5(28件の評価)

※それぞれ5段階評価となっています。

うしのひと
うしのひと

じわりじわりと迫りくる吸血鬼の魔の手…逃げ場のない船内で次々と殺されていく乗客たち…血の海と化していく船内で果たして希望の光はあるのか?

人間が完全なる被害者とも言えないし、吸血鬼が全て悪いともまた言えない葛藤の中で繰り広げられる惨劇に耐えながら読み進めてください。

人間と吸血鬼、どちらの視点で見ても面白い作品になっていますので、少し刺激的な漫画を御所望の方は是非一度お手に取ってみてはいかがでしょうか?

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『血海のノア』が気になる人におすすめの類似作品

ここでは『血海のノア』に興味がある方におすすめのサスペンス漫画をご紹介していきます。

1つ目の類似作品は『十角館の殺人』です。

角島に建てられた中村青司の邸宅(通称:青屋敷)で起きた四重殺人&屋敷炎上事件を巡って、某大学の推理小説研究会(通称:ミス研)のメンバーが角島の事件を調査するために一週間の合宿を決行。そこで彼らは不可解な事件に巻き込まれていきます。

ミステリーと言えば閉ざされた空間で起こる殺人事件が王道ですよね。『十角館の殺人』も『血海のノア』もクローズドミステリーの醍醐味を一気に味わえるのが魅力的です。

下の記事では『十角館の殺人』の詳しい内容や無料で読む方法をご紹介しています。

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2つ目の類似作品は『ご主人様のしかばね』です。

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ただの人間が得体の知れない危険な存在と戦う場面は妙にゾクゾクしてしまうのは私だけでしょうか?暗闇から襲いかかる恐怖に立ち向かう主人公たちの死闘をぜひご覧ください。

下の記事では『ご主人様のしかばね』の詳しい内容や無料で読む方法をご紹介しています。

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