ギャグ・コメディ

『夢中さ、きみに。』漫画のネタバレ感想|シュールギャグ漫画の決定版ここに降臨!

『夢中さ、きみに。』漫画のネタバレ感想|シュールギャグ漫画の決定版ここに降臨!

 

同人誌やウェブに掲載されていた作品に、新たに書き下ろしを加え一冊に編集されたコミックス版である『夢中さ、きみに。』。

TV Bros.(東京ニュース通信社)のマンガ賞「輝け! ブロスコミックアワード2019」で大賞を受賞したこの作品。

単行本発売以前から、作者である和山やま先生のTwitterやpixvで作品を見ていたという、古屋兎丸先生も推薦のコメントを寄せるほど、今後注目されること間違いなしの作品でもあります。

意味深なタイトルと、なんとも言えない表情をした男の子が描かれている表紙のおかげで、BL漫画と勘違いしてしまうかもしれませんが、BLのBの字もないほどに、ただただシュールな男子高校生のツッコミどころ満載の日常生活を垣間見ることになります。

一度読んだらのめり込んでしまう、そんな独特の世界観が癖になる『夢中さ、きみに。』のあらすじや登場人物、見どころをネタバレや感想を含めてご紹介していきます。

 

和山やま先生が描く学園漫画『夢中さ、きみに。』のあらすじ

一人の登場人物によってストーリーが思わぬ方向に持って行かれてしまう『夢中さ、きみに。』の設定やあらすじをご紹介していきます。

どうやったらこんな世界観を生み出せるんだろう、と思わず感心してしまうほどの、卓越した笑いをお届けしてくれるこの作品。果たしてみなさんは、このなんとも言えない不思議な空気感と笑いに耐えられるでしょうか…。

作品の設定や概要

 

設定として、中高一貫の男子校を舞台に、一人の男子高校生が織りなす笑いあり、笑いあり、そして笑いありの癖強な世界観にどハマりしてしまうことこの上ないこの作品。

なんでそうなるの!と思わず突っ込んでしまいたくなる場面が多く、独特な絵のタッチも相まって、くだらなすぎるのについついページをめくる手が止まらなくなってしまう中毒性がありますので、読み始める際は気をつけてください。

あらすじ

気になる君はうしろの席に――。

WEBなどで噂の作品たちが待望のコミックス化。

話題の作品「うしろの二階堂」は全ページ加筆修正のうえ、30ページ以上の描き下ろし続編を収録。

引用)コミックシーモア



個性と癖が強すぎる『夢中さ、きみに。』の主な登場人物

登場人物全員が個性の塊でしかない『夢中さ、きみに。』。

そんなキャラクター性溢れる彼らに愛着が湧いてしまう『夢中さ、きみに。』の主な登場人物をご紹介していきます。

林 美良(はやし みよし)

物語の中心人物。中学時代野球部だったので、高校入学当初は短髪に小麦色の肌をしていた。隣に座っていた江間に高校でも野球部に入るのかと聞かれた、ゴロが取れないからという理由で野球部には入らなかった。

他にも、学校中の階段の数を数えて回ったり、ベランダでなぜか干し芋を作ったりと無駄なことをするのが好きらしい。

オムニバス形式で進む話の節々に現れては、登場人物たちを困惑させている。

江間(えま):かわいい人編

とある日の体育祭で借り物競走に出場した江間。お題はかわいい人。

周りを見渡してもかわいい人なんて見当たらなかったが、何故か網でぐるぐる巻きになっていた林が目に入る。

障害物競走で網に引っかかったと言う林の話を聞きながら、とりあえずなんでも良かったので林をかわいい人のお題として借りることに。

その後、事あるごとに「僕かわいい?」と絡まれるようになる。

松屋 めぐみ(まつや めぐみ):友達になってくれませんか編

鶴森学園の女生徒。内気な性格で、ずっと女子校だったのもあって友達もおらず、男性としゃべるのも苦手。

おいも3兄弟という名前でSNSに自分の読んだ本を感想付きで投稿していたところ、とある作品の感想にコメントをくれた人がいた。

「仮釈放」という名前のその人の投稿は独特で、街にある看板や身近な文字を1文字づつ写真を撮ってコラージュして言葉を作っては、しりとりにしてSNSに投稿していた。

その文字が自分の住んでる地区のお店の看板の文字と同じものが多いことに気づき、尋ねてみたところその人もめぐみと同じ区に住んでいることが判明。

いつかすれ違ったりして、とお互い冗談まじりでコメントし合っていた矢先、案の定それっぽい人に出会しためぐみだったが…?

小松 豊(こまつ ゆたか):描く派編

中等部の3年生。視力2.0。身長でかい。

美術の授業で区の絵画コンクール用に肖像画のモデルを探していたところ、教室のベランダで小松と書かれた自分のキャンバスで芋を並べて干し芋を作っている林を発見。

自分のキャンバスをあげる代わりに肖像画のモデルになってほしいと懇願すると…?



山田 章太郎(やまだ しょうたろう):走れ山田!編

高等部の1年生。お昼になるとマサヒロから大声で「走れ山田!」という合図が聞こえ、売店でお弁当を買い、マサヒロに届けている。

毎日母親から自分のお弁当代として500円をもらっているが、マサヒロのお昼代に消えてしまう。

いつも学校裏で買ってきたお弁当を渡しているが、その上にある階段の踊り場からいつもこちらを傍観する人物がいた。

マサヒロから毎日に違ったメニューを指定されるのだが、ある日メロンパンが食べたいと言われ買っていったら、カフェオレがないと駄々をこね始めるマサヒロ。

山田が今すぐ買ってきますと言った直後、なんとマサヒロの頭にカフェオレが注がれてきて…?

妹尾 正広(いもお まさひろ):走れ山田!編

山田をいつもパシリに使っている。山田をいじめている中心人物。

二階堂 明(にかいどう あきら):うしろの二階堂編

ジメジメした不穏なオーラを纏い、学校の不良や陽キャですら絡みたがらないほど嫌われている。

凄まじい猫背で、いつも下を向いているので彼と目を合わせられる人はほとんどいない。

たまたま目が合ってしまった生徒が、その日階段を踏み外し打撲をしたというのをクラスに大声で広めたのがきっかけで、二階堂に関わると不幸になる系の根も葉もない噂話を作られてしまう。

しかし彼には別の顔があって…?

目高 優一(めだか ゆういち):うしろの二階堂編

高校2年のクラス替えで後ろの席が二階堂になってしまう。

なるべく関わらないようにしようとしていたが、奇しくも掃除当番まで一緒のペアになってしまう。せっかくだからと仲良くなってみようと試みる目高だったが…?

佐藤みのる(さとう みのる):うしろの二階堂編

小学校時代の同級生の女生徒。目高が密かに想いを寄せている人物。

高校に上がり、バス停で目高とたまたま再開し、思い出話に花を咲かせていると、中学校が二階堂と一緒で、当時彼はモテモテだったという衝撃的な話を持ち出し始める。



試し読みだけでは伝わらない面白さ『夢中さ、きみに。』の3つの見どころ(ネタバレあり)

癖が強いだけじゃない面白さが詰まった『夢中さ、きみに。』には、たくさんの見どころが存在します。

そんな数ある見どころの中でも、特に注目してほしいポイントを3つご紹介していきます。

林の存在感

まず『夢中さ、きみに。』では、オムニバス形式で繰り広げられるストーリーの各所に登場する林の独特の存在感が見どころの一つになっています。

ほとんどの回に登場する林という人物。主人公なのか、そうでないのか分からない微妙な立ち位置にいるのもまた面白いのですが、なんと言ってもその異質な存在感が後を引く面白さを演出してくれています。

関わった人を最後には全員笑顔にさせる彼の未知なる魅力もまた心惹かれる部分かもしれません。彼の存在感が周りの空気感をも変えていく、そんな様子を垣間見ながら話を読み進めていく面白さを、是非味わってみてください。

林に関わる人たちの心の声

また『夢中さ、きみに。』では、一編ごとに変わる登場人物が林の言動に対して、心の中でつぶやくツッコミのシュールさも、見どころの一つになっています。

思わず「確かに」と呟いてしまうほどに当たり前なツッコミが、この漫画ではやけに笑い心をくすぐっ、て思わず「ふふっw」と吹き出してしまう小笑いを量産してくれます。

何より意味不明な言動を繰り広げる林を筆頭に、ツッコミを入れる登場人物たちがこぞって真顔なのもこれまたシュール感満載で、読んでいて笑いをこらえるのが辛いです。

林の理解不能な一挙手一投足の言動に注目しつつ、登場人物たちがどんなツッコミを入れるのかも予想しながら、物語を読み進めてみてください。

しっかりオチのある展開

そして『夢中さ、きみに。』では笑わせるだけ笑わせて終わるのではなく、しっかりとしたオチがちゃんとあるところも見どころの一つになっています。

ただ面白いだけじゃないのがこの作品の魅力です。これがただのギャグ漫画ではない最高にシュールなオチが1話毎に用意されています。

思わず「ずるいわ〜」と唸りたくなるものから、最後の一押しの笑いをかっさらっていくもの、まさかの急展開で終わるものなど、最初から最後まで小粋な笑いを忘れない作者さんの心意気に、感服いたしました。

そんなオチ誰も思いつかないだろ…という展開もさることながら、何も考えずいつまでも読んでいたくなる、含み笑い系スローテンポ漫画を是非楽しんでください。

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アニメ化したら面白いかもしれない『夢中さ、きみに。』はこんな人におすすめ

『夢中さ、きみに。』は、シュールな世界観でクスッと笑いを持ってくるシュールギャグ漫画が好きな人には特におすすめの作品になっています。

冒頭でもお伝えしたように、この作品はBL漫画ではありません。BL漫画だと思って毛嫌いされてしまうのはもったいないくらい、読み始めたら最後、その魅力に引き込まれてしまう不思議な力を持っています。

その魅力はなんといっても爆笑ではなく、ジワリとくるシュールな笑いが展開されるところですね。そしてそのシュールさの中にも、一話一話含みを持たせた絶妙な間があるんです。

読者に、ただくだらない高校生の日常会話を繰り広げるだけじゃないところに、作者さんの愛すら感じますね。

騙されたという気持ちで一度読んでみてはいかがでしょうか?くだらなすぎるのに深みがあるという、なんとも言えないギャップにも、是非注目してみてください。

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管理人の思う『夢中さ、きみに。』が伝えたいこと(考察)

『夢中さ、きみに。』は、誰しもが抱えるいろんな悩みと向き合う大切さを伝えたいように感じます。

ここまでずっとギャグ漫画だと評価してきましたが、実は読んでみるとギャグ漫画にしては何か考えさせられるものがあるな、ということに気づくと思います。林と関わりを持つことになる登場人物たちは、それぞれに悩みを持っています。

そんな状態から脱却したいなと思っているところに、見計らったかのように林がひょっこり現れるのです。

決して意図的ではないであろう林の登場にも関わらず、林が現れたことで登場人物たちの心境が一気に変わる様子は、なんだかヒューマンドラマを見ているかのような気分です。

自分の悩みと向き合いながら図らずも林との遭遇で人生が変わっていく登場人物たちを思わず応援したくなります。

シュールな笑いを含みつつも、登場人物の悩みを解決しながら絶妙なオチまで用意してくれる完璧なストーリー構成に、作者さんに「参りました」の一言をお届けしたい気持ちでいっぱいです。是非みなさんも、計算し尽くされた笑いの魅力に浸ってみてはいかがでしょうか?

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『夢中さ、きみに。』の評価まとめと感想

最後に記事執筆者の評価と他の漫画サイトからの評価をまとめてみました。

漫画を購入するときのひとつの指標として、よかったら周りの評価も参考にしてみてください。

当サイトの評価4.9(記事作成者の評価)
コミックシーモア4.9(64件の評価)
まんが王国
Renta!4.9(104件の評価)
BookLive4.9(6.7件の評価)
めちゃコミック

※それぞれ5段階評価となっています。

うしのひと
うしのひと

個人的な感想ですが、あのどうしょうもなくくだらないストーリー展開や、ツッコミどころの多すぎる林の言動に1巻から一気に虜になってしまいました。

学園生活を主にストーリーの題材に描かれていますが、ベタベタな男女の恋愛関係があるわけでも、コンプレックスだらけの主人公が逆境を乗り越えて成長していく胸熱展開があるわけでもなく、ただただ林の意味不明な言動の一部始終を見せつけられるだけの漫画です。なのに無心で読むにしては難易度の高い作品でもあります。

感情が大きく揺さぶられるような漫画ではないのに、次の展開が気になって早くオチが見たくなってしまう、そんなシュールギャグ漫画を是非ご覧になってみてください。

『夢中さ、きみに。』が気になる人におすすめの類似作品

ここでは『夢中さ、きみに。』に興味がある方におすすめのギャグ漫画をご紹介していきます。

1つ目の類似作品は『君は放課後インソムニア』です。

不眠症の高校生、丸太と伊咲が出会ったのは、今は使われていない天文部の部室。同じ不眠症で悩んでいると知った二人は、天文部の部室を二人だけの秘密の仮眠部屋にすることに。不眠症×天文×恋愛というロマンチックながらも、二人の掛け合いにクスッとしてしまうような、ほっこり学園漫画です。

主人公である丸太が気だるそうに学校生活を送っている様子や、破天荒な伊咲に対する心の中で繰り広げられるツッコミ加減が林と林に関わる人たちの掛け合いに似ているなと思いました。

そしてどことなく絵のタッチが『夢中さ、君に。』の世界観と似ているような気がしています。『夢中さ、きみに。』ほどの癖の強いシュールさはありませんが、ゆったりと進んでいくストーリーの独特な世界観に浸るあの心地よい感覚を、是非味わってみてください。

下の記事では『君は放課後インソムニア』について詳しくご紹介しています。

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2つ目の類似作品は『セトウツミ』です。

主人公である二人の関西男子高校生が、放課後の暇な時間を潰すだけの日常系青春ギャグ漫画です。瀬戸はクラスのムードメーカーで基本的にボケ、内海は根暗で友達がいないが頭が良く、唯一の友達である瀬戸のボケに冷静なツッコミを入れるまさに漫才コンビさながらの二人の会話に笑いが止まりません。

そんな二人の様子が林や林に周りの人たちとの関係性に似ているところがおすすめできるポイントだなと思います。

二人にはそれぞれ悩みがあって、お互いに葛藤する様子に胸が熱くなる場面も。笑いありシリアス展開ありの胸熱ギャグ漫画を是非、ご覧になってみてください。

下の記事では『セトウツミ』について詳しくご紹介しています。

セトウツミ
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