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映画化不可能!?『十角館の殺人』本格ミステリー漫画のネタバレ感想

十角館の殺人

映画化不可能!?『十角館の殺人』本格ミステリー漫画のネタバレ感想

 

1987年に推理作家の綾辻行人がデビュー作として出版した長編推理小説『十角館の殺人』が発売から30周年。

ファンの間では大傑作だと称されるほどで、度々実写映画化もささやかれていましたが、複雑な設定からか映画化不可能とされています。そんな綾辻行人のデビュー作がなんと、清原紘が作画を手がけた漫画単行本としてついに連載がスタート。

活字が苦手な人でも、漫画ならではの読みやすさで、奥深いミステリーの魅力にググッと引き込んでくれます。そんな今後大注目の作品のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。

 

綾辻行人先生が描く本格ミステリー漫画『十角館の殺人』のあらすじ

角島に到着し十角館を発見したエラリイたち出典:「十角館の殺人」、原作:綾辻行人、漫画:清原紘、出版社:講談社

謎が謎を呼び真実が一転二転する『十角館の殺人』の設定やあらすじをご紹介していきます。

これぞまさに王道にして至高の、ミステリーの真骨頂。何回でも読み返したくなる漫画ならではのストーリー展開を是非、楽しんでください。

作品の設定や概要

  • 原作:綾辻行人
  • 漫画:清原紘
  • 出版社:講談社(アフタヌーン)
  • ジャンル:ミステリー・サスペンス

設定として、角島に建てられた中村青司の邸宅(通称:青屋敷)で起きた四重殺人&屋敷炎上事件。

焼け跡から中村青司とその妻、使用人夫妻の4人が発見されるが、その場にいたはずの庭師の姿だけが発見されず、警察は庭師が犯人だと推定。事件は終止符を打たれたかに思えました。

それから半年後、某大学の推理小説研究会(通称:ミス研)のメンバーが角島の事件を調査するために一週間の合宿を決行。

しかし、参加したメンバーは、青屋敷の別館である十角館での生活中、不可解な出来事に巻き込まれてしまいます。そして、参加しなかったミス研関係者には、死んだはずの青司からの謎の手紙が届きます。

登場人物の発言や行動すべてが怪しく見えてくるストーリー展開に、一瞬たりとも目が離せません。

あらすじ

孤島に建つ十角形の奇妙な館を、大学のミステリ研に所属する7人が訪ねる。

この館を設計した中村青司は、半年前に謎の焼死を遂げていた。そして、凄惨な殺人劇が、幕を開ける――。

第22回日本ミステリー文学大賞受賞の綾辻行人と、美しさの中に影がある絵でイラストレーターとしても活躍する清原紘がタッグを組んで贈る、本格ミステリの金字塔をもとにした「コミックリメイク」!

引用)コミックシーモア



魅力が有り余るキャラクターが集う『十角館の殺人』の主な登場人物

見た目も性格も全く違う個性的なキャラクターが、ストーリーを盛り上げてくれる『十角館の殺人』。

推理小説研究会メンバーのニックネームは、海外の有名な推理作家や小説家から取ってお互いを呼び合っています。

そんな細かい設定も魅力的な『十角館の殺人』の主な登場人物をご紹介していきます。

エラリイ

主人公の男子大学生。法学部の三回生。21歳172cm。アメリカの推理作家、エラリイ・クイーンから命名。

クールな性格で、すらっとした華奢な見た目。どこかミステリアスな雰囲気を醸し出している。

カー

法学部の三回生。22歳175cm。アメリカの推理作家、ジョン・ディクスン・カーから命名。

単騎で感情的な性格の、いかにも喧嘩っぱやそうなやんちゃ系。アガサのことが好きで、思い切って告白したが、あっけなく振られてしまったらしい。

ルルウ

文学部の二回生。20歳165cm。フランスの小説家、ガストン・ルルウから命名。

小柄で可愛らしい顔立ちをしている。ミステリーオタクでミス研の会報「死人島」の新編集長。

ポウ

医学部の四回生。22歳182cm。アメリカの作家、エドガー・アラン・ポウから命名。

どう見ても大学生に見えない風格を醸し出している。みんなをまとめるリーダー的存在。船舶免許と船を持っている。



アガサ

薬学部の三回生。21歳167cm。イギリスの推理作家、アガサ・クリスティから命名。

ウェーブのかかったロングヘアーと、上品な顔立ちや立ち振る舞いが魅力的な、美人お姉さん。

オルツィ

文学部の二回生。20歳158cm。ハンガリー出身の作家、バロネス・オルツィから命名。

セミロングヘアーにインナーカラーの入った髪色が特徴で、性格は大人しめ。

ヴァン

理学部の三回生。21歳175cm。アメリカの推理作家、S・S・ヴァン・ダインから命名。

いいとこのおぼっちゃん風な上品な出で立ち。最近祖父が青屋敷を買い取ったらしく、それをミス研メンバーに話したところ、合宿先として祖父に招待してもらえるように頼まれた。

河南 あきら(かわみなみ あきら)

ミス研の元部員。死んだはずの青司から謎の手紙をもらい、その調査で青司の弟である紅次郎に話を聞きに行った際、その場に居合わせた潔と知り合う。あきらの行動に興味を持った潔も加わり、一緒に事件の調査をすることになる。

ミス研時代はドイルと呼ばれており、イギリスの作家、アーサー・コナン・ドイルから命名。潔からは河南の当て字読みで「コナンくん」と呼ばれている。



島田 潔(しまだ きよし)

青司の実の弟、紅次郎の友人で、大学の後輩。実家はお寺を営んでいて、三人兄弟の末っ子。

あきらに送られてきた手紙と角島での事件に興味を持ち、一緒に調査を始める。

守須(もりす)

あきらと同じ元ミス研部員。守須のところにも青司からの謎の手紙が送られていた。

普段は画家で自然物などの絵を描いている。鋭いところに視点がいく切れ者。

中村 青司(なかむら せいじ)

大分県の資産家の長男。事件当時46歳で知る人ぞ知る天才肌の建築家。

大学を卒業後、すぐ父が他界し、その資産を弟の紅次郎と相続することに。そのお金で角島に自分の設計した屋敷を建て移住した。

今回の事件で、屋敷ごと焼死体で発見される。

中村 和枝(なかむら かずえ)

青司の妻。青司とは昔からの許嫁で、青司が角島に移住するのと同時に結婚。

半年前に角島で起きた四重殺人&屋敷炎上事件で帰らぬ人となってしまうが、和枝の焼死体だけ左手首が切り取られていた。そしてその手首は未だ見つかっていない。



中村 紅次郎(なかむら こうじろう)

青司の実の弟で潔の友人であり、大学の先輩。地元の高校で教師を務める傍、仏教学を研究している。

事件の後すぐ兄の所有していた土地と屋敷を相続したが、すぐに売りに出してしまった。

吉川 誠一(よしかわ せいいち)

角島の青屋敷で庭師をしていた人物。屋敷の焼け跡や島のどこからも死体が発見されなかったため、犯人ではないかと疑われている。事件が起こる三日前から住み込みで角島を訪れていたらしい。

吉川 政子(よしかわ まさこ)

誠一の妻。凛とした出で立ちで、感情をあまり表に出さないが、潔曰く嘘のつけない素直な人物らしい。

北村夫妻

青屋敷で住み込みで使用人をしていた夫婦。

夫は雑用と本土との連絡用ボートの運転、妻は家事全般を任されていた。

今回の事件で、二人とも屋敷から焼死体で発見される。



結末予測不可能な『十角館の殺人』の3つの見どころ(ネタバレあり)

十角館の殺人の青屋敷で起きた事件の全容をルルウたちが振り返るシーン出典:「十角館の殺人」、原作:綾辻行人、漫画:清原紘、出版社:講談社

読めば読むほど深みにはまっていく『十角館の殺人』にはたくさんの見どころが存在します。

そんな数ある見どころの中でも、特に注目してほしいポイントを3つご紹介していきます。

二方面から迫る真相

『十角館の殺人』では、島に行った組と行かなかった組でそれぞれの視点で物語が展開していくところが、見どころの一つになっています。

角島へミス研合宿に行ったメンバーは現場に残された屋敷の焼け跡や別館の様子を調査。
合宿に行かなかった元ミス研メンバーは、青司たちの身辺調査。

お互いがお互いの状況を把握していないまま、ストーリーが真相に迫っていく様子は見ものです。果たして両者はどんな真相に辿り着くのか…読んだ人にしか分からない衝撃の結末に備えよ。

犯人探し

また『十角館の殺人』では、どんどん謎が深まっていく犯人探しも見どころの一つになっています。

ミステリーの醍醐味といえば、やはり事件の犯人探しですよね。『十角館の殺人』では、初めに庭師の誠一が犯人として物語が進行していきますが、どうも腑に落ちない点が調査をしていくうちに明らかになっていきます。

代わりに、まさかのあの人がという人が疑惑として浮上してくる場面も。それはあり得ないだろうと自分の中で思考の格闘が始まってしまって、一人で犯人探しに迷走するのも楽しいかもしれません。

この人が犯人かもしれない…と疑い始めてからは、そのキャラクターの一挙手一投足が気になってしまって、ページをめくる手にも熱がこもります。登場人物たちと是非、推理比べしてみてください。

巧みな叙述トリックや伏線

そして『十角館の殺人』では、読者をも巻き込んで物語を展開するところも見どころの一つになっています。

叙述トリックとは、読者の先入観や思い込みを利用して一部の描写をわざと伏せたり、曖昧にすることで、作者が読者を間違った方向にわざと誘導させるトリックです。物語をただ読んでいただけでは思いつかなかった視点や、張り巡らされた伏線が一気に明るみになった瞬間、今までの固定観念がひっくり返された時の驚きは、私たちをたまらなくゾクゾクさせてくれますよね。

さあ騙しに来い!と大手を切って読み始めるもよし、何も考えずとりあえず読んでみて物語の切り替わりごとに新鮮な驚きを味わうもよし。十人十色の楽しみ方ができるのがミステリーの面白いところですよね。

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ミステリーの醍醐味が詰まった『十角館の殺人』はこんな人におすすめ

『十角館の殺人』は、王道本格ミステリーを漫画で楽しみたい人には特におすすめの作品となっています。

死者からの手紙、絶海の孤島、電波のつながらない携帯、突如としてメンバーの部屋の前にかけられた謎のカード。メンバーの悪戯に思われたミステリーごっこが最悪の事態を引き起こします。

半年前に起きた青屋敷での事件と、ミス研メンバーには実はとある共通点があって…。2つの点が一本の線で交わった時、私たちは予想も付かない結末を見届けることになるかもしれません。

最後まで絶対目が離せないミステリーの世界に、皆さんもどっぷりつかってみて下さい。

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管理人の思う『十角館の殺人』が伝えたいこと(考察)

十角館の殺人の誠一が犯人である可能性が低くなったことを考察するあきらと潔出典:「十角館の殺人」、原作:綾辻行人、漫画:清原紘、出版社:講談社

『十角館の殺人』では、真実は洗い出してみて初めてたどり着くものだ、ということを伝えたいように感じます。

屋敷の焼け跡から焼死体が発見されず、島のどこにも姿がなかった庭師を、警察は犯人だと特定します。しかし、河南たちの調査で、庭師が犯人だとは言い難い証拠が出てきたりするのです。

そして、事件は新たな展開に差し掛かるのです。その可能性があったか!と思わず唸ってしまうような推理展開も非常に面白いです。解決したと思われていた事件がエラリイ側、あきら側で少しづつ本当の姿を表しつつある驚きの展開に、ワクワクが抑えられません。

日常に転がっている些細な事柄も、今一度洗い出してみると面白い発見があるかもしれないなと、この作品を読んでいて感じることができます。固定観念にとらわれない柔軟な思考を是非『十角館の殺人』を読んで養ってみてはいかがでしょうか?

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『十角館の殺人』の評価まとめと感想

最後に記事執筆者の評価と他の漫画サイトからの評価をまとめてみました。

漫画を購入するときのひとつの指標として、よかったら周りの評価も参考にしてみてください。

当サイトの評価4(記事作成者の評価)
コミックシーモア
まんが王国
Renta!2.0(2件の評価)
BookLive4.2(5件の評価)
めちゃコミック4.0(1件の評価)

※それぞれ5段階評価となっています。

各サイトで多少のばらつきがあるものの、全体としての物語の構成やストーリー展開、伏線やギミックの細やかさがとても魅力的です。なおかつ原作の小説が絶大な人気を誇っているので、そのお墨付きもあり個人的には原作も読みたくなるほどはまってしまいました。

レビューを読んでいても、読者も予想外のどんでん返しが待っている内容のものばかりで、より漫画ではどうなっていくのか気になる内容でしたので上記のような評価を付けさせていただきました。

ミステリー好きなら必読の作品になっているので、是非ご覧になってみてください。

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うしのひと
『漫画が酸素』ライターのうしのひとです! 漫画は日本の宝ですよね!! 人気作品からアングラな作品までいろいろ読むのでお気に入りを日々開拓中…
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