『人形の国』漫画のネタバレ感想|弐瓶勉が放つ!帝国への復讐を描いたダークアドベンチャー
「BLAME」や「シドニアの騎士」などのSF名作を世に放ってきた弐瓶勉先生の新作である『人形の国』。
弐瓶勉先生の世界をそのままに受け継ぎ、萌え要素のあるキャラクターも増え、古来のファンも新規の方も楽しめるSF漫画となっています。
SF好きにはたまらない『人形の国』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。
弐瓶勉の新作SF漫画『人形の国』のあらすじ
弐瓶勉先生の繰り広げる独特な設定と世界観が多くの読者の魅了する『人形の国』のあらすじをはじめにお伝えしていきます。
「BLAME」や「シドニアの騎士」の設定も受け継いでいて、弐瓶勉ファンは興奮すること間違いなしの名作となっています。
作品の設定や概要
- 著者:弐瓶勉
- 出版社:講談社(月刊少年シリウス)
- ジャンル:SF、ダークファンタジー、バトル・アクション
- 巻数:8巻(連載中:2021年4月30日現在)
設定として、物語は直径12万キロメートルの人口天体アポシムズという世界を舞台にしている。その体積の大半は超構造体の殻で覆われた地底空間である。
50世紀前地底との戦争に敗れた人々は、アポシムズでの正当な居住権を失い極寒の地表に取り残された。
人々は、自我を失った人形のようになってしまうという人形病や遺跡層に頻出する攻撃的な自動機械に侵されながらも、なんとか生き続けている。
あらすじ
遺跡層におおわれた巨大人口天体「アポシズム」には、危険な「自動機械」や「人形病」という人間が人形のようになる病気が蔓延していた。そんな危険な星の極寒の地表で主人公のエスローたちは暮らしていた。
ある日、エスローとエオとピコ達が軍事訓練を行っているときに強大な力を持っているリドベア帝国の兵士が1人の不思議な少女を追っていて、その少女をエスローたちが助けた。
しかし、その報復でエスローの故郷の人々は惨殺され、エスローも殺されそうになる。そして、死の瞬間に助けた不思議な少女がエスローを正規人形に転換させ命を救うが…。
萌えキャラも多数登場『人形の国』の主な登場人物
『人形の国』ではキャラ1人1人の感情面や性格までもわかりやすく表現されています。そして、思わず推したくなるかわいいキャラクターも多いです。
そんな『人形の国』の主な登場人物をご紹介していきます。
エスロー
『人形の国』の主人公。仲間を助けるためにリベドア兵を殺したこととリベドア帝国が探しているコードを隠したことが原因で、故郷の白菱の梁が襲われてしまう。
その際に自身も死にかけたが、コードを使い正規人形として復活して戦うことになる。
射出系の正規人形で、AMB(対超構造体弾)という弾丸を射出できるEBTGという能力を持っている。EBTGは「女の子以外何でも」という意味で、正式名称は「自在型弾体加速装置」。エナだけでなく、空気や水などその場で手に入る物を打ち出すことができる。
エスローは射撃の名手でもあり、エナで新規の形状を作ることもやってのけたり、戦闘中の戦略を立てるのもうまく、かなり強い。
顔面はりつき喰いの肉が大好物。
タイターニア
中央制御層からやって来た折りたたみ式の自動機械。中央制御層を乗っ取り、星を征服するというリベドア皇帝の野望を阻止するために地上に来た。
リベドア帝国からコードを守るために逃げていたところをエスロー達に助けられる。
体に触れることで人の思考を読み取ることができたり、人の形に変身できたりする。人の形を長時間維持できないのは技術流出防止機能のため。また食べ物を消化しやすいように処理することなどもできる。
タイターニアの1日に使えるヘイグス粒子量はほんの少しだけで、それは毎日零時に更新される。使っても使わなくても更新されるため、何も起きなかった日は零時になる直前に使って人の形になる。
ケーシャ
地底信仰をしているイルフ・ニクから来た元素系使いの正規人形。イルフ・ニクの姫でもある。
イルフ・ニクの国王の命を受けて、タイターニアを探しに来たところでエスローとタイターニアと会う。そして、一緒にリベドア帝国を野望を止めるために戦っている。
電気を使った攻撃を繰り出したり、電撃で相手の動きを一時的に止めることができる。
スオウニチコ(皇帝)
リベリア帝国の皇帝。中央制御層を乗っ取り、星を征服するという野望を持っていて、一般市民に圧制している。イーユも帝国で1番強いと認めているほど強い人物。
多くの上級転生者を従えていて、エスローやタイターニアの命を狙っている。
過去に何度もタイターニアたちに倒されそうになるが、毎回なにかしらの不測の事態がおき生還している。そして、タイターニアたちに自身の能力を悟らせていない。
とても強力な能力を持っていて、物語が進むほど明らかになってくる。皇帝が能力を使うと「歪み」と呼ばれるデジャブのような現象が起こる。
ジェイト
リベドア帝国の上級転生者。皇帝とも近い人物で、イーユなどの上級転生者に皇帝陛下の命を告げている。皇帝陛下への信仰がとても厚い。自動機械を操る能力を持っている。
フューマ
リベドア帝国の上級転生者。リベドア帝国が中央制御層から人間の権利を奪還するために活動していて、基本理念が人類の救済であることを信じて疑わない人物。
人間同士が争うことを好まないため、イーユの暴走を止めようとしたり、エスローとも話し合いで解決するように望む姿勢を示す。
アイム
リベドア帝国の上級転生者。馬型の正規人形でアイムの身体は浮遊物質と同じで地殻内に反応し浮遊する性質がある。フュームとともに戦い、飛翔して頭部を狙うのをサポートするのが得意。
イーユ
リベドア帝国の上級転生者。氷を使った技を使う。優秀な人物で、10年かかると言われていた地方制圧も1年で終わらせるなどの自称皇帝の次に強い正規人形。
巨大な氷を頭上に作って落としたり、氷を弾丸のように放って攻撃したり、氷を相手の鎧の中に精製し中から破壊するような攻撃を繰り出して戦う。
自信家で口が悪く、残忍な人物。エスローの故郷である白菱の梁も滅ぼしている。
エイチ
リベドア帝国の上級転生者。射出系を嫌っていて、拳で戦う男らしい人物。主人公のエスローに初めて倒される上級正規人形。
エイルとエイム
リベドア帝国の下級転生者。人形患者多い街を統治している双子の正規人形で下級転生者だが、連携したら倒すのが難しい。スピードもかなり速い。
人形病患者を凶暴な自動機械と闘わせて楽しむなどとても性格が悪い。
トオス
リベドア帝国の上級転生者。リベドアの英雄であるが、延命治療をしていて、限界に達したため皇帝陛下の命により脳移植転化をする。そして、正規人形になった。
リベドアが行っている正規人形の上級試験(負けた正規人形が力を奪われるトーナメント)にて、転生3日後に参加し見事優勝し、敗者のエナを吸収する。
物質操作系の使い手で金属を使って戦う。
ゼゾ
エスローの故郷である白菱の梁の一族を300年も守ってきた人。正規人形になれる。狩りや遺跡の歩き方を全部教えていた人で、エスロー曰く「賢くて強くて、この人にできない事は何もない」と思われていた。
リベドア帝国が攻めてきた際に、対正規人形弾が命中し、無くなってしまう。
ピコ
主人公と同じ白菱の梁の出身の女の子。イーユに正規人形にされて、さらに洗脳もされているためエスローのことを叛逆者だと思っている。
切断系の正規人形で建物を真っ二つにしてしまうほどの威力を誇っている。相手の鎧を切断して、その隙間からイーユの氷を入れることができるため、イーユとの相性は良い。
カジワン
ケーシャの兄であり、イルフ・ニクの王。人形病を患っていて、身体が思うように動いていない。そのため、タイターニアに正規人形にしてもらうように頼むが断られてしまう。
正規人形として世界の終わりを防いでいるケーシャやエスローに嫉妬している。また帝国を倒せるなら全てを犠牲にしてもいいと思っているなど危険な思考を持っている。
ジナタ
真地底協会の信徒の再生者。カジワンの力で、人形病だったにも関わらず再生して、正規人形のような力を手に入れた。
リベドアの兵を襲ってエナを回収している。
タシツマ
リベドアの兵器局の人間。ジェイトのファンであるが、ジェイトと同じ階級で、終始相手を馬鹿にしたような発言を繰り返す。
AMBの探査装置としてジェイトの巨大クローンを作ったり、人工コードを作ったりと、すごい発明をしている。しかし、頭はイカれている。
緻密な設定で読者を魅了する『人形の国』の3つの見どころ(ネタバレあり)
弐瓶勉先生の独特の世界観が繰り広げるSF漫画の『人形の国』では、他のSF漫画よりも幻想的で不思議な体験をすることができます。
ダークながらもテンポ感がよく、どんどん読み進めてしまう『人形の国』の見どころをご紹介していきます。
急展開のダークファンタジー
『人形の国』ではダークすぎる展開が見どころとなっています。
雪の降り積もる中、仲間で平和に暮らしている主人公たちの温かい世界観から、目が覚めると故郷の人々がみんな死んでいるという衝撃的すぎる展開から物語が加速的に進んでいきます。
そして故郷の仲間を殺した敵国に復讐するために、主人公エスローは不意打ちや2対1といった戦闘も自然とやります。そういったダークな世界観から繰り広げられるダークファンタジーには思わず引き込まれてしまいます。
しかし、ダークながらもクスッと笑えるようなギャグ要素もあったり、テンポの良いストーリー構成でどんどん読めてしまう魅力もあるのです。
正規人形の戦闘
また正規人形と呼ばれる特殊能力者の戦闘にも注目必須です。
正規人形となっている人物たちには打撃系の攻撃を繰り出すものやエスローのように射出系の武器で戦うものやケーシャのように電気などを使って戦う者などさまざまな存在します。
それぞれの正規人形の活動時間は限られているため、長い戦闘シーンはないですが、簡潔な戦いや主人公エスローの機転の利いた戦い方はおもしろく読みやすいです。
強い敵でもあっけなく倒してしまうこともありますが、その簡潔さに読む手がどんどん進んでしまいます。
弐瓶勉の世界観
『人形の国』には、弐瓶勉ファンなら必ずテンションが上がってしまう世界観が広がっています。
「BLAME」で登場した射出系の攻撃を主人公が繰り出すことや、「シドニアの騎士」でおなじみのヘイズス粒子やエナを使用した活動や攻撃を『人形の国』でも使用されていて、昔の作品を思い出しながら読むことができます。
初見の読者には若干分かりにくいものもあるかと思いますが、「シドニアの騎士」などを読んだことがある方は、読んでいて興奮すること間違いなしです。
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前作の設定も受け継ぐSFストーリーの『人形の国』はこんな人におすすめ
『人形の国』はSF好きな方や弐瓶勉先生のファンの方には必見の作品です。
設定が複雑でありますが、人工天体を舞台にした弐瓶勉先生のこだわり抜かれた世界観、そして自身が人形機械と化して皇帝に立ち向かう主人公の姿は、SFの世界の話ではありますがどこか現実にも似ているような雰囲気を放っています。
そのためフィクションと分かっていながらも物語に入り込んで時間を忘れて読んでしまいます。
緻密に構成され、細部まで描かれた弐瓶勉先生の技術は本当に芸術作品のようです。
SF好きにはたまらない世界観でありますし、弐瓶勉先生の巧みな技術を是非ご覧になってもらいたいです。
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管理人の思う『人形の国』が伝えたいこと(感想)
『人形の国』では、強さに溺れてはいけないということが伝わってくるように感じられます。
この物語の中では、リベドア帝国というものが強大な力を持っていて、市民に対しても力を使って圧制しています。そして圧政を保持するために正規人形という力を増やし続けます。
しかし、その膨張した力の結果、主人公エスローに兵器の力を奪われてどんどん主人公が強くなっていきます。また、自身の強大な力に過信したリベドアの正規人形たちも油断して負けていきます。
強さに溺れたがゆえにエスローたちに追い込まれていくリベドア帝国からは強さに溺れる危険性が感じられました。
『人形の国』は圧政を敷いて、人々が権力者に無惨にも殺されてしまうダークなシーンが多いですが、その分主人公たちが敵をやっつける瞬間は爽快なので、ダークながらもスカッとする感覚を是非味わってください。
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